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開発者だけじゃない、営業や総務でも使える「Jira Work Management」とは?

より多くの人が使いやすくなった新しい「Jira」、アトラシアンがその特徴や機能を紹介

営業部門やバックオフィスの従業員向けJiraとなる「Jira Work Management」(アトラシアンのオンラインイベントTeam 21より筆者キャプチャ、以下同)

 オーストラリアのソフトウェアベンダー「アトラシアン」は、同社の年次イベント「Team 21」を4月28日~29日(米国時間、日本時間4月29日~30日)にオンラインで開催した。このTeams 21ではいくつかの新製品が発表されたほか、同社共同創始者で共同CEOのマイク・キャノンブルックス氏と、Slack創始者でCEOのスチュワート・バターフィールド氏、Zoom CEOのエリック・ユアン氏の3名による座談会などが行なわれた。

 本記事ではTeam 21で発表されたアトラシアンの新製品「Jira Work Management」(ジラ・ワークマネジメント)の概要を説明するセッション「The newest Jira: an introduction to Jira Work Management」の模様をお届けしたい。

従来のJiraが対象としていた部門以外にも活用を広げられる

Jira Work Management

 Jira Work Managementは、元々はソフトウェア開発者の工程管理のソフトウェアとして提供されてきた「Jira Software」や、IT部門や開発チームが利用する「Jira Service Management」の機能を、ソフトウェア開発者以外の組織メンバー、例えばマーケティング、デザイン、営業、そして人事、法務、経理といったバックオフィスにも広げるツールとなる。

 社内において、営業やマーケティング、バックオフィスの関係者もJiraが持つ強力なコラボレーション機能を利用して、さまざまな業務をよりよく行なえる。なおかつ、すでにJira SoftwareやJira Service Managementを利用している開発部門やIT部門とのシームレスな連携も実現できる。

 アトラシアンの製品マネジャーであるロン・レビー氏は「われわれはここ数年Jiraの機能を拡張してきた。そして顧客の声に耳を傾けた結果、Jiraの機能はソフトウェア開発者やIT部門だけでなく、マーケティングや営業などのチームや、バックオフィスのメンバーにも使ってほしいと考えて、Jira Work Managementのリリースを決定した」と述べ、Jira Work Managementの狙いは、Jiraの対象となるユーザー層を拡大するものだと説明した。

 また「今日Jiraをビジネスに利用している企業では、Jira Core、ないしはクラシカルなビジネスプロジェクトなどを利用しているだろう。しかし、われわれはこれをもっとシンプルにする必要があると考えて、Jira Work Managementを提供することにした」とも述べ、Jira Work ManagementがJira Coreの後継にあたり、より使い勝手をJira Softwareに近づけた製品であると説明した。

アトラシアンの製品マネジャーであるロン・レビー氏

 レビー氏によれば、Jira Work Managementには16の新しいテンプレートが追加されている。それらはマーケティングや営業、バックオフィスなどの部門ワークフローに適した形になっており、各部門でのプロジェクト管理を有効に行なえるという。

従来Jira Coreとして提供されていたものを発展させたのがJira Work Management
Jira SoftwareやJira Service Managementが対象としていた部門以外、マーケティング、営業、バックオフィスなど向けに16の新しいテンプレートが追加されている。

多数のビューでプロジェクトの状況が一目瞭然

 Jira Work Managementでは、営業部門やバックオフィス向けに用意されているテンプレートを作成してプロジェクトを作成すると、複数のビューを利用してプロジェクトの進捗状況をチェック可能だという。具体的には「ボードビュー」、「リストビュー」、「タイムラインビュー」、「カレンダービュー」、「フォームビュー」などが該当する。

 このうちボードビューに関して、レビー氏は「進捗状況に応じてプロジェクトが表示され、現在ビジネス全体がどうなっているのかを確認できる。ボードビューには標準のビューだけでなく、ビューを追加してより見やすくすることもできる」と述べ、ワークフローごとに進捗状況を一目瞭然で確認することができるため、進捗状況の全体像を把握するのに適したビューだと説明した。

Jira Work Managementのボードビュー

 続いてリストビューに関して「リストビューでは現在展開されているプロジェクトの一覧が表示される。リストからプロジェクトを選んで、ステータスを変更したりもできるし、自分にアサインされている仕事は何なのかだけを表示させたりなどが可能になる」と説明。表計算ソフトウェア上でプロジェクトを管理するイメージでプロジェクトの進捗状況をチェックでき、名称を変えたり、割り当てている担当者を変更したり、終了した(Doneと表示される)プロジェクトだけを表示させたりと、柔軟な管理ができるとした。

リストビュー
プロジェクトの名前を変えたり
期限を変えたりなどが表計算ソフトのような表示のリストから行なえる
自分に関係のあるプロジェクトだけを表示することもできる

 続いてレビー氏はタイムラインビューに関して説明した。タイムラインビューはガンチャートを微調整したもので、プロジェクト間のつながりと依存関係が明確に表示されるようになっている。それぞれのプロジェクトの依存関係は、マップ上に示したりすることが可能になるとレビー氏は説明した。

タイムラインビュー

 カレンダービューでは、カレンダー上にプロジェクトの期限を表示できる。管理職が期限内に終わっていないプロジェクトを見つけて、現在の状況を反映したアップデートを担当者に要求するなどの使い方が可能になる。

カレンダービューでは期限が一目瞭然に
管理職が進捗を一覧し、アップデートを求めたりもできる

 最後のフォームビューは「営業部門から何かリクエストがあったときに、そのニーズを収集するためのフォームを手軽に作成できる」と用途を説明。特にコードなどを知らなくても、Jira Work Management上でフォームを作成し、従業員にそれを利用してもらうことで手軽に彼らのニーズを知ることができる。シンプルに言うと、Google FormのJira Work Management版と捉えればわかりやすいだろう。

フォームビュー
顔文字を使ったりもできる

課題発生時の自動化を実現する「Automation」機能も

 そのほかにもレビー氏はJira Work Managementのバックグラウンドカラーを変える機能(プロジェクトのAdminが設定できる)、課題解決を支援する「Automation」機能などに関しても説明した。Automation機能は、プロジェクト実行の過程で何らかの課題が発生した場合に、それを解決する担当者を自動で割り当てたり、IT部門にヘルプを要請したりなどを自動で行なうスクリプトをあらかじめ設定しておくことができる。

Adminがプロジェクトのバックグラウンドカラーを変えることができる
バックグラウンドをブルーやグリーンにしたところ
Automationの画面