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YouTube、「創造性を強化するAI」「クリエイターの多様な収益化手段」など2024年の投資対象4点を発表

 YouTubeは2月7日、同社CEOであるニール・モーハン(Neal Mohan)氏のメッセージを日本版公式ブログで公開し、2024年の重点投資対象4点について説明した。

 同社CEOからの同様の投稿は毎年年初期(1〜3月)に行われるが、今年は4点に明確に話題が絞られていることが特徴。挙げられている4点は、「人間の創造性を強化するAI」「次世代の制作スタジオとして認識されるべきクリエイター」「YouTubeの次なる開拓地、リビングルームと定額制サービス」「基盤となるクリエイター エコノミーの保護」だ。

「AIは人間の創造性をサポートするもの」

 1点目に挙げられているのはAIだが、YouTubeでは、何年も前にYouTube を立ち上げたときと同じ使命、つまりクリエイターの創作活動を支援するという目的からAIの進歩に取り組んでいるとし、「AIは人間の創造性に取って代わるものではなく、人間の創造性をサポートするものであるべき」と強調している。

 そのうえで、アイデアをプロンプトとして入力することでAI が生成した動画や画像の背景をショート動画に追加できる「Dream Screen」、プロンプトを入力し、協力者であるアーティストを指名することで、そのアーティスト風の音楽をショート動画に挿入できる「Dream Track for Shorts」といった日本未導入の機能も紹介。適切な保護機能も構築しながら、すべてのユーザーに力を与えるAIツールを開発していくとしている。

クリエイターに多様な収益化手段を提供

 2点目はクリエイター向けに、収益の多様化をサポートするとしている。具体的には、広告収益だけでなく、ショッピング機能を利用した「商品の紹介」や、チャンネルメンバーシップなどの視聴者ファンディングの機能を挙げている。

 また、日本では未導入だが、クリエイターのコミュニティを構築し、そこからフィードバックを得る取り組みも行っているという。

リビングでの視聴および定額制サービスの拡大を受けた取り組み

 3点目は、動画のさらなる視聴拡大と、YouTube自身の収益化施策についてとなる。モーハン氏がYouTubeで働き始めた頃、その動画は大手制作会社のコンテンツとは全く別のものだと考えていたが、今ではその明確な区別はなくなったとし、「今では、世界中でYouTubeのコンテンツが毎日平均10億時間以上テレビ画面で視聴されています」と述べている。

 このような状況を受け、YouTubeのクリエイターはコンテンツもリビングルーム向けに最適化する方法を模索している。それに対して、過去3年間で、視聴時間の大部分をテレビ画面で得たトップ クリエイターの数は400%以上増加し、ユーザーは(意外にも)テレビ画面でショート動画を好んで見る傾向があると、昨今の視聴状況を紹介している。

 また、YouTubeの定額制サービスについても反響が高まっており、米国で提供しているテレビ向け有料配信サービス「YouTube TV」登録者数は800万人を超え、YouTube MusicとYouTube Premium の総メンバー数は、トライアルも含めて1億人を超えたという。このような状況を受け、「定額制サービスとリビングルームでのYouTube視聴という、最高の体験」を提供していくとしている。

ユーザーの保護とプラットフォームの健全性維持

 4点目は、クリエイターの収益を支えるユーザーの保護につながる施策だ。具体的には、子どもや青少年に向けた利用の健全性、コンテンツの健全性、メンタルヘルスへの配慮、政治(選挙)への影響も考慮したヘイトスピーチや暴力などに対するポリシー策定と運用などが挙げられている。

 今後も、ディープフェイクへの対策などに、既存のポリシーの運用と新しいレイヤーにあたるポリシーなどの策定を通して取り組んでいくとしている。