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2025年度上期のFTTH純増は鈍化し、「乗り換え競争」が激化〜MM総研が「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」発表
2025年12月15日 07:30
株式会社MM総研は12月12日、2025年度上期(2025年4~9月)のブロードバンド回線事業者の加入件数調査結果を発表した。
FTTH契約は乗り換え顧客の獲得競争
FTTH(光回線)の契約数は2025年9月末時点で4131.6万件で、2025年度上期の純増数は26.8万件だった。 CATVアクセスのFTTH化や集合住宅向け(全戸一括型)の需要がFTTH市場の純増を下支えした一方で、普及率はすでに高く市場の成長性は低下傾向が続いている。市場では新規需要の獲得よりも、ブロードバンドサービス事業者による乗り換え顧客の獲得競争が激しくなっており、2025年度のFTTH純増数は53.1万件(前年度比22.8%減)と予測している。
「フレッツ 光クロス」のエリア拡大でNTT東西が順調な獲得
2025年9月末時点でのFTTH事業者の契約件数シェアは、NTTの光回線(フレッツ光および光コラボレーションモデル)契約数が東西合計で2389.8万件、シェアが57.8%となった。続けてKDDI、オプテージ、ソニーネットワークコミュニケーションズ、アルテリア・ネットワークスと並んだ。
NTT東西は10Gbpsの高速回線サービス「フレッツ 光クロス」のエリア拡大に伴う契約獲得が進み、2025年3月末時点から11.1万件純増した。
光コラボレーションモデルの2025年9月末の総契約件数は1771.1万件で、割合にして42.9%だった。契約数を伸ばしたのはソニーネットワークコミュニケーションズで、「NURO 光」の積極的な販促施策やキャンペーンも実施し、シェアを4.0%(2025年3月末から0.1ポイント上昇)に拡大した。アルテリア・ネットワークスは、集合住宅向け全戸一括型の導入が進んだ。
固定ブロードバンド全体でビッグローブが4位に上昇
固定ブロードバンド市場全体のシェアでは、NTTドコモがトップでシェア16.7%、以降はソフトバンク、JCOM、ビッグローブ、ソニーネットワークコミュニケーションズ、KDDI、オプテージ、ニフティと続いた。前年度は5位だったビッグローブが、ソニーネットワークコミュニケーションズを抜いて4位に浮上している。その要因としては、継続的なキャッシュバックや月額基本料割引キャンペーンなどの「厚みのある施策」が挙げられている。
NTTドコモが手がける「ドコモ光」は2022年度下期から純減が続いていたものの、2024年に開始したキャンペーン効果で2024年度末から純増している。JCOMは、固定回線サービスを軸とした販売にシフトし回線数が増加。これまで提供してきた同軸ケーブルからFTTHへの転換も順調に進んでいるとしている。
10Gbps対応が標準サービスに、5Gホームルーターも堅調にシェア拡大
固定ブロードバンド市場全体は緩やかな成長が続く見込みとしている。全体の動向として、ADSLが2026年1月末にNTT西日本がサービスを終了し(NTT東日本は2025年1月末に終了している)、CATVアクセスはFTTH化が進み、これらの契約数は減少する。一方、FTTHとワイヤレスの市場は継続的に拡大していき、固定ブロードバンド市場全体の2025年3月末から2028年3月末までの年平均成長率は1.4%と予測している。また、FTTH事業者は10Gbps回線を標準的なサービスとして注力し始めており、対応エリアの獲得とともに顧客獲得競争は一層激化すると分析している。



