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石川県加賀市、「e-加賀市民制度」を発表。日本初の電子市民プログラム

加賀温泉郷でのリモートワークなど、加賀市での多様な働き方を支援

「e-加賀市民制度」ロゴ

 石川県加賀市は14日、日本初のe-Residency(電子市民)プログラム「e-加賀市民制度」を発表した。加賀市に「電子市民」として登録した人に、官民のサービスを提供する仕組み。2021年度中の提供開始に向け、開発を進めている。

 e-Residencyとは、ある自治体に電子的な登録を行うことで、実際に居住していなくてもさまざまなサービスが受けられる制度。例えば北欧のエストニア共和国では、2014年よりe-Residencyプログラムを実施。電子市民は同国でのビジネスを行う際に法人の登記や銀行口座の開設ができるなどのメリットを得られる。

 加賀市は、石川県西部に位置し福井県と隣接する、人口約6万5000人の都市。2021年4月時点でマイナンバーカードの交付率、申請率が全国でも圧倒的に高く、マイナンバーカードを活用したデジタルサービスの提供をいち早く開始しているという。そのような基盤を利用し、同市が抱える人口減少、観光客減少という課題の解決につなげるべく、e-加賀市民制度を打ち出した。

 山代温泉、山中温泉、片山津温泉などの加賀温泉郷が有名で、本施策をきっかけに、加賀市への移住や事業の拠点化のほか、温泉地でのリモートワークやワーケーションを促進することも想定。同市の宮元陸市長は「多拠点居住、移住をはじめとした『関係人口』の増加につながる施策」とコメントしている。

 電子市民としての登録を完了すると、オンラインで加賀市のデジタルサービスにアクセス可能になる。また、電子投票システムを用いた意向調査に参加でるようにもなる。そのほか、同市ではe-加賀市民に向けて、次のようなサービスを検討しているという。

  • 滞在日数に応じて、加賀市往来時の宿泊費等を支援
  • 市民のみ対象であるセミオンデマンドタクシーの利用を可能に
  • 移住体験プログラムの優先提供
  • 市の施設であるコワーキングスペースや会議室の無償貸出し
  • 移住の手続き支援
  • 法人設立の手続き支援

 登録申請などの手続きは、すべて電子的に行うことを想定。マイナンバーカード等を活用したデジタルIDソリューション「xID」を採用するとしている。

居住する市民と市民以外の間に位置付けられる「電子市民」によって、加賀市に関わる「関係人口」を増やすことを企図
e-加賀市民制度の実施イメージ