ニュース

NTTグループの研究成果を展示、スマホのカメラを使った展示会ナビや人工知能を使った運転支援技術など

 日本電信電話株式会社(NTT)は、同社の研究・開発成果を紹介するイベント「NTT R&Dフォーラム2016」を、NTT武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)で2月18・19日に開催する。16日に行われた記者説明会では、イベントや店舗で活用できる技術や人工知能を使った運転支援技術が紹介された。

 なお、本イベントは一般向けに広く公開されるものではなく、NTTグループ会社社員の招待制で事前の参加登録が必要だが、展示内容の一部についてはニコニコ生放送の「NTT R&Dチャンネル」で18日夜に紹介番組を配信する。

看板や展示物を撮影すると情報を表示する技術

 会場では、設置されている看板や展示物をスマートフォンで写すと、展示内容を表示する「かざして案内」機能を紹介している。同社が開発した画像認識技術「アングルフリー物体検索技術」を用いることで、さまざまな角度から物体を判別し検索できる。サーバー上の数枚の画像を補完することで、少ない画像で認識することができるという。観光客向けの「おもてなし」サービスとして、将来的には景色や建造物にかざすことで、情報を表示するデバイスなどを利用できるようにする。

 このほか、イベント会場や店舗などで活用できる技術として、「混雑マップ」「Wi-Fi強度マップ」機能が紹介された。混雑マップ機能は、混雑状況や現在位置を表示することで、ユーザーの効率的な回遊を支援するもの。直近30分前のデータから10分後の人の流れを予測し、イベント時や人身事故などの突発事象による混雑など過去の経験が活かせない場面でも対応できる人流予測・誘導を目指す。Wi-Fi強度マップ機能は会場内の繋がりやすいフリーWi-Fiを提示する機能。許可されたユーザーから電波の受信強度や通信速度の情報を収集する。ユーザーの各端末以外に、会場のサイネージなどにこれらの情報を表示する使い方も想定しているという。

会場ではイベント専用のアプリから各機能を体験することができた。「かざして案内」は展示パネルの前に人が立っている状態でも読み込める認識率
展示物も判別して情報を表示
観光客向けに情報を表示する透明型ディスプレイを搭載したデバイスの開発を進めている
プロジェクションマップを使って混雑マップなどを表示した例

ロボットとIoTデバイスを簡単に連携できるデバイス制御技術

 メーカーや開発者、サービス事業者向けのクラウド型デバイス制御技術「R-env:連舞」が紹介された。ロボット、センサー、ガジェット、アプリなどを簡単に連携させることを目的としており、ブラウザー上のGUI画面からデバイスごとのアクションの遷移を組み合わせることで、誰でも簡単にデバイス連携サービスを開発できるとしている。

 2016年度第一四半期には、サービス事業者やNTTデータなどのパートナーとデバイス連携サービスを推進する場「“R-env:連舞”Innovation Hub」を設ける予定。ロボットをはじめとするデバイスのハンズオンイベントやプログラミング経験のないサービス事業者を対象としたハッカソンイベントを定期開催する。また、フィールドトライアルやビジネストライアルを実施することで、デバイス連携サービスの商用化の促進を目指す。

「R-env:連舞」のGUI画面。プログラミング経験がない場合でも、簡単にデバイス連携サービスを開発できるという
コミュニケーションロボットが測定開始時や終了時のタイミングなどを伝える健康チェックサービスのデモ

人工知能などを使った運転支援で車の衝突を防ぐ

 NTTとトヨタ自動車株式会社、Preferred Networks社(PFN)は自動車、交通分野において、“ぶつからないクルマ”をコンセプトに安全な運転支援の実現を目指す取り組みを行っている。これらはNTTの「エッジコンピューティング技術」「低遅延・高信頼無線技術」とPFN社の人工知能を用いることで、安定した運転支援が行えるようになるという。

 エッジコンピューティング技術は、各自動車の近くに配置されている学習機能をもったサーバーで処理を実行することで、処理負荷を分散させるもの。複数の無線アクセス方式を組み合わせて安定した接続を確保する無線技術と併用することで学習結果の即時配信が可能になる。将来的には複数の車や路側設備から送られるデータから、交通渋滞の分析、学習、予測や緊急時、災害時に車両の優先度付けを行う処理の実現、インフラ技術の確率を目指すとしている。

行った行動によって“+/-”の報酬を与える。最大報酬「走る&ぶつからない」が得られるように、自ら運転のスキルを学習する
各車で学習した結果を他の車へリアルタイムで共有
各模型車や障害物とぶつからず、目標のコースを走るための次に行う行動を選択

(磯谷 智仁)