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誹謗中傷ホットライン、「特定誹謗中傷情報」の74%で削除を実現

SIAが2021年の活動を報告

 一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)は2月10日、「誹謗中傷ホットライン」の、2021年における1年間の活動報告を公開した。相談を受けた「特定誹謗中傷情報」の74%で削除を実現したとしている。

 同ホットラインは、インターネット上で誹謗中傷を受けた個人からの相談を受け付け、国内外のコンテンツ提供事業者やプロバイダーなどに対して各社の利用規約に基づいた削除などの対応措置を依頼するために、2020年6月に開設された。

 相談受付は、原則として被害者本人からの相談が対象となるが、児童または就学中の場合には、保護者や学校関係者からも受け付ける。新型コロナウイルスの流行や、オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、感染症患者やアスリートからの相談も受け付ける旨を告知している。

 2021年の1年間で、1516人から2859件の相談が寄せられた。1人あたり約2件の通報を受け付けた計算となるが、1人から100件以上の相談を受けるケースも複数みられたという。

 相談者の内訳は被害者本人が94.1%。保護者からが4.3%で、学校関係者からが1.6%。被害者のうち47.5%が、誹謗中傷を書き込んだ相手について「身元がわかっている」と回答している。

2021年の誹謗中傷ホットラインへの連絡件数と相談者の属性、および書き込んだ相手の身元についての認識

 相談のうち、27.8%にあたる796件が「特定誹謗中傷情報」に該当すると判断された。特定誹謗中傷情報とは、「誹謗中傷の対象となった実在の個人が特定可能である」「公共性がない、または公益目的でないことが明らかである」「特定個人の社会的評価が低下させられる、または社会生活上許される限度を超えた侮辱的な内容である」の3つの条件を満たす情報(ウェブサイトやSNSへの投稿など)を指す。

 一方、非該当とされた2063件の理由は、「誹謗の対象となった実在の個人が特定できない」が最多で28.5%。これには、対象がハンドルネームで実在の個人が特定できない場合などが含まれる。以下、「公共公益目的でないことが明らかとはいえない」が6.3%、「社会的評価が低下する内容や侮辱的な内容とはいえない」が8.1%。

 その他の理由で非該当とされた相談では、相談された投稿が特定できないなどの「内容不明」が21.2%、被害者本人からではない、企業からの連絡、内容重複などの「その他の理由」が35.9%あった。

誹謗中傷情報の該当性と非該当の理由

 特定誹謗中傷情報に対して対処の通知を行った結果は、1414のURLに対する通知のうち、1046のURLで削除されたことを確認。削除率は74%だった。

 通知を送付した通知を送付したサイト/サービスの対象は「匿名掲示板」が45.8%、「SNS」が14.5%。以下「掲示板ミラーサイト」9.1%、「地域掲示板」6.7%と続く。

対処の通知を送付したサイトの属性

 SIAは、昨年に引き続き7割以上の削除率が実現された一方で、連絡件数は増加傾向にあるとして、今後もインターネット上の諸問題に総合的に取り組み、中長期的な視座に立った施策を検討・実施していくとしている。

誹謗中傷ホットラインへの連絡件数(6カ月ごとの比較)