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住民税が高い自治体/安い自治体はどこ? 地域差はいくら?【2026年版 最新ランキング】

全47都道府県+4市を比較、さらに水道料金の差も調べてみた

 勘違いしている人がいる住民税の地域差。正しい情報を伝えるため2022年から掲載している住民税ランキングの記事。今年も徹底的に調べて正確な情報をお届けしたい。今回は水道料金の自治体による差も調べてみた。

 住民税は住む自治体によって差がある。ただし、差があると言っても多くの自治体でわずかな差しかなく、引っ越してメリットがあるほどの差ではない。ところが都市伝説的に「トヨタがある豊田市は住民税が安い」「自分の住む〇〇市は住民税が高い(らしい)」などと思っている人は少なくない。若い人は住民税の話をすることはまれなので、40代、50代、60代……と年輩の人ほど(飲んだ席で知人から聞いて?)住民税の都市伝説を信じている人が多い。今回も住む自治体によって住民税がどれくらい高いのか、安いのかを「2026年版 最新ランキング」としてお知らせしよう。

 加えて今年は、自治体により何倍も差がある水道料金を調べてみた。ご自身の住む自治体の水道料金は高いのか、安いのか、参考にしていただきたい。

住民税が高い/安いランキング1位の自治体は?「課税所得200万円の人」で比べてみた

 住民税の課税所得(課税標準額)が200万円の人の年間の住民税額をランキングで見てみよう。47都道府県に、住民税の高い「兵庫県豊岡市」「神奈川県横浜市」「兵庫県神戸市」、住民税の安い「愛知県名古屋市」を加えた51自治体を住民税が高い順に並べてみた。4市以外は都道府県内の自治体の住民税は同じとなっている。

課税所得(課税標準額)200万円の人の年間の住民税額を高い順に並べた自治体のランキング

※事例の課税所得200万円というのは、サラリーマン独身(扶養家族なし)、生命保険未加入で社会保険(厚生年金+健康保険+雇用保険)を65万円とすると、年収は440万円ほどとなる。なお、表の住民税額には国税の森林環境税は含まれているが、家族構成(人的控除)で決まる調整控除(-2500円~)はどこに住んでも一律なので含まれていない。

 住民税高いランキング1位は兵庫県豊岡市、2位は横浜市、3位タイは宮城県と神戸市、以下、5位タイは岩手県、岐阜県など6県が並んでいる。

 表の「差額」は、住民税を増税していない(=標準課税の)東京都(を含む41位タイの10都道県)を基準とした場合の差を表している。東京都に比べ兵庫県豊岡市は2800円、横浜市は1700円、宮城県と神戸市は1200円高い。サラリーマンの住民税は12分割して毎月天引きされるので、宮城県や神戸市に住むと東京都より住民税が月額100円高くなる。

 一方、住民税が安いのは名古屋市。令和5年(2023年)まで減税を行っていた大阪府田尻町が標準課税に移行したため、住民税の減税を行っている自治体は名古屋市だけとなった。

住民税の差=ほとんどが都道府県の「均等割」の差

 住民税の自治体ごとの差は、ほとんどが各都道府県の均等割の差によるものだ。

住民税は所得割+均等割。市民税、県民税の所得割(税率)と市民税、県民税の均等割(○○円)の4つのパラメータで住民税の差が決まる

※住民税について詳しく知りたい人、ご自身の住民税を計算してみたい人は、こちらの関連記事を参照していただきたい。

住民税はどうやって決まる?
計算方法と決定通知書の見方を詳しく解説
【2026年(令和8年)版】

 均等割は、都道府県民税の額が1000円になっている10都道県は増税がなく、残りの37府県は府県独自の増税が行われている。このような自治体独自の増税を「超過課税」と呼ぶ。市区町村で均等割の増税を行っているのは横浜市(横浜みどり税 900円)、神戸市(認知症対策 神戸モデル 400円)の2つの市だけだ。均等割の減税を行っているのは名古屋市のみ。200円の減税で市民税が2800円となっている。

 超過課税を行っている37府県の増税額は、宮城県の1200円(みやぎ環境税)が最高額。大阪府の300円(大阪府森林環境税)が最少額。愛知、鳥取、広島、福岡などの500円が20県と半数以上を占めている。

 鳥取県は令和6年から全国で始まった住民税に森林環境税(国税)を上乗せして徴収することに考慮して、令和5年から税額500円はそのまま、県独自で同じ名称の「森林環境税」を新たな「豊かな森づくり協働税」に名称変更した。真面目に取り組んでいる感があり好ましい。同様に国の森林環境税と同じ名称の超過課税を行っている自治体のうち、大阪府と福岡県は令和7年から「大阪府森林環境税」「福岡県森林環境税」と名称変更を行っている。令和8年に名称変更したのは宮崎県。国税と同じ「森林環境税」を「宮崎県水と緑の森林づくり税」と名称変更、税額は500円で変更はない。

 次に、47都道府県に市民税の均等割が標準課税でない横浜市(市民税 +900円、県民税 +300円)、神戸市(市民税 +400円、県民税 +800円)、名古屋市(市民税 -200円、県民税 +500円)を加えた50自治体を、均等割の高い順に分類してみた。

 最高額の宮城県で年額1200円となるが、月額にして100円はそれほど大きな額ではない。近隣の岩手・山形・福島に引っ越しても年に200円の減税、青森・新潟なら年に1200円の減税となるが、そもそも各自治体の超過課税は数年後に増税・減税されるかもしれないので住民税を理由に引っ越す意味はない。

住民税(所得割)の税率を上げている自治体は神奈川県と兵庫県豊岡市の2つ

 均等割を増税している府県は37と半数を超えているが、住民税の所得割の税率を上げている(増税)のは神奈川県(+0.025%)と兵庫県豊岡市(+0.1%)の2つの自治体だけだ。都道府県民税、市町村民税の合計税率は通常10%だが、神奈川県民は10.025%、豊岡市民は10.1%となる。例えば課税所得(課税標準額)が100万円、200万円、400万円のそれぞれの所得割部分の増税額は、神奈川県民は250円、500円、1000円、豊岡市民は1000円、2000円、4000円と所得額に応じて増えていく。

住民税が安い自治体は名古屋市のみ

 次は住民税の安い自治体。令和5年まで住民税の最も安い自治体だった大阪府田尻町の町民税が標準課税に移行したため、住民税が安い自治体は名古屋市のみとなった。

 名古屋市の均等割は市民税が-200円だが、愛知県の県民税が+500円なので東京都より300円増税となる。所得割の税率は名古屋市が-0.3%で7.7%。県民税の税率が2%なので計9.7%となる。名古屋市の課税所得(課税標準額)が100万円、200万円、400万円の所得割部分の納税額は、-3000円、-6000円、-1万2000円と所得額に応じて減税される。この減税額はそこそこ魅力的だと感じられる。

水道料金は自治体により大きな差安い自治体/高い自治体を調べてみた

 この先は雑談レベルの内容なのでお時間のある人はお付き合いいただきたい。住民税そのものは、自治体による差は小さい。一方、水道料金、国民健康保険の自治体ごとの差を耳にすることは多い。今回は水道料金について調べてみた。

 全国に自治体は1700ほどあり、全ての自治体の水道料金を調べることは難しい。今回、筆者が水道料金を調べた自治体の数は47都道府県の県庁所在地を含む約100なので、参考程度に見ていただきたい。

 まず、47都道府県の県庁所在地の水道料金について、2カ月換算の「基本料金」「20㎥」「40㎥」の料金を一覧化してみた。パッと見て、基本料金だけ同じ、20㎥だけ同じという自治体はあっても、全て同じ水道料金の自治体はない。それだけ水道の料金体系は複雑ということだ。

宇都宮市松江市は令和8年(2026年)10月から料金を改定するので、10月以降の料金で計算している。また、現在、高知市などいくつかの自治体で水道料金の減免を行っている。2025年の年末に政府の「重点支援地方交付金」で各自治体が「おこめ券」を配る・配らないで話題になった際、多くの自治体が水道料金の減免で市民に還元する選択をしたもの。4カ月くらいの限定施策なので、通常の水道料金で計算している。

 次に、「基本料金」「20㎥」「40㎥」の料金をそれぞれ安い順にソートしてみた。例えば、仙台市の基本料金は5位、20㎥は36位、40㎥は41位となっている。東京23区は基本料金は25位だが、20㎥は7位タイ、40㎥は5位と使用量の多い人が割安な料金体系だ。

 「基本料金」「20㎥」「40㎥」全てで上位10位以内に入っている自治体は徳島市のみ。逆に38位~47位の下位10位以内全てに入っている自治体は福島市、松江市、長野市となっている。

 全国1300あまりの自治体・団体の水道料金を調査した資料は日本水道協会が平成31年4月に発刊した「水道料金表」がある。同じ日本水道協会の調査「数値で見る水道」によると、上水道の料金改定を行った事業体は平成28年が65、平成29年が74、平成30年が68と、毎年70前後の自治体・団体が水道料金の改定を行っている。平成31年発刊の「水道料金表」から8年、おそらく500自治体・団体がすでに料金改定を行っている可能性があり、最新の水道料金のランキングを知ることは難しそうだ。

 次は、水道料金が安いと言われている自治体から30ほどの自治体をピックアップし、最新の水道料金を調査。その中から筆者が選んだ10自治体の水道料金を算出してみた(全ての自治体を調べていないので、水道料金が安い自治体トップ10とは言えない)。兵庫県赤穂(あこう)市はブッチギリの安さだ。この安い10自治体に共通するのは基本料金と20㎥が同じ金額となっていること。犬山市以外の9自治体で毎月10㎥(2カ月で20㎥)まで基本料金内となっている。小人数の世帯であれば、いくら使っても基本料金内になりそうだ。町村部が多い中、赤穂市はもちろん犬山市と昭島市の安さは魅力的だ。

 最後は、水道料金が高いと言われている自治体から30ほどの自治体をピックアップし、最新の水道料金を調査。その中から筆者が選んだ10自治体の水道料金を算出してみた(全ての自治体を調べていないので、水道料金が高い自治体トップ10とは言えない)。熊本県上天草市以外は北海道・青森県の自治体となっている。水道料金が高くなる要因は、広大なエリア、少ない人口、古い設備、凍結対策、水源からの距離などが影響するため、過疎地・寒冷地は水道料金が高くなる傾向がある。

 水道料金の安い自治体と高い自治体で20㎥の料金は1000円台前半と6000円前後で約6倍。40㎥も2000円台と1万2000円前後で約6倍。大家族で引っ越しする人は水道料金を事前に確認したほうが良さそうだ。

 2022年から毎年お届けしている住民税ランキングの記事は、「○○市は税金が高い」という間違った都市伝説を正すためにスタートした。今年は水道料金について取り上げたが、過去に取り上げた指定ゴミ袋財政力指数など、住民税に差がなくても、異なる側面で自治体ごとに差はあることを理解していただきたい。

住民税が高い自治体・安い自治体はどこなのか、差額はいくらなのか――47都道府県などをランキングにして比較した2022年8月初出の記事をアップデートし、今回、その一部を抜粋・再編集して紹介した。同記事ではこのほかにも「都道府県民税」と「市町村民税」、「均等割」と「所得割」の内訳についての一覧表や、課税所得100万円・200万円・400万円でそれぞれ算出した「住民税が高い自治体」のランキング、水道料金の比較グラフなど、20枚ほどの画像と表を使用して解説している。同記事を未読の方はもちろん、すでに読んだことのある方もあらためて記事全編を読んでいただければ幸いだ。

※「INTERNET Watch」ではこのほかにも、サラリーマンと個人事業主がぜひ読んでおきたい税金に関する記事を多数掲載しています。関連記事インデックス『サラリーマンと個人事業主の“税金の話”まとめ』よりご参照ください。