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会計ソフトのクラウド利用率は26.3%、1年で5ポイント増と過去最高の伸び~MM総研の個人事業主調査

「会計ソフトに占めるクラウド会計ソフトの利用率の推移」。年を追うごとに増加している。2021年4月の調査では、1年前から5ポイント増加で調査開始依頼最大の伸びとなった

 株式会社MM総研は、個人事業主を対象にしたクラウド会計ソフトの利用状況の調査結果を公表した。会計ソフトを導入している個人事業主は35.3%で、そのうちクラウドの会計ソフトの利用者は26.3%となり、1年前の前回調査の21.3%よりも5.0ポイント増加した。

 調査対象は、2020年分の確定申告を行った個人事業主。回答数は2万1180件で、4月20日~27日にウェブを用いてアンケート調査を行った。

 これによると、「会計ソフトを利用している」と答えた個人事業主は35.3%。これら会計ソフトを利用していると回答した個人事業主(7695人)のうち、「クラウド会計ソフト」(PCにソフトをインストールしてデータをクラウドに保存するソフトを除く)は26.3%、「PCインストール型会計ソフト」は61.1%、「分からない」は12.6%という内訳になっている。

「会計ソフトの利用率と利用形態」。全体の35.3%が会計ソフトを利用しており、そのうち26.3%が「クラウド会計ソフト」を利用している

 その一方で「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は56.9%だ。帳簿の付け方としては、「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が41.7%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が35.3%、「税理士や会計事務所への外部委託」が19.1%となっている。会計ソフトの利用者は増えているが、手書きやExcelで管理している個人事業主もまだ多く占めている。

 クラウド会計ソフトの利用者が1年間で5ポイント増えたのは、過去最大の伸びだという。MM総研では、利便性の高さに加えて、確定申告における「青色申告特別控除」の制度変更を挙げている。具体的には、紙ベースの確定申告は青色申告特別控除が55万円に減額されたが、電子申告または電子帳簿保存に対応すると青色申告特別控除は65万円の優遇措置が受けられる。会計ソフトを提供する各事業者がこのような優遇措置を訴求することで、クラウド会計ソフトの利用者が増加したとみられるとしている。

 また、クラウド会計ソフトの提供会社別のシェアは、事業者別で「弥生」が57.0%、「freee」が20.6%、「マネーフォワード」が14.8%だった。弥生は、MM総研のクラウド会計ソフトの調査開始以来、常に過半数を占めている。マネーフォワードは、2017年・2018年・2019年はfreeeを上回っていたものの、2020年・2021年の調査ではfreeeに逆転されている。

「クラウド会計ソフトの事業者別シェアの推移」。調査開始以来、弥生が過半数を占めている。また、マネーフォワードは2017年・2018年・2019年はfreeよりもシェアが高かったが、2020年・2021年はfreeeに逆転されている