監視カメラの今

磁石でどこでも設置の完全ワイヤレス! 「見えない」「撮れない」「つながらない」も完全解決 ネットワークカメラ「ネットギア Arlo」の実力とは

 ネットギアジャパン合同会社の「Arlo」は、ネットワークケーブルの接続も電源ケーブルの接続もいらない完全ワイヤレスを実現した世界初のネットワークカメラだ。しかしながら、本製品のスゴさは、それだけでない。一般的なネットワークカメラによくある「見えない」「撮れない」「つながらない」という欠点が、数々の工夫によって見事に解消されている。同社へのインタビューと実際の使い心地の検証を行いながら、その実力に迫ってみよう。

完全ワイヤレスを実現した世界初のネットワークカメラ「Arlo」の上位モデル「Arlo Pro」

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ネットワークカメラの悩み

 使ってみないと分からないのに、実際に使ってみるといろいろガッカリ……。

 そんな声が、よく聞こえてくる製品の代表と言えば、ネットワークカメラが挙げられるだろう。

 設置してみたはいいものの画質や画角の問題で肝心のところがよく見えなかったり、撮影範囲の動くものを検知できるのはいいものの一瞬しか撮れていなかったり、ネットワーク設定やNASへの録画が複雑でつながらなかったりと、いろいろな不満が耳に入ってくる。

 そんな実際のユーザーの声を丁寧に拾い上げ、既存のネットワークカメラとはひと味違う非常に「実用的」な製品として登場したのがネットギアの「Arlo」シリーズだ。

カメラ本体はバッテリーで動作し、ケーブルの接続は一切必要ない

 ネットギアジャパン合同会社の前田力氏(マーケティングマネージャー)は、その特徴について次のように説明する。

 「初代のArloは、2015年の発売当時、Wi-Fi接続とリチウム電池での動作により世界初の『完全ワイヤレス』を実現したネットワークカメラです。ネットワークケーブルや電源ケーブルを接続する必要がなく、どこにでも設置することができます。一般的な家庭や一人暮らしの女性など、ホームユースでも防犯に対する意識が高まっていますが、実際に導入しようとなると、どうしてもケーブルでの接続がハードルになっていました。これを解消したのが『Arlo』でした(前田氏)」

ネットギアジャパン合同会社の前田力氏(マーケティングマネージャー)

 ショッピングサイトなどでネットワークカメラを検索すれば、Wi-Fiに対応した製品を比較的リーズナブルな価格で見つけられる。しかし、こうした製品では、ワイヤレスとは言え電源ケーブルの呪縛からは依然として逃れることができず、設置場所が限られてしまうのが現状だ。

 また、屋外への設置というのも大きな関門になる。低価格のネットワークカメラのほとんどは屋内設置に限られており、玄関先やベランダなど、本当に見守りたいポイントに設置することができない。

 前田氏は、この点についてこう分析する。「現状のネットワークカメラは、屋外でも利用可能で高性能な法人向けプロ仕様の製品と、一見、機能的には充実しているようでも屋外利用ができなかったり、いかにもコスト重視で設計された低価格の製品で、二極化している状況です。我々ネットギアがArloシリーズで目指しているのは、この中間、つまり機能面でも価格面でも本当にユーザーが納得できる製品ということになります」。

 現在では、リチウム電池に代わりバッテリーを搭載した「Arlo Pro」が主力の製品となっている。価格は、カメラ1台とWi-Fi接続用のベースステーションがセットの「Arlo Pro VMS4130-100JPS」が3万2801円(税込、2017年10月14日Amazon.co.jp調べ)となっている。

 低価格ネットワークカメラの価格が1万円強、その一方でプロ向けの製品は10万円を越えるようなことも珍しくないことを考えると、価格的には確かに中間的な位置付けと言えそうだ。

背面がマグネットになっており、金属部分に簡単に固定可能。屋外にも設置可能で設置場所を選ばない

Arlo Proを選ぶ6つのポイント

 では、機能的にはどこまでプロ向けに迫れているのだろうか? この点について前田氏は次の6つのポイントを説明してくれた。

ポイント1:動かさなくても撮れる広角撮影

 Arlo Proのカメラは、HD画質の720p(1280×720ピクセル)の解像度で、130度という広い視野角に対応しています。カメラの視野角が狭いと、監視目的で設置した場合に『死角』ができてしまいます。その対策として、「パン」「チルト」でカメラの角度を調整できるものもありますが、カメラを動かさないと撮れない以上、死角があることに変わりはありません。大切なのは、常に広い範囲を撮影エリアとして捉えられることです。「動かさなくても広い範囲を撮れる」ということが、現在のネットワークカメラに求められる性能と言えます。

ポイント2:省電力でも撮影タイミングは逃さない1秒復帰

 Arlo Proは、Wi-Fiでベーステーションと接続していますが、Wi-Fiは想像以上に電力を消費します。バッテリー駆動のArloでは、この消費電力を抑えるために、普段はカメラをスリープさせておき、動くものを検知したときに自動的に録画を開始します。このとき、従来のネットワークカメラなどには、スリープからの復帰に5秒前後かかる製品もありますが、Arlo Proはわずか1秒でスリープから復帰できるようになっています。このため、肝心のシーンを撮り逃してしまうような失敗はほとんどありません。

ポイント3:撮り逃し防止に「音」も活用

 そうは言っても、被写体の動きが速ければ1秒に間に合わないのでは? という疑問もあるかもしれません。そこでArlo Proでは、スリープからの復帰に、動体の検知だけでなく「音」も活用します。ほとんどのケースでは、カメラの撮影範囲に入るよりも前に、何かしらの音が発生します。Arlo Proは、こうした音を検知した段階で、いち早く録画を開始できるので、撮り逃しの心配もありません。

ポイント4:複数台のArloが連携して撮り逃し防止

 撮り逃しの防止という点では、複数台のカメラを連携させることができるのもArlo Proの特徴です。例えば、玄関とリビングにカメラを設置していた場合に、玄関のカメラが音や動体で録画を開始すると、それと連携してリビングのカメラでも同時に録画を開始できます。こうした連携で、例えば玄関を通った不審者がリビングに入るまでの間に確実に録画を始められるので、移動する相手に対しても、撮り逃しを防止することができます。

ポイント5:大切な証拠を決してなくさないクラウド録画

 次のポイントは、録画データを消失しにくい点です。Arlo Proは撮影した映像データを自動的にクラウドに保存します。カメラ本体や業務用NVRでは、盗難された場合や破壊された場合に、せっかくの証拠となる録画データが失われてしまう危険性があります。クラウドならデータが失われる心配もほとんどありません。

ポイント6:今日はココ、明日はコッチができる手軽さ

 完全ワイヤレスで設置が簡単なArlo Proは、従来のネットワークカメラと違って設置場所が固定されません。例えば、普段は玄関先に設置してあるArlo Proを、今日はベランダに、というように設置場所を自由に変えることができます。普段、気にしていないところに、人が通ったような痕跡があるなど、気になることがあったときでも、スグに対応できます。

Arloセットアップの流れ

 もちろん、このほかにもセットアップが手軽でスマートフォンから簡単に設定できる点や、ルーターなどの機器設定が不要な点なども、Arlo Proの特徴として挙げられる。以下の手順で実際にセットアップを試してみたが、物理的な接続に時間がかからない上、アプリからの設定も書くべき点がないくらい本当に簡単だった。

 Arloシリーズが評価されている理由は、完全ワイヤレスという特徴だけでなく、上記のような非常に実用的なメリットが高く評価されているからにほかならないだろう。

1)カメラにバッテリーを装着
2)ベースステーションをネットワークに接続
3)アプリを利用してセットアップ
4)カメラを同期
5)設定完了

常時録画が可能な「Arlo Q」

 このように、コンシューマー向けネットワークカメラとして、ほかにはない特徴を備えるArlo Proだが、さらなる高機能を必要とするモデル「Arlo Q」もラインアップする。

 Arlo Qは、電源ケーブル(AC電源またはUSB)が必要な屋内専用となるモデルだが、解像度1080pと、より高画質なカメラを搭載している上、オプションの常時録画サービスを契約することで、24時間365日の連続録画に対応するのが特徴だ。

5/2.4GHz帯のWi-Fiに対応し、1080p解像度での常時録画可能な屋内専用モデル「Arlo Q」

 従来のArloシリーズとは少し方向性が異なる製品だが、その特徴について前田氏は、「Arlo Proは、動くものや音などに反応して録画を開始しますが、こうした動作は、留守中の家庭など、普段、動きや音がほとんどない環境での利用に適しています。しかし、営業中の店舗や道路に面した入口など、ビジネスシーンでは常に動くものがあるケースが考えられます。こうしたシーンでは、動体検知よりも、常時録画が可能なArlo Qの利用が適しています」と説明してくれた。

 なお、Arloシリーズは、製品に標準で添付され、無料で使える「BASICプラン」でクラウドへの録画サービスを利用できる。しかし、Arlo Qでの常時録画では、より多くのストレージが必要になるため、上位の「Premierプラン」への加入にプラスして「CVRプラン」を追加購入することで、常時録画を利用可能になる。

料金プラン
ElitePremierBasic
保存期間60日間30日間7日間
最大保存容量100GB10GB1GB
管理カメラ台数15台10台5台
月額料金(税別)1790円※1190円※無料 ※
連続録画プランの料金
カメラ台数1台2台3台
連続録画保存14日間1190円※1,785円※2,380円※
連続録画保存30日間2290円※3,435円※4,580円※

※各料金(税別)は2016年10月末現在。米ドルに連動

ReadyNAS+汎用ネットワークカメラの構成も

 法人向けという点では、Arlo Qに加えて、「ReadyNAS」を利用したソリューションも提供されている。

 前田氏によると「お客様によっては、360度の撮影に対応したプロ向けのネットワークカメラを利用したいというニーズもあります。こうしたニーズに対しては、ReadyNASを利用したソリューションを提供しています。ReadyNASには、『Milestone Arcus』という海外で高いシェアを誇る監視ソリューションを導入することができます。このツールは、『ONVIF』という汎用規格に対応したカメラに対応しており、カメラの映像を表示したり、その映像をReadyNASに録画することが可能です」とのことだ。

 ビジネスシーンでは、クラウドに自社データ、それもセキュリティやプライバシーが問われる動画データを保管することに抵抗がある企業も少なくない。また、複数台のカメラで24時間365日、連続で映像を保管するとなると、大量のストレージが必要になる上、WANの帯域を圧迫する可能性があり、クラウドが必ずしもベストなソリューションとは言えないケースもある。

10GBASE-Tを標準装備した「ReadyNAS 524X」

 さらに前田氏は、「ReadyNASは、標準機能で5段階のデータ保護機能(RAID、無制限のスナップショット、無料のアンチウイルス、ビットプロテクション、レプリケーション)を備えた信頼性の高いNASです」と、ネットワークカメラでReadyNASを利用するメリットを強調した上、「弊社はネットワーク機器ベンダーとなるため、10GbEにもいち早く対応しました。標準で10GbEを搭載したReadyNASも用意している上、スイッチなどもラインナップするので、トータルのソリューションとして提供することができます」と同社の強みも強調した。

 さらに米国では「FlexPower」という名称で、Arloと同様のビジネス向け完全ワイヤレスネットワークカメラと、ビジネス向けのWi-Fi親機を組み合わせ、ONVIF対応のカメラとして利用可能な製品も発表されている。日本での販売は計画中とのことだが、ReadyNASと組み合わせて映像を録画可能にするトータルソリューションも提供される見込みだ。

 カメラ、Wi-Fi、NASという組み合わせを1つのソリューションとして提供できるのは、まさにネットギアならではの強みで、ほかのベンダーにはなかなかマネのできないものと言えるだろう。

監視カメラメーカーとしてのネットギア

 以上、ネットギアArloシリーズの特徴について同社に話を聞きつつ、その特徴をまとめてみた。実際に使ってみても簡単な上、「監視カメラ」に求められるニーズが、機能として丁寧に落とし込まれている製品という印象だ。

 冒頭でも触れたように、監視カメラの良し悪しは、実際に使ってみないと分からない。もっと言えば、侵入や盗難など「いざ」という状況に直面してはじめて実感できることが多い。しかし、本製品なら「いざ」というときでも安心だろう。

 ネットギアというと、スイッチや無線LANルーター、ReadyNASといったイメージが強いが、これからは監視カメラメーカーとしての認知度やブランド力も上がっていくことも期待できそうだ。

(協力:ネットギアジャパン)

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