監視カメラの今

監視カメラが今熱い! 個人・SOHO向け低価格監視カメラ選び方ガイド

 カメラの低価格が進み、録画システムにクラウドサービスやNASの活用も可能になったことで、導入の敷居が低くなってきた監視カメラ。従来の防犯目的に加えて、不在・在宅時にも玄関先などの屋外の映像を記録でき、PCやスマートフォンで映像を手軽に確認できる。

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監視カメラで映像を録画する方式は3タイプに大別

 監視カメラ導入の際には、カメラそのものの性能や価格はもちろんだが、どの録画方式を使って映像を記録するかを検討しておくといいだろう。録画された映像がどこに保存されるかによってPCやスマートフォンで使えるかどうかが異なり、利便性が大きく変わるからだ。

 映像の録画先には、大きく分けて「SDカード」「クラウド」「NAS」の3つがある。それぞれの特徴は以下の通りだ。

SDカード方式

 監視カメラ本体にSDカード(microSDカード)を装着し、そこに映像を記録するタイプ。カメラ単体のみで映像を記録できるため、もっとも手軽だ。だが、利用するSDカードの容量によって映像を保管できる期間が制限される。録画した映像は、カメラのウェブ管理画面、もしくは専用のソフトウェアを利用して再生する。SDカードをPCに装着して視聴するなら、ネットワーク接続環境がなくても利用できる。

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クラウド方式

 録画した映像をインターネット上のクラウドストレージに保存するタイプ。最近、よく見かけるようになった方式で、対応機種も少しずつ増えてきている。インターネット接続が必須となるが、保存先の記録媒体を自分で用意する必要がない。ただし、無料で使えるクラウドストレージの容量が限られる(サービスにより有料で拡張できる)ことがあるほか、保管できる期間が制限される場合がある。

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NAS方式

 家庭内に設置したNASに監視カメラの映像を録画するタイプ。NASの場合、数TBの容量を確保できるため、録画した映像を長期間保管できる。もともとは海外で店舗などの監視カメラソリューションとして利用されてきたため、「Milestone Arcus」や「Surveillance Station」などの高機能な監視カメラアプリを利用可能。複数台のカメラの映像を同時に表示することなどもできる。ただ、NASに対応したカメラを利用する必要があるため、カメラの機種が限られる。

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出先でのチェックが容易なクラウド、多くの映像を保存できるNASがおすすめ

 価格面を含む導入の手軽さでは、SDカード方式も悪くないが、今選ぶなら外出先からのチェックが楽なクラウド方式や、保管できる映像の容量が多いNAS方式がいいだろう。

 従来、監視カメラの映像を外出先からチェックできるようにするには、ルーターでの設定変更などが必要だった。だが、クラウド対応のカメラは、もともと外部との通信が前提となっているため、設置や設定が非常に簡単だ。

 無線LANによるネットワークのワイヤレス化だけでなく、バッテリー駆動により完全ワイヤレスで利用できる製品などもあり、設置が簡単なことに加え、設置場所を選ばないというメリットもある。

 一方、NAS方式のメリットは、大量の映像を保管できることだ。実際に運用を初めてみれば分かるが、監視カメラで大切なのは「いつまで映像を遡れるか?」という点にある。

 例えば、盗難や空き巣などの被害に遭ったとしても、しばらく実際の被害に気付かない場合がある。数日から数週間後に、やっと被害に気付いたとしても、SDカードやクラウド方式では、録画映像を保存できる日数が限られる場合があり、過去の映像が上書きされて残っていないことも珍しくない。その点、NASであれば、設定にもよるが数週間から数カ月の映像を保存しておくことができるので、こうした過去の被害にも対応できるわけだ。

 前述したように、複数台のカメラを接続して映像を同時に見られる上、それぞれの映像を保存もできるため、店舗や工場、オフィスなどでの利用にも対応できる。

 海外製NASでは、「ONVIF」と呼ばれる監視カメラの業界団体が定めた標準規格に対応した製品を利用できるが、国内で対応カメラを探すのが難しい場合もある。また、RSTPプロトコルに対応した汎用的な監視カメラも利用できる。

「PTZ」よりも防水、赤外線、撮影可能角度に注目

 一方、明確に“監視”が目的の中心であれば、「防水」と「赤外線対応」に注目してカメラを選びたい。

 つい、いわゆる「PTZ(パン、チルト、ズーム)」の対応に注目してしまいがちだが、監視目的では一定の地点を継続的に録画し続けるという使い方になるため、実質的にはパン、チルト、ズームの機能はあまり使わない。

 広い工場やオフィスなど、定点ではカバーしきれないエリアに対して、一定時間ごとにカメラ方向を自動的に動かしながら録画する「巡回機能」を使って、NASのカメラアプリなどで録画したり、カメラの方向を調整して特定の地点をリアルタイムで監視したいのであれば、PTZへの対応が必要だ。しかし、通常の家庭の玄関先の監視であれば、必須ではない。

 広い範囲を録画したいのであれば、PTZよりもむしろカメラの撮影可能角度に注目するといいだろう。定点で広い範囲を撮影できる方が死角が少なく、万が一のときの撮り逃しも少ない。

 また、屋外への設置を考慮して防水対策がしてあったり、深夜に照明がない環境でも映像を記録できる赤外線ライト機能を搭載していることも重要だ。特に防犯目的では、夜間や照明なしの状態の屋内を撮影できないと意味がないので、必ず赤外線撮影に対応した製品を選ぼう。

 また、カメラを屋外で利用する場合、ネットワークには対応していても有線LANのみの製品ではケーブルの配線が困難になることが多い。できれば無線LANに対応する製品が望ましい。

 ただし、監視カメラを無線LANで接続すると、録画のための通信負荷が高くなる。PCやスマートフォンでは5GHz帯を利用し、監視カメラは2.4GHz帯で接続するなど、無線LANの帯域を使い分ける工夫も重要だ。理想を言えば、監視カメラ用の専用ベースステーションが用意される製品を選ぶか、カメラ用に別途アクセスポイントを用意したい。

カメラの設置方法を検討、ねじ止めできないときは「突っ張り棒」を活用

 監視カメラの設置には、電源が必要になる。玄関先など屋外に設置する場合は、電源を確保できるかどうかを、あらかじめ確認しておこう。

 設置方法は監視カメラによって異なるが、大抵の製品は壁掛けできるようになっている。しっかりと固定したい場合は、壁にネジで固定しておこう。

 ネジ留めができない場合は、市販の「突っ張り棒」などを活用すると便利だ。壁や天井などを利用してつっぱり棒を設置し、そこにカメラを固定すれば、ネジ止めをしなくてもカメラを固定できる。

 いずれの場合も、広い範囲を撮影できるように、高い位置にカメラを設置しておくべきだが、あまり位置が高すぎると、来訪者を上から撮影する形になり、顔を判別できなくなる場合がある。カメラの映像を実際に確認しながら、設置場所を調整するといいだろう。

監視カメラが今熱い! 個人・SOHO向け低価格監視カメラ選び方ガイド 多少、見た目は悪いが「つっぱり棒」をうまく活用するとカメラの固定に便利
多少、見た目は悪いが「つっぱり棒」をうまく活用するとカメラの固定に便利

セキュリティに注意

 最後に、監視カメラを利用する上で非常に重要なセキュリティについて触れておこう。

 現状、販売されている監視カメラの多くは、スマートフォンを利用してインターネット経由で映像を確認できる製品がほとんどだ。

 インターネット経由でアクセスできるということは、仕組み上、自分以外の第三者もカメラへのアクセスが可能ということでもある。

 このため、監視カメラを設置する場合には、IDやパスワードの扱いには十分に注意する必要がある。既定で設定されているIDやパスワードから、必ず自分しか知らない、かつ複雑なパスワードに変更しておくのが鉄則となる。

 製品に既定で設定されているIDとパスワードのままカメラを利用すれば、映像を第三者に盗み見られてしまう可能性がある。

 監視カメラのファームウェアをこまめにアップデートすることも重要だ。監視カメラの中には、ここで触れたように、その脆弱性が過去に大きな話題になった製品も少なくない。各製品における脆弱性の有無は、米Cybereasonのウェブサイトなどでチェックできる。

監視カメラが今熱い! 個人・SOHO向け低価格監視カメラ選び方ガイド 米Cybereasonが提供しているウェブサイト。シリアルナンバーや標準パスワード、設定画面などから、脆弱性の有無を判定できる
米Cybereasonが提供しているウェブサイト。シリアルナンバーや標準パスワード、設定画面などから、脆弱性の有無を判定できる

 脆弱性のある監視カメラをそのまま利用していると、外部からIDとパスワードを使わずに接続されてしまう可能性もある。監視カメラによっては対策済みのファームウェアが配布されているので、必ずアップデートしておこう。初回だけでなく、設置後も定期的にチェックし、その都度、最新のファームウェアを適用することが重要だ。

 このような注意事項は、特定メーカーや国の製品に限らず、どの製品にも共通する。国内メーカー製だから安心という話ではなく、標準のパスワードのままだったり、古いファームウェアのままで使い続ければ、不正アクセスのターゲットになる可能性は十分にある。

 監視カメラという製品の特性をよく考えて、きちんと自衛することが何よりも重要だ。

監視カメラをはじめよう

 以上、監視カメラのメリットや製品選びのポイント、利用上の注意について解説した。今まで、興味がなかった人でも、監視カメラを使ってみたいと思ったのではないだろうか?

 とは言え、実際に設置して使う上では、録画方式の違いや製品ごとの細かな注意点も多くある。今後、掲載予定のレビュー記事などを参考にしてほしい。

 冒頭でも触れたように、監視カメラがあれば、今まで知らなかった留守の時の自宅周辺の様子が分かるようになるので、この機会にぜひ設置を検討してみるといいだろう。

 今回は、個人・SOHO向けに低価格化が進み、購入しやすくなった監視カメラ製品の選び方を解説しました。次回11月14日更新分では、ネットギアジャパンのクラウド録画型ネットワークカメラ「Arlo」について解説します。

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