特集
令和6年分の確定申告は、サラリーマンも個人事業主も“定額減税”に注意
2025年2月17日 06:55
令和6年分の確定申告の季節が来た。申告期間は2月17日から3月17日まで。今回の確定申告で注意したいのは“定額減税”。確定申告が必須の個人事業主はもちろん、医療費控除などで還付申告をするサラリーマンも、定額減税の記入漏れがあると、納税額が増えてしまうので忘れずに記入しよう。
定額減税とは
2023年11月に当時の岸田首相が「増えた税収を分かりやすい形で所得税・住民税で直接国民の皆様にお返しする」と記者会見で述べて実施されることになった定額減税。1年以上前の話で、すっかり忘れている人もいると思われるので、まずは定額減税についておさらいをしよう。
定額減税は所得税3万円・住民税1万円の、計4万円が減税されるもので、納税者本人と扶養している親族の人数分が合計額となる。扶養する親族がいない独身の人は4万円、4人家族であれば16万円となる。夫婦共働きであれば夫も妻もそれぞれ4万円が減税される。
住民税(1人あたり1万円)は2024年6月から減税が開始され、個人事業主もサラリーマンもすでに減税が完了している人が多いと思われる。所得税(1人あたり3万円)は、多くのサラリーマンは賞与および毎月の給与の天引き分から減税されているはずだ。ただし、大家族で扶養する親族が多い人は減税額も多くなり、毎月天引きされる所得税で減税しきれなかった場合は“調整給付”が自治体を通じて実施される。
個人事業主の所得税分の減税は、確定申告で行う。また、すでに減税が完了しているサラリーマンで、医療費控除などの還付申告を行う人も、確定申告書に「人数×3万円」の定額減税を記入する必要がある。「なぜ? すでに源泉徴収票にも反映されているのに……」と思われた読者がいると思う。大人の事情? 政府の事情? 総理の事情? で、1回限りの制度なのに超複雑な仕組みで減税されるので、疑問はあれど、その仕組みに沿って申告しよう。
減税の対象者は?
納税者本人で対象となるのは所得1805万円以下の人。サラリーマンであれば年収2000万円以下、給与所得控除後の所得が1805万円以下の人。個人事業主であれば売上-経費=所得が1805万円以下の人が対象となる。多くの人が減税の対象と考えられる。
上記の所得1805万円以下の人の配偶者・扶養親族で定額減税の対象となるのは、所得48万円(=パート/アルバイトなら年収103万円)以下で、納税者本人と生計を一としている人。年少扶養親族=16歳未満の扶養親族も定額減税の対象となる。共働きで夫も妻も48万円を超える所得がある場合は、夫も妻も納税者本人として定額減税を受けられる。
少々複雑なのは、青色事業専従者給与受給者と白色事業専従者控除適用者。「なにそれ?」という人はスルーして大丈夫だ。例えば青色申告をしている個人事業主で、家族を従業員として雇い、青色事業専従者給与受給者としている場合、
- 青色事業専従者で令和6年(2024年)中に給与の支払いがない場合
事業主の控除対象配偶者として人数にカウントし、事業主側で定額減税する - 青色事業専従者で令和6年中の給与で所得税が発生する場合
共働きと同じで、青色事業専従者が定額減税を受ける - 青色事業専従者で令和6年中の給与で所得税が発生しない場合
青色事業専従者としては減税されないので調整給付の対象となる
白色事業専従者も同様に調整給付の対象となる
確定申告書の記入方法
具体的に確定申告への記入方法を紹介しよう。まず「第一表」。第一表の右側、税金の計算の44番に(今年だけ)[令和6年分特別税額控除(3万円×人数)]という欄が用意された。この欄の人数の枠に減税対象となる納税者本人と扶養する親族の合計人数を記入する。その人数に3万円を掛けた金額を右側に記入しよう。
「第二表」は中段に[配偶者や親族に関する事項]の欄がある。減税対象となる配偶者や親族がいる人はここに記入する。この欄の1行目は配偶者、2行目から下が扶養親族。それぞれ氏名、個人番号(マイナンバー)、続柄(子、親など)、生年月日を記入し、右端のその他の列に数字の2を記入しよう。
以上で定額減税が反映される。うっかり忘れると納税額が増えるので注意しよう。