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「男性育休を取りやすい風土」を作るために企業が実施している施策とは? 「月刊総務」調べ

 株式会社月刊総務は、全国の総務担当者を対象にした「男性育休に関する調査」の結果を公表した。6月に改正された「育児・介護休業法」では、男性の育休取得を促進する内容が含まれている。これを受けて半数以上の企業で社内規定の改正を行うとしている。

 調査対象は、月刊誌「月刊総務」の読者、オンライン版の「月刊総務オンライン」のメールマガジンの登録者が中心。7月12日~19日にウェブで行い、有効回答数は137件。

男性育休は中小企業にとって周囲の負担が増える、社内規程/社内風土ができていない

 「これまで育休を取得した男性社員はいますか」の質問には、「ある」とした企業が48.9%、「ない」が47.4%、「対象となる社員がいたことがない」が3.6%だった。

 「男性育休を取りやすい風土を作るために実施している施策」(複数回答可)は、「育休を取得できることの周知徹底」が42.3%、「育児休業制度の整備・見直し」が36.5%、「人事部や上司との面談機会の設定」が20.4%、「社内報やウェブサイトでの育休取得事例の広報」が18.2%、「管理職研修で扱う」が11.7%など。また、「何もしていない」は33.6%だった。

男性育休を取りやすい風土を作るために実施している施策

 また、「男性育休に積極的に取り組めない理由」(抜粋)としては、「企業規模が小さく、代替人員がいない」「ロールモデルがいない」「社内風土ができていない」「前例がないため」「上長からの評価が下がる可能性がある」が挙げられている。

総務としては、男性育休をもっと推進させたい

 「総務の本音として、男性育休の推進をどう思っていますか」の質問では、「もっと推進したい」が67.9%、「あまり推進したくない」が27.7%、「全く推進したくない」が4.4%という結果。

 「推進したい理由」としては、「育休に限らず、今までの働き方に固執することなく柔軟な働き方を推進したいと考えている」「若手社員の傾向として家族を大切にしたいとの意向が強く、社員満足度を高めるためにも積極的に対応している」「男性が取得することにより、共に働く女性の業務範囲も広がり相乗効果があると認識」「総務異動前に自身が育休(2週間程度)を取ろうとして当時の上司に『戻ってきたら席ないと思え』と言われ断念した後悔から、総務異動前から周囲に育休を取るよう声かけをしてきた」などがあった。

 「推進したくない理由」としては、「小規模の会社にとっては、周囲の負担増が懸念」「権利だけを主張して、仕事を考えずに休まれることが懸念される」「育休は女性が取るものという固定観念がまだ強い」がある。

 「男性育休で総務の対応が大変なこと」としては、「女性の育休と若干手続きに違いがあることに戸惑った」「従業員、特に管理職以上の意識改善」「手続等が煩雑だったけれど、ほぼ全員が2~4カ月取得しているので慣れました」という声があった。

法改正で男性育休が取りやすくなり、半数以上は社内規程を改正

 6月には「育児・介護休業法」が改正され、男性育休を後押しするものになった。「2021年6月に育児・介護休業法が改正されたことを知っていますか」との質問には、「はい」が78.9%、「いいえ」が21.1%だった。

 法改正されたことを知っている人(108人)を対象に、改正された点について知っていること(複数回答)を質問すると、「対象期間、取得可能日数」が79.6%、「休業の分割取得」が65.7%、「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務化」が50.9%、「個別の周知・意向確認の義務化」が44.4%、「育児休業等の取得状況を公表の義務化(大企業)」が41.7%だった。

 また、「育児・介護休業法の改正に際しどのような対応をしますか」という質問(複数回答)には、「社内規定の改正」が55.5%、「社内報等による周知」が35.8%、「取得マニュアルの整備」が19.0%、「対象社員との面談の実施」が17.5%、「管理職研修の実施」が10.9%などだった。また、「具体的に何をすればいいか分からない」も15.3%あった。

「育児・介護休業法の改正に際しどのような対応をしますか」。半数以上が「社内規定の改正」を挙げている

法改正で男性育休が増えると思う総務担当は33.3%にとどまる

 しかし、「この法改正で男性育休の希望は増えると思うか」との質問に対しては、「増える」が33.3%、「変わらない」が66.7%という結果になっている。

育休取得の周知徹底と、法改正の内容を理解した対策が必要

 月刊総務はこれらのアンケートについて「約半数の企業で男性育休の取得実績はあるもののまだ数は少なく、取得しやすい風土作りにも課題があることが分かった」としている。「若手社員は育休の取得に積極的な一方で中高年層の理解が進まないといった世代間ギャップ」もあるという。

 男性育休を推進するために「育休を取得できることの周知徹底」が必要だが、半数以下の企業しか行っていない状況だ。

 そのため、「総務担当および経営者は、今回の育児・介護休業法の改正内容もしっかり理解し、必要な対策を講じることが求められる」としている。