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まんだらけや全日警が語る、Synologyの監視ソリューションを選んだ理由

Synology Solution Day 2024 レポート

Synology Solution Day 2024

 NAS製品メーカーのSynologyが、法人向け製品について紹介するカンファレンスイベント「Synology Solution Day 2024」を、11月14日に都内で開催した。

 イベントでは、Synologyの法人向け製品について、ストレージと生産性ツール、データ保護ソリューション、映像監視ソリューションの3分野に分けてセッションで紹介された。また、展示スペースでは実際にそれらの製品がデモされていた。

Synology Japan株式会社のMike Chen氏(代表取締役社長)
アクセスされていないファイルを自動的にコールド層に移す「Synology Tiering」(発売予定)
NAS上で動くオフィススイート「Synology Office」で、生成AIによるドキュメント生成の機能(発売予定)
社内からの生成AIサービス利用を管理する「Synology AI Console」(発売予定)
バックアップ専用アプライアンス「Synology ActiveProtect」(2025年1月中旬以降販売予定)
ズームレンズ付きカメラ「BC800Z」、360度魚眼カメラ「FC600」、Wi-Fiカメラ「CC400W」が追加(発売予定)
クラウドに直接つながる「C2カメラ」(発売予定)
C2カメラ用のクラウドベースシステム「C2 Surveillance Station」

まんだらけ、警備会社、船舶がSynologyの監視カメラソリューションを導入した理由

 映像監視(監視カメラ)ソリューションについては、実際に自社や自社ソリューションで利用している企業によるパネルディスカッション「Synologyの監視ソリューションの実力はいかに!? ~採用ユーザー/プロバイダーの声を聴く~」が開かれた。

 パネリストは、古本やグッズを販売する株式会社まんだらけの田中幹教氏(代表取締役社長)、警備会社の株式会社全日警の塩崎耕司氏(商品開発部 開発2課 課長)、国際開発コンサルティングの株式会社シー・ディー・シー・インターナショナルの高田悠史氏(ICTソリューション事業部 コンサルタント)と、いずれもIT系企業ではない3社だ。モデレーターは、Synology Japan株式会社の間宮基晴氏(営業本部長)。

右から、株式会社まんだらけの田中幹教氏(代表取締役社長)、株式会社全日警の塩崎耕司氏(商品開発部 開発2課 課長)、株式会社シー・ディー・シー・インターナショナルの高田悠史氏(ICTソリューション事業部 コンサルタント)、Synology Japan株式会社の間宮基晴氏(営業本部長)

 まずは自己紹介を兼ねて、各社がSynologyの映像監視ソリューションの採用状況や選択理由について説明した。

 まんだらけは現在16店舗を展開している。店舗では万引防止や現金授受の証左として以前から監視カメラは導入していた。しかし、店舗内でしか映像を見られないと、店舗スタッフが接客しながら映像確認をしなくてはならないことから、遠隔地から簡単に集中監視できるSynology製品を採用したという。

 現在1000台ぐらいのカメラを導入しているとのこと。Synologyを選んだポイントやよかった点としては、カメラに加え録画など一式が含まれた形でコストパフォーマンスがよいことや、動体検知などからその時点をピンポイントで見返せること、壊れないことを田中氏は挙げた。

株式会社まんだらけの田中幹教氏(代表取締役社長)
店舗の監視カメラにSynologyを採用、遠隔地から集中監視

 全日警では、Synologyの映像監視ソリューションをベースにしたAIビデオ解析ソリューション「ANSビデオアイ」のサービスを展開している。Synologyを選んだポイントとしては、ルーターの内側のカメラに簡単にアクセス設定できる「QuickConnect」や、画像解析などのソリューションがハードに入って売り切りなこと、PoCで問題点を質問したときの対応が早かったことを塩崎氏は挙げた。

 ANSビデオアイは、小売店、食品工業、飲食店、建設現場で採用されているという。塩崎氏はその中でも、養命酒の駒ヶ根工場に併設して10月にオープンした体験施設「くらすわの森」で、来場者のカウントに採用されていることを紹介した。

株式会社全日警の塩崎耕司氏(商品開発部 開発2課 課長)
AIビデオ解析ソリューション「ANSビデオアイ」
「くらすわの森」の事例

 シー・ディー・シー・インターナショナル(CDC)では、船舶業者の明港汽船株式会社の事例を紹介した。船舶業界では、知床の遊覧船事故以来、船舶へのドライブレコーダーが必須になる動きがあるという。そこで、すでに病院に導入して実績のあったSynlogyを採用した。

 ただし揺れる船のためNASはハードディスクではなくSSDを搭載し、1隻に2台のカメラを設置して、ドライブレコーダーと積み荷を監視している。大阪事務所での集中遠隔監視もしているが、海の上ではネットワーク(4G)回線が途切れる場所もあるため、ネットワークが切れている間はNASに映像を記録して復旧したらその間の映像も見られるようにしているとのことだった。

 また新しい事例としては、津軽海峡フェリーの「シルバーブリーズ」にシップレコーダーとしてSynologyを導入したことも紹介された。この事例では合計8台のカメラを利用。船の左右が接岸するときの監視もしているという。

株式会社シー・ディー・シー・インターナショナルの高田悠史氏(ICTソリューション事業部 コンサルタント)
明港汽船の事例
津軽海峡フェリーの事例

 さて、パネルディスカッションとしての1つめのテーマは「人手不足が叫ばれる昨今、監視ソリューションの位置づけをどのようにお考えですか?」というもの。

 まんだらけの田中氏は、人がやる仕事を減らして効率化するのが急務になっていることや、監視カメラ設置も工数になることから、既存のカメラも接続できるSynologyが合っていることを答えた。

 全日警の塩崎氏は、人が映像を見続けるのは不可能に近いのでAIに任せられるところは任せることや、そのAIによって防犯カメラがマーケティングなどソリューションの幅が広がっていることなどを答えた。

 CDCの高田氏も、映像ソリューションの広がりについて触れ、カメラの映像によって、海難事故の解析から船橋の不法侵入の防止などへの応用もできることや、遠隔医療による医師不足の解決の可能性などについて語った。

「人手不足が叫ばれる昨今、監視ソリューションの位置づけをどのようにお考えですか?」

本音で語る、Synologyn追加して欲しい機能や製品は?

 2つめのテーマは「今後、Synologyに追加してほしい機能や製品はありますか?」。

 まんだらけの田中氏は、カメラライセンスが郵送で届くようになっているが、オンラインで買えるようにしてほしいと答えた。また、これからもカメラの種類を取り揃えてほしいことや、映像監視ソリューション用のNASにはCPUなどの性能が高いがベイ数が少なくコンパクトなものがほしいことを語った。

 全日警の塩崎氏は、HDMI出力があるモデルが増えてほしいことや、LANのポートが2つほしいことを答えた。また、個人向けに若い女性にウケるデザインのNASがあってもいいんじゃないかと笑いをまじえて語った。

 CDCの高田氏は、ニッチだがと前置きして、ドライブレコーダーのようなコンパクトなカメラがあるといいと答えた。また、前述したようにネットワーク接続が切れる環境において、NASがなくても映像を一次的にカメラにためてくれるものがほしいと語った。

「今後、Synologyに追加してほしい機能や製品はありますか?」

 3つめのテーマは、「Synologyの監視ソリューションの実力はいかに!?」。

 まんだらけの田中氏は、いくつかのメーカーの製品を試した中で、さわりやすく設定しやすいことや、アップデートが続くこと、サポートの回答が早いことがよかったと答えた。

 全日警の塩崎氏は、人数カウントの案件のときに、斜め画角で人数カウントできないか要望を出したところ、3カ月ぐらいで「トライアルができたので試してほしい」と連絡が来たというエピソードを紹介。要望にスピーディに対応してもらえるのがすごいと感じたと語った。

 CDCの高田氏は、自身がITの専門家ではないとしつつ、それでも初めてさわったときから操作できる使いやすさを答えた。また、知っているがまだ使えないさまざまな機能があるので、ユーザーたちが活用事例をSynologyで公開してもらえれば参考にしたいと語った。

「Synologyの監視ソリューションの実力はいかに!?」
Synology Japan株式会社の間宮基晴氏(営業本部長)