学研、「電子ブロック」アプリのiPad版を無料公開、回路図もいろいろ用意


 株式会社学研ホールディングスは31日、iPad用アプリ「学研電子ブロック for iPad」を3月11日付でリリースしたと発表した。iOS 4.2以降に対応しており、無料。

学研電子ブロック for iPad

 「電子ブロック」というのは、トランジスタや抵抗などの電子部品が組み込まれたブロックをパネル上に並べていくことで、ラジオやウソ発見器といったさまざまな電気回路を組み立てられる電子ホビー。学研では、「学研電子ブロックEXシリーズ」を1976年から約10年間販売していた。

 「学研電子ブロック for iPad」はこれをiPad上に再現したアプリで、完成した回路を数値演算に基づいてシミュレートして動作させることができる。組み立てたブロックレイアウトは保存や読み込みが可能。

 用意されている電子部品のブロックは、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、抵抗、ランプ、キースイッチのほか、数種類のリード線(導線)ブロックがある。リアルな電子ブロックでは、製品に含まれる各種ブロックの数が物理的に限られていたが、このアプリでは、レイアウトパネル(横8×縦6ブロック)上に展開できる範囲で各ブロックを無制限に使えるという。

 レイアウトパネルの外には、電子ブロックEXシリーズと同様、電流計とボリュームを装備しているほか、iPadならではの計器としてジャイロも装備した。

 「学研電子ブロック for iPad」には、「ブロックの並べ方と整流回路」「電流計を使おう」「ジャイロを使おう」という3つの基本回路が組み込まれている。このほか、別途さまざまな回路図も用意しており、iPhone/iPad向け電子書店アプリ「学研電子ストア」を通じて販売する。

 現在、「ノア回路の原理回路」を収録した「回路図(0)」を無料で提供しているほか、「せん光ランプ」「ランプの自動点滅回路」など収録した「回路図(1)」を230円で、「トランジスタの増幅作用」「アンド回路の原理回路」などを収録した「回路図(2)」を115円(4月5日までの期間限定価格)で販売している。このほかの回路図も順次リリースしていく予定だ。なお、これらの回路図は「学研電子ブロックfor iPhone」とは別製品となり、「学研電子ブロック for iPad」のみで使用できるものだ。

 学研では、「身の回りの電気製品はブラックボックスになってしまいましたが、iPad上で自分の手で電子部品を並べ、ランプを点滅させたり、明るさを自在にコントロールさせたりする電気実験の面白さを味わうことができます。ブロックを並べ終わって、スイッチを入れるときのドキドキ・ワクワクをぜひ体験してみてください」としている。

【追記 2011/04/01 20:00】
 なお、「学研電子ブロック for iPad」は、外界との入出力インターフェイスの部分でリアルの電子ブロックとは大きく異なるため、作成できる回路にも制限があることに留意する必要がある。

 まず、出力については原則、ランプまたは電流計(電圧計)などによって演算結果が表現できる回路に限られ、各電子部品の作用や回路の原理を学ぶためのものが多い。

 また、入力についても、リアル世界の電波や、手のひらを汗を検知するようなインターフェイスがiPadにはないため、リアル電子ブロックでおなじみのラジオやウソ発見器といった回路は残念ながらシミュレートできない。

 学研によると、「学研電子ブロック for iPad」では「自由に回路を作って機能すること」を目標にしたという。「リアルタイムのシミュレーションにこだわり、動作が不安定なもの、iPadの処理性能で演算結果が収束しないものなどは、涙を飲んでパーツから外しました。見かけ上、作れる回路が少なそうですが、その哲学をご理解いただければ」としている。


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(永沢 茂)

2011/3/31 14:16