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「コロナ後にストレスや悩みが増加した人」の特徴とは? NTTデータ経営研究所が実態調査

相談窓口などのケアが届いていない「サービス・ギャップ」を指摘

 株式会社NTTデータ経営研究所は「働く人のメンタルヘルスとサービス・ギャップの実態調査」の結果を公表した。

 この調査は、「NTTコム リサーチ」に登録しているモニターのうち、従業員が50人以上の企業に勤めている人を対象に行ったもので、サンプルは1022人、調査期間は6月28日~7月5日。ここ2週間の睡眠や意欲、リラックスできたかなどを表に記入し、精神的健康状態を数値化するストレスチェック「WHO-5 精神的健康状態表」を用いて実施。その結果、合計点数が13点未満の「精神的健康度が低い」人が45.3%に上った。

 このような精神的健康度が低い従業員のために、相談窓口を設置している企業は多い。厚生労働省が実施した「平成30年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、従業員50人以上の企業では、91.5%がストレスチェックテストを実施しており、73.3%が従業員に相談窓口を提供しているという。

 このようなストレスチェックについての認知度は、NTTデータ経営研究所が行った今回の調査によると、コロナまん延以降にストレスが増加した群(ストレス増加群)で84.8%、ストレスの増加は見られない群(ストレス増加なし群)で76.3%だった。しかし、利用するのに「抵抗がある」と感じている人が、ストレス増加群で38.3%、ストレス増加なし群で25.8%あった。

 相談窓口の認知度は、それが社内に設置されている場合はストレス増群で64.2%、ストレス増加なし群で52.1%、社外の場合はストレス増加群で36.8%、ストレス増加なし群で25.3%だ。ストレス増加群の従業員は、ストレス増加なし群よりも、相談窓口を認知している割合が高い。

 しかし、利用者は少なく、ストレス増加群のうち社内相談窓口を利用したのは35.4%、社外相談窓口は33.6%にとどまっている。このように、ストレス増加群などのために設置されている相談窓口だが、想定している人が利用できない状況を「サービス・ギャップ」としている。

メンタル不調者におけるコロナまん延以降のストレス増加有無ごとの「サービス・ギャップ」の実態

 利用したくない理由として、社内相談窓口の場合、「面談の内容が周囲に漏れるのが不安だから」(24.4%)、「面談でどのようなことをするのか分からないから」(23.1%)などが挙げられる。

 社外相談窓口は、「そもそも社外のカウンセラー等の専門家が何かよく分からないから」(24.4%)、「相談窓口でどのようなことをするのか分からないから」(15.6%)などだ。

 このようなサービス・ギャップを解決する方法として、行動経済学で注目されている「ナッジ」の活用が考えられるという。サービス・ギャップの解消に「認知バイアス」を踏まえることで、適切なメンタルヘルス対策が行えるとしている。

 例えば、相談窓口の利用をためらう理由として、面談内容が外に漏れるかもしれないということが挙げられる。この場合、認知バイアスでは「損失回避」として、面談内容が周囲に漏れないことを強調することがナッジを活用した工夫例とされている。

「ナッジ」を活用したメンタルヘルス対策

 また、ストレス増加群について、年代や勤続年数、テレワークの日数、同居者の有無などを分析したところ、年齢は40代~50代、勤続年数は15年、テレワークが週に1~2日、同居者あり――という属性が多いとしている。

 「40-50代で雇用が安定しており、テレワークができて同居者もいるという状況は、安定した生活を送っているように考えられる」としているものの、「昨今の社会情勢の大きな変化に伴い、これまで安定した環境に長くいた分、かえって環境変化に対するストレスや悩みを感じやすくなっていることが推察できる」としている。

コロナまん延以降にストレスや悩みが増加したメンタル不調者に見受けられた特徴