清水理史の「イニシャルB」【特別編】

こういうのでいいんだよ! 10GbE×2でユーザーニーズに応えつつコストとパフォーマンスを最適化した新型NAS「UGREEN NASync DXP4800 GT」

UGREENの新型NAS「NASync DXP4800 GT」

 UGREENにしては珍しく、派手目なゴールドのアクセントを纏った新型NASが、今回登場した「NASync DXP4800 GT」だ。先行して海外で販売されていたシリーズだが、今回、日本を含む複数の国での展開となった。

 海外でのキャッチコピーは「もっと寄り添う、あなたのデータセンター」となっており、ユーザーが今求めている機能を実装しながら、買いやすい価格を実現した製品となっている。それでいてマニアックな心も忘れない、まさに、「こういうのでいいんだよ」を実現したNASとなっている。

 なお、「NASync DXP4800 GT」は7月2日まで先行予約の限定価格で販売しているほか、弊誌読者限定で5%オフになるクーポンコードを用意いただいた。また、最大で購入金額の全額が返金になるメール登録抽選キャンペーンも行っている。詳しくは記事文末をご確認いただきたい。

朗報! 高価なスイッチなしでNASとPCを10Gbps接続可能に

 UGREENは、必要とする人に強く刺さるニーズを見つけ出すのがうまい。

 今回登場した新型NAS「NASync DXP4800 GT」も、まさにそんな製品で、スペックだけを見ると「ん?」と製品の方向性が分かりにくい部分もあるのだが、なぜそうしたのか、という意図が吞み込めると、「あー、なるほど」「確かに、こういうのでいいんだよ」と、思わず口に出てしまう製品となっている。

 その最大の要因となっているのが、背面にある2つの10GbEポートだ。

10Gbps対応のLANポートが2つある

 もちろん、10Gbps対応のNASは珍しくないが、本製品は実売価格が税込みで約10万円と、4ベイNASとしてはミドルクラスの価格設定でありながら、10Gbps対応のLANポートを、しかも2つも搭載している。

 同社の4ベイ対応NASの上位モデル(DXP4800 Plusや海外モデルのDXP4800 Pro)でも10GbEポートは1つなのに、それより価格を抑えたDXP4800 GTが2つも搭載しているのだから驚きだ。

UGREEN NASync DXP4800 GT
CPUAMD Ryzen Embedded R2514
コア/スレッド4コア/8スレッド
クロック2.1~3.7GHz
製造プロセス12nm
内蔵GPUAMD Radeon
メモリ規格DDR4
メモリ容量8GB
メモリスロット数2
最大メモリ容量64GB
最大周波数2666MHz
ECC対応互換性あり
フラッシュ64GB
HDDベイ数4(1,2はU.2 SSD対応)
HDD最大容量32TB×4
M.2スロット数2
M.2規格NVMe/2280
M.2最大容量8TB×2
ネットワーク構成10GbE×2
PCIe拡張
USB 3.2 Gen 2 Type-C1
USB 3.2 Gen 22
USB 2.02
SD CardSD 3.0
HDMI最大4K@60Hz

 「いや、2つもいらないでしょ」と思うかもしれないが、そうではない。UGREENのNASには、LANポートのブリッジ機能が搭載されており、LAN1とLAN2の間の通信を10Gbpsで中継できるようになっている。

10Gbpsポートをブリッジ構成可能

 つまり、10Gbpsの回線を使っている場合、以下の図のように接続することで、NASとPCの両方を10Gbpsでネットワークに接続できる。安くても3万円はする10Gbps対応スイッチを買わなくても、10Gbps回線にNASとPCの2台を接続できてしまうのだ。

 将来的に10Gbpsスイッチを追加するにせよ、とりあえずメインのPCとNASだけは、10Gbpsでつないで、ファイル共有もネット接続も10Gbpsにしたいという人にとって、このDXP4800 GTは、まさに一石二鳥の製品になっているわけだ。

DXP4800 GTならスイッチを追加することなく、最小構成でNASとPCの2台を10Gbps化できる

「U.2」とは……、珍しいし、うれしい

 また、本製品は何とU.2にも対応している。

 U.2は、かつてSFF-8639と呼ばれたインターフェースで、形状は一般的な2.5インチサイズのSSDながら、M.2 SSDと同じくPCIe接続に対応している。通常は、エンタープライズ向けのフラッシュストレージで採用されており、家庭用で採用している製品は非常に珍しい。

 DXP4800 GTは、4つのベイのうち1番と2番の2つがU.2対応となっており、ここに高速なSSDを装着可能になっている(もちろん、通常のSATA SSD/HDDも装着可能)。

NAS内部のHDD装着用コネクタ。通常のSATAと異なり、中間が少し出っ張っていることが確認できる。1と2に関しては、U.2で接続できる

 これまた「いやU.2なんて持ってないし……」と言われそうだが、NVMe to U.2の変換ケースは数千円で購入できる。これを利用すれば、大容量HDD×2+U.2×2+M.2×2という、なかなか個性的なストレージ構成のNASとして利用できる。

NVMeをU.2に変換可能なアダプター
U.2(左)とSATA(右)のコネクタの違い

 従来のUGREENの4ベイNASは、M.2スロット×2に装着したSSDをRAID 0/1でしか構成できず、キャッシュにするか、高速SSDボリュームにするかも悩ましかった。どうしてもSSDでRAID 5以上を組みたいなら、HDDの代わりにSATA接続のSSD4台を装着するしかなかった。というか、他社製品を含め、普通の家庭用NASであれば、この選択しかない。

 しかし、本製品はU.2を利用できることで、M.2スロットと組み合わせたNVMe SSD4台でのRAID 5/6/10の構成が可能となる。場合によっては、M.2×2をキャッシュにしつつ、U.2×2をSSDボリュームにして使い分けることもできる。家庭用のNASで、ここまで柔軟なストレージ構成ができる製品は珍しい。

 10GbE×2にせよ、U.2にせよ、一見、メリットが分かりにくいが、これまでのNAS製品にもどかしい思いを抱いていたユーザーにとっては、非常に腑に落ちる構成と言えるだろう。

1と2がU.2のSSD
U.2接続のSSDの詳細。インターフェースがU.2で、標準プロトコルがNVMeで認識される
手持ちの在庫の関係で容量が合わせられなかったが、U.2×2とM.2×2の4台でRAID 5/6/10も構成できる

なぜ今AMD Ryzen Embedded R2514なのか?

 さらに、本製品でもう1つ注目したいのが、CPUに採用されているRyzen Embedded R2514だ。

Ryzen Embedded R2514を搭載

 このCPUは、2022年にリリースされた組み込み用製品で、製造プロセスは12nm、Zen+アーキテクチャの製品となっている。対応メモリも最新ではなく、DXP4800 GTのメモリもDDR4の8GB(KT8GS4AE8)となっている。

 「明らかなコストダウンじゃん」と思うかもしれないが、まさにその通りだ。

 しかし、単なるコストダウンではない。これは緻密に計算された、非常に前向きなコストダウンと言える。

 UGREENのNASyncシリーズには、すでに販売終了になってしまったがDXP4800というエントリーモデルが存在する。DXP4800は、CPUにIntel N100を搭載し、メモリDDR5 8GBというスペックだった。

 しかし、同社が海外で公開しているベンチマーク結果を見ると、20%ほど、Ryzen Embedded R2514の方が高性能になっている。ネット上で公開されているベンチマーク結果を見ても、シングルコア性能ではわずかに上回り、マルチコア性能でやはり30%ほど高い結果となっていた。

 つまり、従来モデルよりも確実に高い性能を発揮できることを条件に、なるべくコストを下げることができるアーキテクチャを選択していることになる。

 周知のように、現状はPCやNASの価格が上がることはあっても、下がることは期待できない状況だ。特にメモリの価格が高く、大容量のメモリを搭載しようとすれば、どうしても価格は高くならざるを得ない。

 しかし、今回登場したDXP4800 GTは、現在販売されているDXP4800 Plus(参考価格10万5880円。実売価格は税込み9万円前後)と、ほぼ同じ設定となる税込み9万9880円となっている(7月2日まで先行予約セール中、詳細は記事文末をご確認いただきたい)。

 今時、価格据え置きというだけでも、驚異的だが、新モデルで、10GbE×2で、U.2も対応して、同等の価格を実現しているのは考えられない。

 もちろん、メモリがDDR5から、DDR4にスペックダウンしているが、これはむしろ好意的にとらえたい。NASの場合、メモリの速度というより、容量の方が重要になるシーンが多いため、後からユーザーが増設する場合に、DDR4ならいくらかコストを抑えられるし、場合によっては手元に余っているメモリを活用することもできる。筆者も手元にDDR4メモリがいくつか余っているが、まさか、再びDDR4メモリの活躍の場がめぐってくるとは思わなかった。

 冒頭でも触れたが、この製品の海外でのキャッチコピーは、「もっと寄り添う、あなたのデータセンター」だ。こうして、10GbE×2やU.2、Ryzen Embedded R2514と、この製品のポイントを考えてみると、この「寄り添う」という言葉に込められた深い意味に気づかされる印象だ。

あいかわらずの完成度

 前置きが長くなったが、実際の製品を見ていこう(個人的には、むしろ本稿の前置き部分こそが、この製品の魅力の全てだと思っているが……)。

 本製品は、これまでに国内販売されていた同社のエントリーモデルDXP4800の後継モデルだ。GTシリーズならではとなるゴールドのアクセントカラーが印象的だが、全体的なデザインや筐体の作りなどは、従来モデルを受け継いでいる。

正面
側面
背面

 相変わらずガッシリとした筐体が印象的で、実際に稼働させてもファンの音も静かだし、振動もほとんど感じない。

 革命的だったHDDトレイも継承されており、本体の金具を押せば、カシャリと幅が広がり、HDDを装着して、サイドから押し込むだけで固定できる。底面のM.2スロットのダンパーも健在で、開けやすさと振動防止に一役買っている。このあたりは、すでに完成しきっているというか、変えようがない印象だ。

革命的な機構を採用したHDDトレイ
底面のフタを開けた様子。メモリ2スロット(標準で1つ使用)、NVMe2スロットを装備。もちろんダンパー付き

 設定も簡単で、スマートフォンのアプリを使って、パーソナルストレージとして簡単にセットアップできる。リモートアクセスやストレージ構成などにユーザーを誘導するガイドも自然だし、使いやすさに関しては、未だに他の追従を許さない印象がある。

初期設定の中で、自然とリモートアクセスに必要な設定が可能なうえ、次に何をすればいいかを確実にガイドする。この丁寧さがUGREEN NASyncシリーズのメリット

 その一方で、製品の登場直後は、Btrfsのスナップショットが取れないなど、ストレージとしての基本部分で足りない機能があったが、継続的なアップデートによって、すっかり足腰も鍛えられた印象だ。

登場当初足りないと言われていた機能も拡充。ユーザーの声に着実に応えてきた

 本稿の執筆タイミングでも、1.16.0.0089のアップデートが実施され、Btrfsのスペースクリーンアップ機能の追加や、ファイル情報のプレビュー機能によるファイル名やタグのクイック編集が可能になった。少しずつ進化を重ね、着実に使いやすくなっている印象だ。

レビューのタイミングでファイルのプレビュー機能が追加されるなど、タイムリーにアップデートも実施された

 個人的には、仕事で使っているOneDriveとの同期もできるし、スナップショットやバックアップでデータの保護もできるし、NASに保存した文書はそのままオンラインドキュメントのアプリで編集できるし、NASの基本的な使い方で不満を感じることはなくなった。

NAS上の文書もそのまま編集できるし、基本的な使い方で困ることがなくなった

 そのうえで、スマートフォンの写真バックアップも簡単だし、保存した写真はAI機能で自動的に分類されるなど、最先端のNASとしての利便性も損なわれていない。10Gbpsのネットワーク速度のおかげで、動画の保存も速いし、過去に撮影した写真も保存するだけで自動的に人物や動物などで分類されており、手間なく管理できる。

 特に、筆者は仕事で画面のスクリーンショットをよく撮影するが、本製品にはAIによる文字認識機能が搭載されているため、こうした画像もベンチの値など画面内の文字列をもとに検索できるのも便利だ。

スマートフォンからのバックアップも簡単
人物などもAIで自動認識してくれる
文字認識で画像データの値で検索することもできる

 また、UGREENは、話題のOpenClaw(DockerコンテナをWeb UIで管理しやすくするツール)への取り組みも積極的で、アプリセンターから簡単に導入できる仕組みも搭載している。ただし、残念ながら、今回レビューした製品ではまだダウンロードできなかった(おそらく発売前の試用だったためアプリセンター側に型番が登録されておらず、対応機種として認識されなかったと考えられる)。

 Dockerのバージョンが26.10なので、動作させるアプリを慎重に見極める必要はあるが、さまざまなアプリを追加できるのも便利だ。

10Gbpsでランダムアクセス性能を高めるiSCSI

 今回は、せっかく10GbEを利用できるのでiSCSI(NAS上のストレージ領域を、PCからはあたかも内蔵ディスクのように見せる技術)も試してみた。

 本製品は、そもそもSMBが標準で無効になっているのだが、PCから10Gbpsの速度でアクセスできるなら、SMBよりもiSCSIを利用した方がランダムアクセスが高速になる(特に仮想マシンをNAS上に設置する場合に効果が期待できる)。

SAN Managerを使ってiSCSIも利用してみた

 実際にRAID 10にSSDキャッシュ(RAID 1)構成で、SAN Managerを使ってiSCSIターゲットを作成し、SMBとの速度を比較したのが以下の画像だ。

HDD4台をRAID 10構成にし、さらにNVMe SSD×2をRAID 1構成でキャッシュ設定した状態で、SMBでアクセスしたのが左の画面、iSCSIでアクセスしたのが右の画面

 SEQ1MのQ1T1の値もiSCSIの方が高いが、RND4K Q32T1はSMBがリード62.8MB/s、ライト52.65MB/sであるのに対して、iSCSIはリード395.68MB/s、ライト179.11MB/sと圧倒的に速い。

 明らかにプロトコルの差が出ており、多数のランダムアクセスが発生するケースでは、iSCSIの方が効率よく処理できることが分かる。

 ゲームの場合、製品によってはSMBと大差ないかもしれないが、前述した仮想マシンなどは明らかに効果が期待できるうえ、場合によっては動画編集でNAS上に保存した素材(動画だけでなく、画像や音楽なども)を扱う場合はiSCSIの方が有利なケースもありそうだ。

 使い勝手もローカルディスクに近いので、10Gbpsを生かすなら、一部の領域をiSCSIに割り当てて、外付けストレージ的に使うのもよさそうだ。

家庭用NASとしての責任に応える製品

 以上、UGREENの新型NAS「NASync DXP4800 GT」を実際に使ってみたが、この製品は家庭用NASとして、重要な存在となりそうだ。

 ほかのNAS事業者は、どちらかというとエンタープライズ向けへと製品を移行しつつあり、家庭でのニーズとマッチしにくくなっている。製品が新しくなるほど、高性能になるほど、その傾向は強く、価格もどんどん手の届きにくいものになっている。

 本製品は、こうした状況の中、「家庭用」「個人用」という軸がぶれていないどころか、今回のDXP4800 GTでは、ユーザーニーズ、パフォーマンス、コスト、という互いに競合する要件の中で、非常にうまく製品としてのバランスを取った製品になっている。

 普通に考えても良い製品と言えるが、10GbE×2によるブリッジやU.2による柔軟な構成など、欲しい人にはぶっ刺さる特長も持っている。これからNASを始めたいと思っている人もそうだが、古くなったNASをそろそろ買い替えたいと思っている人にも、ぜひ検討して欲しい製品と言えるだろう。


先行予約の割り引きに加えて読者限定クーポンで5%オフ、さらに最大で全額返金になるキャンペーンも

 今回紹介したUGREENの新型NAS「NASync DXP4800 GT」と2ベイモデルとなる「NASync DXP2800 GT」は7月2日まで先行予約として割引価格で予約を受付中だ。

 公式サイトでは、「NASync DXP4800 GT」と「NASync DXP2800 GT」がそれぞれ20%オフの7万9900円と5万5900円で販売しているほか、Amazon.co.jpでもクーポン価格とポイント増量でお買い得となっている。

 それに加えて、本誌読者限定のクーポン(さらに5%オフ)もご用意いただいた。

 UGREEN NASの公式サイトAmazonの販売ページでの購入が対象で、「NASync DXP4800 GT」のクーポンコードはどちらで購入する場合も「INTERNETGT」。また、「NASync DXP2800 GT」のクーポンコードは、UGREEN NAS公式サイトで購入する場合は「INTERNETGT」、Amazon.co.jpで購入する場合は「INTERNETGT1」となる。

 また、公式サイト限定で「DXP GT発売記念キャンペーン!」も開催中。公式サイトで「NASync DXP4800 GT」か「NASync DXP2800 GT」のいずれかを購入の上、メールマガジンに新規登録すると抽選で下記の特典が当たる。

  • 1等(2名):購入金額を全額返金
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清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。YouTube「清水理史の『イニシャルB』チャンネル」で動画も配信中