SARVHが東芝を提訴、デジタル専用録画機の補償金支払い求め


東芝が2009年2月に発売した「RD-G503(W)」

 私的録画補償金管理協会(SARVH)は10日、東芝がデジタル放送専用DVDレコーダーの私的録画補償金を収めていないとして、補償金相当額3264万5550円の支払いを求める訴訟を東京地裁に提起したことを明らかにした。

 東芝では、2009年2月に発売したDVDレコーダー「RD-E303」「RD-G503(K)」「RD-G503(W)」の3製品について、アナログチューナーを搭載しないデジタル放送専用の機器であることから、補償金制度の対象機器となるかの結論が出ていないとして、製品に私的録画補償金を上乗せせず、納付期限である9月30日に該当機器の補償金を納付しなかった。

 これに対してSARVHでは、4月から東芝に対して納付を要請し、文化庁も9月に「デジタル専用録画機も補償金制度の対象機器に該当する」という見解を示していると説明。2011年にはデジタル放送に完全移行することから、このままでは「権利者の補償金を受け取る権利が完全に奪われることになり、著作権者等の権利保護と著作物の円滑な利用との調整を図ることを目的として設けられた補償金制度自体が崩壊することになる」として、当該機器が補償金制度の対象となるか司法の判断を仰ぐため、訴訟を提起したとしている。

 SARVHでは東芝に対して、当該3製品の補償金相当額にあたる3264万5550円の支払いを求めている。これは、当該製品の9月納付分となる、2009年3月末までに販売された3万1091台分の補償金にあたるという。

 私的録音録画補償金制度は、デジタル録音・録画による複製によって権利者が被る経済的不利益を補償するために、機器や媒体などに一定の割合で補償金を課し、著作権者に還元する制度。この制度に対して、デジタル放送専用の録画機が制度の対象となるかについて、関係者間で意見が分かれている。

 権利者側は、デジタル放送専用の録画機であっても、従来のアナログ録画機と同様に制度の対象機器になると主張。一方、家電メーカー側では、デジタル放送はダビング10などの著作権保護技術によりコピーがコントロールされていることから、補償金制度の対象とすべきでないと主張している。文化庁は9月に「デジタル専用機も補償金制度の対象機器である」との見解を示しており、これに対して電子情報技術産業協会(JEITA)、インターネットユーザー協会(MIAU)、主婦連合会が、この問題については早急に関係者間での協議の場を設け、文化庁の見解は撤回することを求める声明を発表している。


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(三柳 英樹)

2009/11/10 19:51