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Synology、NASを中心としたソリューションをデモし「ライセンス不要」の優位性をアピール

「Solution Day Tokyo」を3年ぶり開催

Synology Japanの代表取締役社長のMike Chen(陳 其賦)氏

 Synology Japan株式会社は11月24日、「Synology Solution Day Tokyo」をリアルイベントとして開催した。新型コロナウィルスの影響もあってリアルイベントは3年ぶりとなる。

 会場ではSynologyの会社紹介から、提供するソリューションとそのデモンストレーション、取り上げられたテーマは「ハイブリッド環境構築 ファイル管理ソリューション」「包括的なデータ保護ソリューション」「柔軟でスマートな監視ソリューション」の3つ。いずれも、そして継続的なライセンス料の発生しないコスト面での優位性が強くアピールされた。

Synologyは「NASの会社」

 まず、Synologyについて説明されたことは「NASの会社」であること。1ベイから数百ベイのNASまで取り扱い、最大で1PB(ペタバイト)以上の容量を持ったストレージシステムがあること。また、OSは全て「DSM」を搭載、統計的に世界で4番目に多くインストールされているOSだとした。

 ストレージだけでなく独自のクラウドサービスも提供するストレージベンダーとして、フォーチュン500に掲載される半数以上の企業で導入され、これまで合計1000万台以上のシステムを出荷、2021年は100万台以上出荷しているので1日あたり2740台を出荷していると規模を紹介した。

Synologyが提供しているソリューション
Synologyの設立など

 Synologyは2000年に設立され、本社は台湾。1000名以上の社員が世界中に在籍しており、そのうちの7割がエンジニアだという。日本にも支社があり、Synologyにとって日本は貴重でとても大きな市場と位置づけているとのことで、日本のユーザーには日本のオフィスからサポートが提供される。

 Synology Japan代表取締役社長のMike Chen(陳 其賦)氏は、Synologyはセキュリティの驚異が年々高まるなかでデータの完全な保護を提供し「オンプレミスとクラウドの完全なハイブリッドソリューションを提供する唯一のストレージ企業」「データ管理とデータ保護の会社」であること強調。さらに、利用にあたって継続的に発生するライセンス料がないことも強調した。

世界の拠点
日本における実績

データと複数拠点からのアクセスを一元管理可能

 「ハイブリッド環境構築 ファイル管理ソリューション」については、セールスアカウントマネージャーの木村亜希氏が説明を行った。

セールスアカウントマネージャーの木村亜希氏

 現在、リモートワークを余儀なくされる状況のなかで、より多くのデバイスがファイルサーバーに接続され、社員が異なる場所から勤務するため、コラボレーションツールの導入が必要不可欠となる。

 従来のファイルサーバーはリモートアクセスのという新たな課題に直面するが、パブリッククラウドを利用するとサブスクリプション費用で長期的には大きなコストがかかる。そこで、クラウドの柔軟性とSynologyのオンプレミスのファイルサーバー管理を組み合わせたソリューションがあるという。

 それが、同社製NASをプライベートクラウドのように使えるようにするソリューション「Synology Drive」だ。ウェブブラウザーからのポータルを通したアクセス、PCやモバイル端末のクライアントアプリからのアクセスを、一元管理できる。ファイル共有についてはDSMのアカウントを持つユーザーと共有できるほか、アカウントを持たない外部ユーザーへの共有も、権限や期限などを細かく設定できるという。

 Synology Driveに搭載される「Synology Office」は、ドキュメント、スライド、スプレッドシートと文書作成に必要なツールを備え、Synology Driveで共同編集が可能だ。木村氏は複数のユーザーで同じファイルを同時に編集できるデモを行いながら、遠隔地からの共同作業も可能なことを説明した。

Synology Driceでデータの一元化と、さまざまなアクセスを実現
Synology Officeでドキュメント、スライド、スプレッドシートの同時編集・同期が可能

 ローカル環境のストレージに十分な空き容量がなくても、必要なときだけダウンロードされるオンデマンド同期機能を使うことで、ローカルストレージを消費することなく利用可能。バージョン3.2からはmacOSクライアントのオンデマンド同期機能を実装したことを紹介した。

 また、複数の支社など拠点間でのファイル同期やクラウドを介するハイブリッド同期も可能なことを説明した。

拠点間のデータ共有に、複数のNASでデータを同期する「Drive ShareSync」
同社のクラウドストレージ「C2 Strage」を通し、複数のNASでデータを同期する「Hybrid Share」
C2 Strageを利用することにより、柔軟なシステム構築や運用ができる
Drive ShareSyncやHybrid Shareを用いた拠点間コラボレーションのイメージ

 その上で、クラウドを利用すると発生するコストについても言及。パブリッククラウドではサブスクリプション費用がかかるとし、また、オンプレミスでも従来のファイルサーバーではサーバーのOSのライセンスやクライアントライセンスがかかるため、それぞれの比較を表示した。

 それによると、Synologyのソリューションではハードウェア購入の一度だけのコストが発生するだけで、従来のファイルサーバーやパブリッククラウドと比べて、年間あたり70~78%のコストダウンが可能だという。

オンプレミスの従来サーバーとのコスト比較
パブリッククラウドサービスとのコスト比較

バックアップ環境構築にかかる費用や人材の問題もSynologyが解決

 続いて「包括的なデータ保護ソリューション」について、テクニカルマーケティングコンサルタントの内山裕子氏が説明。ランサムウェアによる攻撃への対策をはじめとした、バックアップソリューションの重要性を訴えた。

テクニカルマーケティングコンサルタントの内山裕子氏

 サイバー攻撃以外にも人為的ミスやハードウェアの故障、災害などが原因になるトラブルがあり、事業継続においてバックアップは最後の砦となるが、多くの企業でバックアップソリューションの構築や実践ができていないという。

 その理由として、同氏は「費用が高額なこと」「実行のための担当者が確保できないなどリソースが不足すること」「ハイブリッドワークへのシフトによりデータが多くの端末に分散して存在し、管理が煩雑化していること」の3点を挙げた。

日本のランサムウェア被害状況
企業がバックアップを実践しない理由は「高額な費用」「ITリソースの不足」「分散された管理」

 Synologyのソリューションでは、まず、ハードウェアを購入すれば、別途料金を必要とせず(ライセンスフリー)バックアップソフトウェアなどを利用できる。ITリソース不足の問題も、直感的なインターフェイスで専門知識がなくても導入できて、あらゆるバックアップを一元管理するオールインワンソリューションだとした。

費用の問題はライセンスフリーで、ITリソースの問題は直感的なインターフェイスで、分散の問題はデータを一言可能なオールインワンソリューションであることで解決

 バックアップを一元管理するアプリ「Active Backup for Business」では各PC、ファイルサーバーなどのバックアップとデータ保護を実現し、仮想マシン環境のバックアップもサポートする。さらに「Active Backup for SaaS」はクラウドサービスに対応し、Microsoft 365とGoogle Workspaceを保護する。

Active Backup for BusinessはWindows、Linuxのほか、NASの各種プロトコルに対応
Active Backup for Businessがサポートする仮想マシン環境

 内山氏は、Active Backup for Businessの導入に加えて、バックアップを重層化する必要性を説いた。3つ以上のコピーを持ち、2種類以上の異なる媒体に保管、1つのコピーをオフサイトに保存する「3-2-1バックアップ戦略」が必要だという。

より堅牢なデータ保護戦略が必要! と鋭く指摘
「3-2-1バックアップ戦略」の概要
オールインワンのバックアップアライアンスのイメージ

 SynologyではC2クラウドをはじめとしたバックアップソリューションを用意し、さまざまなバックアップをオールインワンで提供しているという。さらに、ストレージ効率を最大化する「グローバル重複排除技術」で、サーバーのストレージ容量を大幅に削減できることを紹介した。

 そして、最後にコストの問題にも言及。他社のライセンス型のバックアップと比較して、同社のバックアップソリューションは大幅にコストを削減できるとし、ライセンス料が無料であることを強調した。

グローバル重複排除技術のイメージ
ほかの有料パッケージとの料金比較

監視カメラのソリューションも簡単に構築可能

 「柔軟でスマートな監視ソリューション」として説明を行ったのはアカウントセールスマネージャーの塚田滉之氏。まず、Synologyはストレージなどのイメージが強いなか、「監視ソリューションにおいても多くのユーザーからご好評をいただいている」とした。

アカウントセールスマネージャーの塚田滉之氏

 続けて同氏は、監視ソリューション「Synology Surveillance(Surveillance Station)」のデモを実施。カメラの登録からダッシュボード作成、配置したカメラのマップ上での追跡などのデモを紹介しながら、不法侵入時の警報や、ほかのIoTモジュールと連携して警報やライトの点灯、ドアの施錠などのアクションが実行できることなどを説明した。

わずか3ステップで監視ソリューションをセットアップ
カメラを選択する画面

 録画した映像は、ウェブブラウザーやPCのデスクトップクライアント、モバイルアプリから監視でき、サポートされるカメラは8300種類以上、140ブランド。ネットワークカメラの標準化インターフェイス「ONVIF」のプロファイルSとプロファイルGをサポートする。

マップ上にカメラを配置すると、アラートもマップで確認できる
ウェブブラウザー、PC、モバイルと、どこからでも監視が可能
Synology Surveillanceのシステムのイメージ
中央管理システムのイメージ

 システムは最大300台のNASと5000台のカメラに対応。中央管理システムによって複数の拠点も一元管理でき、拠点ごとに管理者を置く必要もなくなる。

 デモでは、Synologyの拠点である台湾本社からフランスの映像を管理する様子や、日本に新しい警備スタッフが配属された際にアカウントを付与して日本のサーバーへのアクセス権をすぐに与えられることなどが紹介された。

 そして塚田氏は、監視ソリューションもサーバーのサービス継続性やバックアップの機能を持っていること、そして拡張性の高いストレージを活用できることを説明。さらに、カメラの利用については、カメラ台数に応じたライセンス料はあるものの永久のライセンスとなり、ほかのSynologyのソリューションと同様に継続するための追加ライセンス料がないことを強調した。

 高度な映像解析機能を搭載したディープラーニングNVR(Network Video Recorder)モデルのNAS「DVA3221」「DVA1622」や、カメラ「500シリーズ」も紹介。カメラはドーム型の「BC500」とボックス型の「TC500」があり、HTTPSやSRTPによる暗号化、5メガピクセルで最大2880×1620ドットの解像度、IP67準拠の防塵防水性能、110度の視野角、電源アダプターに加えPoEによる電源供給も可能な点などの特徴が紹介された。

ディープラーニングNVRモデルでは5つの映像解析が可能
カメラ「500シリーズ」には2つのタイプがある

会場ではSynology製品を展示

 イベント会場では、NASなどの同社製品の展示も行われた。

新発売のスモールオフィス・ホームオフィス向け4ベイNASキット「DiskStation DS923+」
10GbE対応ポートを備えるビジネス向け6ベイNASキット「DS1621xs+」
ビジネス向け5ベイNASキット「DS1522+」
Wi-Fi 6対応ルーター「WRX560」
WRX560背面のポート
ディープラングNVRの「DVA3221」と「DVA1622」
NASキット「DS220+」とタブレットを組み合わせた監視ソリューション
BC500とTC500がある
WesternDigitalも出展し、NAS用HDD「WD Red Plus」を展示していた
DSMのメインメニュー
監視カメラの映像を表示
Synology DriveのmacOS用クライアント