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老舗温泉旅館にサテライトオフィス、佐賀県・嬉野温泉に4社が開設

和多屋別荘が「花鳥苑」をオフィス棟化、2年で10~15社誘致へ

(上左/上右/左下)和多屋別荘および客室、(右下)イノベーションパートナーズのコワーキングスペース

 佐賀県嬉野市の温泉旅館「和多屋別荘」内にサテライトオフィスを開設することを、AnyMind Japan株式会社、ENGAWA株式会社、株式会社ナノ・アソシエーション、ライフエンディングテクノロジーズ株式会社の4社が発表した。開設に合わせて20日、和多屋別荘のロビー前にて4社合同の進出協定締結式が実施され、その模様がオンラインで配信された。

 和多屋別荘は、約2万坪の敷地を持つ開業から70年の温泉旅館。サテライトオフィスはこの土地の活用の1つで、旅館内の「花鳥苑」に開設された。和多屋別荘では、すでに株式会社イノベーションパートナーズと共同でワーケーションの取り組みも行っている。

進出協定締結式に出席した関係者。(後列左から)株式会社イノベーションパートナーズ代表取締役社長の本田晋一郎氏、佐賀県・山口祥義知事、嬉野市・村上大祐市長、株式会社和多屋別荘代表取締役の小原嘉元氏、(前列左から)ライフエンディングテクノロジーズ株式会社代表取締役の白石和也氏、AnyMind Japan株式会社執行役員の山田果歩氏、ENGAWA株式会社代表取締役社長の牛山隆信氏、株式会社ナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世氏

 進出協定締結式では、来賓として嬉野市の村上大祐市長と佐賀県の山口祥義知事があいさつをした。

 村上市長は「このような世界を股にかける大きな仕事をやった会社が嬉野市に来るのは夢を見るような思い。これが嬉野市のイノベーションの始まりであり、革命前夜の町。100年後にも誇れる街を作っていきたい」とあいさつをした。

 山口知事は「旅館のフロント前で締結式を行うということがイノベーション、ここから何かが生まれそうな気配が満ちあふれている。長野、愛知、京都、愛媛というルーツも業態も違う皆さんが集まった。イノベーションは、人が集まって刺激をし合ってできていくもの。これから嬉野市ですばらしい“生地”を編んでいくのか楽しみ」と期待を寄せた。

 次に行われた「DX脳 カンファレンス」の中では、和多屋別荘、イノベーションパートナーズ、サテライトオフィスを設置する4社がそれぞれ事業概要などを説明した。

「DX脳 カンファレンス」の模様。(左から)株式会社和多屋別荘代表取締役の小原嘉元氏、佐賀県・山口祥義知事、株式会社ナノ・アソシエーション代表取締役の鶴市知世氏、ライフエンディングテクノロジーズ株式会社代表取締役の白石和也氏、AnyMind Japan株式会社執行役員の山田果歩氏、ENGAWA株式会社代表取締役社長の牛山隆信氏、嬉野市・村上大祐市長)、株式会社イノベーションパートナーズ代表取締役社長の本田晋一郎氏

 今回のサテライトオフィスの開設について株式会社和多屋別荘代表取締役の小原嘉元氏は、2万坪の土地は「1泊2日の宿泊業には持て余している状態」だとして、その活用方法の1つがサテライトオフィスの受け入れだ。

 今のところ「花鳥苑の17室の客室は、2年くらいで10社から15社の企業を誘致し、完全にオフィス棟にしようと考えている。ワーカーとしては100人から150人」を目指しているという。

 和多屋別荘はオフィスだけではなく、「働く、体を休める、買い物をする、食べる」の全てが行えるように整備することも構想にある。これらは「5年から10年をかけて行おうと思っていたが、コロナ禍で一気に加速して2年くらいで行うチャンス」だとした。

 イノベーションパートナーズ代表取締役社長の本田晋一郎氏は、「温泉旅館に会社があったら楽しそう」として、和多屋別荘と共同でサテライトオフィスを開設したという。ワーケーションなどで温泉旅館を会場にすると「本当に仕事をしているのか?という空気になる」という。しかし、サテライトオフィスは、1泊や2泊でもなく常に温泉旅館内で働くことになる。サテライトオフィスとして入居する4社には、このような考えを払拭して欲しいという。全国にこのような場所があるといいとの発言もあり、ほかの地域での展開も期待できる

 次にサテライトオフィスを構える各社があいさつをした。

 ENGAWAの代表取締役社長である牛山隆信氏は、外国語で広告宣伝やマーケティングを行う企業だと紹介した。雑誌やウェブにて日本にしかない商品や文化を伝えることがメインだという。このようなコンテンツを作成するには、東京から出張をする程度ではなく「魅力を伝えるためには体感する必要がある」として、嬉野市にサテライトオフィスを構え、これまで気が付かなかった日本の文化を体感できることを期待しているという。

 AnyMind Japanの執行役員である山田果歩氏は、サテライトオフィスでは、インフルエンサーマーケティング事業部を立ち上げるという。「嬉野市の皆さんと事業の強化をしていきたい」としている。

 ライフエンディングテクノロジーズは、終活や葬儀などに関するポータルサイト、葬儀社向けのオンライン葬儀や顧客管理システムを手掛けている企業。代表取締役の白石和也氏は、構想として、行政の火葬許可書、埋葬許可書のデジタル化を行い連携するシステムを佐賀県や嬉野市と開発を進めたいとしている。

 ナノ・アソシエーションは、テレビ局向けに海外のスポーツの情報を提供している企業。また、自社の媒体として、英語圏の海外ドラマのニュースを日本語で伝える「海外ドラマNAVI」と、舞台の情報を伝える「エンタステージ」を手掛けている。現在は、東京で世界中の英語のコンテンツを調べて、翻訳をした後、インターネットを用いてインタビューを行ってテレビ局や自社の媒体に掲載している。代表取締役の鶴市知世氏は、このようにインターネットを用いて情報の収集を行っているため、東京で行う必要はないとして、サテライトオフィスの設置を決めたとしている。「嬉野市で編集部を構築しながら世界の情報をお届けしたい」と考えているという。

イノベーションパートナーズのオフィス
イノベーションパートナーズの会議室