“非出会い系サイト”被害児童のほとんど、フィルタリングに加入しておらず


 警視庁は28日、SNSなどの“非出会い系サイト”に起因して児童が福祉事犯の被害者となった事件ついて、2010年上半期における調査・分析結果をとりまとめた。

 2010年上半期に検挙した、非出会い系サイトに起因する児童被害の福祉事犯は730件で、被疑者は599人、被害児童は601人。このうち今回は、捜査過程でサイトの利用状況などの事実が判明したものを集計している。

 被害児童が当該サイトへアクセスしていた手段としては、携帯電話が98.2%を占めた。また、フィルタリングには98.5%が加入していなかったこともわかった。

 ただし、一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)の認定サイトに起因した事犯が50.3%あることも報告している。EMAが認定したコミュニティサイトは、青少年の利用に配慮した管理・運用が行われているものとしてフィルタリングの対象から外れるため、たとえフィルタリングに加入していたとしても、被害につながったサイトにアクセスできる状況ということになる。

被害児童のアクセス手段とフィルタリング加入状況(警察庁の発表資料より)

 児童との連絡手段としては、SNSサイトなどで提供されている、わゆるミニメールを被疑者の59.0%が利用。また、連絡手段をミニメールから通常のメールに移行した上で児童を誘い出していたことがうかがえる結果も出た。ミニメールから通常のメールに移行した被疑者が95.5%に上った。通常のメールアドレスの連絡手段としては、ミニメールへの記載が94.6%、掲示板・プロフへの記載が3.7%、リンク先サイトへの記載が1.7%。

 警察庁では、今後の対策として、フィルタリングの普及徹底や、サイト運営者によるミニメールの監視体制の拡充などを挙げている。

被疑者のミニメール利用状況(警察庁の発表資料より)

 警察庁がこれまでに何度か発表したところによると、出会い系サイトに起因する児童被害の事犯が減少する一方で、非出会い系サイトに起因するものが増加しているという。なお、非出会い系サイトとは、SNSを主とするコミュニティサイトとなっており、EMAの認定サイトが半数を占めるとのことだが、あとの半数がどのようなサイトなのかなども含め、今回の調査でも具体的なサイト名は公表されていない。


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(永沢 茂)

2010/10/28 17:38