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月額3万9千円で「WeWork」30拠点以上が使い放題、新プラン「All Access」提供

個人での利用にも最適、「3つめの仕事場」としての活用も

WeWork Japan合同会社最高経営責任者の佐々木一之氏(左)と最高戦略責任者の髙橋正巳氏(右)

 WeWork Japan合同会社は、WeWorkの国内6都市・30拠点以上の共有エリアを利用できるプラン「All Access」を12月1日から提供すると発表した。料金は月額3万9000円(税別)。

 WeWorkは、All Accessと同じようなサービスとして、WeWorkの共有エリアが利用できる「We Passport」の提供を7月に開始したばかりだ。ただしWe Passportは、WeWorkのオフィス契約のオプションという扱いのため、利用できる人は限られていた。また、基本料金で利用できるのは1日1拠点で、2カ所めからは、さまざまなオプションサービスに利用できる「クレジット」を消費しないと利用できなかった。

 一方、今回発表したAll Accessは、WeWorkのオフィスを契約していなくても利用できるプランだ。また、国内のどの拠点を1日で何回利用してもチャージを消費しない。利用できるのは共有エリアで、ほかのプランと同様にWi-Fi、プリンター、ドリンクも用意されている。

 All Accessを利用するには専用のアプリで予約し、配布されたカードでチェックインする。なお、利用時間は平日の9時から18時まで。

「All Access」でWeWorkを「3つめの仕事場」に

 All Accessの発表に合わせて10月29日、オンライン記者会見が実施された。WeWork Japan最高経営責任者の佐々木一之氏によると、WeWork Japanのメンバーは「コロナ禍で成長は鈍化はした」というものの、2万3000人以上(2020年9月現在)に増加しているという。

WeWorkを利用している企業

 これまでは毎日、自宅から同じオフィスに通うという働き方が一般的だったが、現在はテレワークも多くなってきたため、在宅勤務という人も多い。しかし佐々木氏は、自宅とオフィスのほかに3つ目の仕事場としてAll Accessで利用するWeWorkの拠点を挙げ、「仕事をするために適切な場所を選ぶ」という働き方を示した。

「これからの働き方」として、オフィスや自宅のほかにWeWorkのようなレンタルオフィスやコワーキングスペースが必要だとする

 WeWorkの拠点は景観も重視されている。特に「WeWork 渋谷スクランブルスクエア」は、37階から41階に5フロアを確保しており、オフィスや自宅とは異なる環境で仕事をすることでリフレッシュできるとしている。

 また、それぞれの拠点には、テレビ会議などで利用できる防音の個室「フォンブース」が用意されている。さらに、2020年中には集中して仕事が行える「集中ルーム」も設置する。

 All Accessは、個人でも利用できるサービスだ。現在、WeWorkのメンバーは「個人会員は多くなく、半分以上は大企業」(佐々木氏)だという。「All Accessは、個人のテレワークにも最適」(佐々木氏)として、個人での契約が増えることを期待しているという。

 これまでWeWorkでは、1席月額10万円程度が一般的だったが、WeWork Japan最高戦略責任者の髙橋正巳氏は、All Accessの3万9000円は「価格もお手頃でコワーキングの市場ではハイエンド」としている。

 All Accessは、法人顧客にも向いている。在宅勤務が増加したためオフィスを縮小したい、従業員の多様な働き方を支援したいという課題があるが、All Accessを利用する事でオフィスのコストを削減、従業員が働く場所を複数提供できるというメリットがある。

 また、「自由な働き方を実現するために」(佐々木氏)として、集中ルームの開設のほかに、予約時間帯の拡大、新エリアの展開の3つを挙げた。このうち新エリアについては2021年以降に展開予定。「どこに展開するかはメンバー(WeWorkの利用者)の声を聞いて決める」(佐々木氏)としている。

WeWorkが進める「さらなる自由な働き方を実現するために」の具体的な内容。集中ルーム、予約可能時間の拡大、新エリアに展開の3つが挙げられている

 なお、WeWorkの拠点は人が多く集まる場所でもあるため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を行っている。具体的には、ソーシャルディスタンスを保つために椅子や机のレイアウトの変更、共用エリアの消毒を頻繁に行う、各所に除菌剤を置くといったことだ。

サテライトオフィスのプラン「専用アクセス」も

 また、企業のサテライトオフィス向けの新プラン「専用アクセス」も発表した。各拠点に専用のスペースを確保するため、共有エリアよりもセキュリティが保たれる。

 例えば2000人規模の企業の場合、WeWorkの神谷町の拠点を1000席に減らし、渋谷は70席、池袋は50席、晴海は30席、横浜は50席のスペースを確保する。この場合、2000人に対して、1200席しか用意されていないが、テレワークの従業員もいることを考えるとこの程度に縮小しても問題はない。また、All Accessを契約することでWeWorkのほかの共有スペースも利用できる。

「専用アクセス」の概略図

WeWorkの顧客同士でビジネスマッチングさせる「Connect by WeWork」

 WeWorkは、ビジネスマッチングサービス「Connect by WeWork」の提供も開始した。WeWorkが入居者にヒアリングを行い、提供できるサービスや製品とともに、抱えている課題も把握することでWeWorkの入居者同士をマッチングさせる。

 先行事例として丸紅が挙げられている。丸紅は、管理業務をサポートするサービス「ねこの手ガーデン」を10月末まで実証実験として提供している。WeWorkは、管理業務に課題を感じている数十社を紹介し、実際に数社と契約に至ったとしている。

 WeWorkでは、「この度、正式にローンチをすることで、企業が抱える課題と、企業が提供できるソリューションのマッチングを加速させ、WeWork Japanのコミュニティを強化していく」としている。