ニュース

IBM、NASAと共同開発した地理空間基盤モデルをHugging Faceで公開

IBM news roomより

 米IBMと、AI・機械学習に関する学習済みモデルなどの共有サービスであるHugging Faceは8月3日(米国時間)、米航空宇宙局(NASA)の衛星データから構築されたIBMのwatsonx.ai(ワトソン)地理空間基盤モデルを、Hugging Face上でオープンソースとして公開した。

 気候変動などのため環境が刻々と変化する自然科学において、最新データへのアクセスは重要な課題になっており、データ量が増加する一方、科学者や研究者による分析が追い付かないことが問題になっているという。

 IBMとNASAは、NASAが有する地球および地理空間のデータから、IBMのAI技術を使用して新たな洞察の発見を目指し、AIの基盤モデル(ファウンデーション・モデル)を開発するための協業を、2023年2月に発表していた。今回公開された地理空間基盤モデルは、米国本土の1年間にわたるHarmonized Landsat Sentinel-2データ(HLS)を元に学習し、洪水や火事の焼け跡のマッピング用にラベル付けされたデータでファインチューニングされたもの。

 これにより、最先端の技術に比べて半分の量のラベル付けされたデータを使用しても、15%の改善を実証しているといい、さらにファインチューニングを加えることで、森林伐採の追跡、農作物の収量予測、温室効果ガスの検出と監視などのタスクに再展開できるとしている。IBMとNASAの研究者は、クラーク大学と協力し、このモデルを時系列セグメンテーションや類似性研究などにも適用しているという。

 NASAでは、本件を、包括的で協力的な科学的コミュニティーに向けた「オープンソース・サイエンス・イニシアチブ」の一環と位置付けている。IBMでは、地理空間モデルの商用バージョンを今年後半に提供開始の予定としている。