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Tカードで紙と電子つなげる、TSUTAYAとBookLive!が連携して“AirBook”提供
TSUTAYAで紙の本を買うと電子書籍版も提供
(2014/6/30 13:22)
株式会社BookLiveとカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)は30日、戦略的パートナーシップに関する業務提携に合意したと発表した。
BookLiveが運営する電子書籍ストア「BookLive!」とCCCが運営する書店チェーン「TSUTAYA」を連携。ポイントサービス「Tポイント」を共通インフラに用いた総合書籍プラットフォームを構築し、紙や電子といった形式にとらわれない“新たな読書体験”を提供するとしている。
具体的には、BookLive!での電子書籍購入に対してTポイントを付与するほか、TポイントのIDとBookLive!を連携させ、以下のようなシームレスなサービスを開始する予定だ。
- AirBook:TSUTAYAで本を購入する際にTカードを提示すると、その本の電子書籍版がBookLive!で無料または割引価格で提供されるサービス。即座に本棚に自動的に並び、閲覧できるという
- FastRead:店頭にない本をTSUTAYAで注文した際、本が届くまでの間、BookLive!で電子書籍版を無料で読むことができるサービス
- 共通本棚:BookLive!およびTSUTAYAで購入した書籍を格納し、電子書籍と紙の本を一元的に管理できる共通本棚
- TSUTAYA360:TSUTAYAでDVD/CD、ゲーム、キャラクターグッズなどを購入・レンタルすると、その作品/コンテンツに関する電子書籍が無料または割引価格で利用できるサービス
- TSUTAYA店頭での電子書籍購入:店頭端末で電子書籍を検索し、レジで購入できるサービス
- BookLive!SPOT:TSUTAYAの「BOOK&CAFE」店舗に設置する無料のWi-Fiスポット。アプリのダウンロードや会員登録が不要で、BookLive!の電子書籍を気軽に楽しめる
これらのサービスは年内をめどに開始する予定だが、具体的なスケジュールは未定。また、AirBookやFastReadで電子書籍を無料または割引価格で提供するにあたっては出版社からの許諾が必要となるため、すでにBookLiveが出版社との話し合いを開始しているが、正式に許諾を得るのは今後になるという。現時点では具体的なタイトル数や価格は発表できる段階ではないとしている。
BookLive代表取締役社長の淡野正氏は、本のマーケットはまだまだ紙の方が大きいと説明。AirBookやFastReadは、リアル書店で紙の本を購入している層にも電子書籍を利用してもらえること、電子書籍サービスの会員登録に誘導できることが最大のメリットだとした。一方、TSUTAYAカンパニー副社長であるCCCの中西一雄氏は、できるだけストレスなく利用できる電子書籍サービスを目指さなければならないとし、少なくともTカード会員であれば電子書籍サービスの初期登録不要で利用できるかたちを目指すと述べた。
なお、両社のサービス連携にあたっては、個人を特定できないIDを使って、そのIDで購入された本を判別する仕組みだという。TSUTAYA、BookLive!それぞれ保有している購入履歴をそのまま互いの事業者に渡すものではないとしている。
CCCとBookLiveでは、両社が構築した総合書籍プラットフォームを、他の書店や電子書籍ストアにも解放していく考え。すでにBookLive!では、ポイントサービスや書店店頭での電子書籍購入サービスなどで株式会社三省堂書店と提携しているが、淡野氏は、この提携については継続していく考えだとした。ただし、CCCとのプラットフォームに三省堂書店も参加してもらえるようであれば、その可能性もあるとした。
一方、CCCグループでも独自の電子書籍サービス「TSUTAYA.com eBOOKs」を展開しており、これまでに紙と電子の販売を連携させたサービスなども実施している経緯がある。中西氏によると、CCCグループの既存の電子書籍サービスの今後については現時点では何も決まっていないとしている。