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新曲に金は出さない、持っている曲で満足……音楽の“有料聴取層”減少続く

 一般社団法人日本レコード協会は17日、2013年度の「音楽メディアユーザー実態調査」の報告書を公表した。音楽を聴くためにお金を支払う層が引き続き減少傾向にある一方で、既知曲しか聴かず、新しい曲にお金を出さない層が増加傾向にあるなど、音楽とのかかわり方の変化について報告している。

新品CD購入・CDレンタル利用・有料音楽配・着うたフル購入の相互関係(2013年度音楽メディアユーザー実態調査報告書-公表版-より)

 聴取層を4分類したセグメント構成は、「音楽を聴くために、音楽商品を購入したり、お金を支払ったりしたことがある」とした“有料聴取層”が44.5%、「音楽にお金を支払っていないが、新たに知った楽曲も聴いている」とした“無料聴取層”が19.1%、「音楽にお金を支払っておらず、以前から知っていた楽曲しか聴いていない」とした“無料聴取層(既知楽曲のみ)”が19.0%、「音楽にお金を支払っておらず、特に自分で音楽を聴こうとしていない」とした“無関心層”が17.4%だった。

 “有料聴取層”は2009年の調査で55.2%を占めていたが、2011年に49.6%と過半数を割り、今回もその減少傾向が続いている。“無料聴取層”は2009年以降、17.0%から19.1%の間で推移。一方、“無料聴取層(既知楽曲のみ)”は2009年の12.4%、2010年の12.2%から増加した。“無関心層”も2009年の15.4%から少しずつではあるが増加してきている。

 年代別で見ると、20~40代を中心に“有料聴取層”が減少。50代では“無関心層”が減少傾向にあるとしている。

音楽とのかかわり方で分類した聴取層のセグメント構成(2013年度音楽メディアユーザー実態調査報告書-公表版-より)

 “有料聴取層”においても、購入が減少した280人にその理由を尋ねた設問(複数回答)では、「現在保有している音楽で満足している」が45.9%で最も多く挙げられた。この項目は前年も38.0%で最多だったが、さらに増加したかたちだ。次いで「金銭的な余裕がなくなった」が39.4%で、これも前年の29.6%から大きく増加している。

 以下、3位「好きなアーティストが曲を出していない/出す曲が減った」が26.7%(前年26.8%)、4位「好きなアーティストに関係なく、買いたいと思えるような曲が減った」が24.0%(同23.6%)、5位「音楽を聴く時間を持てなくなった」が22.7%(同21.0%)と続き、これら3項目は前年と比較して大きな増減はない。

 一方、6位「音楽に対する興味が減った」は18.8%(前年14.0%)、7位「CDのレンタル利用が増えた」は17.2%(同12.4%)で、比較的増加している。また、8位「パソコン・スマートフォン等で視聴・利用できる無料の動画配信サイト(YouTube等)やアプリで満足している」も14.6%(同6.0%)となり、大幅に増加しているという。

“有料聴取層”の購入減少理由(2013年度音楽メディアユーザー実態調査報告書-公表版-より)

 “無料聴取層”の295人に非購入理由を尋ねた設問(複数回答)でも、「現在保有している音楽で満足している」が39.0%で最多。27.0%で3位だった前年から大きく増加した。一方、前年は32.0%で最多だった「購入しなくても好きな時に聴取できた(YouTube等を使った)ため購入しなかった」は、今回34.2%で「依然根強い」というものの、2位に下がった。

 3位の「パソコン・スマートフォン等で視聴・利用できる無料の動画配信サイト(YouTube等)やアプリで満足している」は28.9%で、前年の29.5%からほぼ変わらず。4位「購入したいと思ったが、金銭的な余裕がなかった」は27.6%(前年23.2%)で増加が比較的大きいほか、5位「パソコン・スマートフォン等で視聴・利用できる無料の音楽配信サイトやアプリで満足している」が21.4%(同10.7%)で、前年から大幅に増加している。

“無料聴取層”の非購入理由(2013年度音楽メディアユーザー実態調査報告書-公表版-より)

 調査は2013年8月、全国の12~69歳を対象にインターネットアンケートで実施したもの。回収した1545件の回答をもとに、集計にあたって日本の人口構成比に合わせた補正(ウェイトバック)をかけている。なお、音楽メディアユーザー実態調査は1986年から毎年実施しているもので、今回で28回目。

(永沢 茂)