【特集】
2003年春 あのサービスは今
華々しく始まって最後はひっそりと消えるものがあれば、始まりも終わりも派手なものまで、さまざまなサービスの“その後”を追い続けて早3年。今年もいきます、「あのサービスは今」!
※記事中のURLには、サービス終了に伴ないリンク切れのものも含まれています。
●2002~2003年に終了のサービス
2002年も多くのサービスが登場し、また消えていった。ここでは2002年~2003年に終了(および終了を表明した)サービスをまとめている。一部はサイト消滅など、アクセスできない状況になっているものも含まれる。なお本誌記事で開始・終了を取り上げたものは、記事URLも併せて記載した。
■111.tv
http://www.111.tv/
KDDI運営の動画配信サイトで、2001年11月に開設。3月末でサービスを終了し、今後ブロードバンド時代にふさわしい新サービスを開始する方向という。
・111.tv、3月末でサービスを終了(Broadband Watch)
■AllKorea
http://www.allkorea.co.jp/
韓国関連のポータルサイトで、韓国の最新情報や日韓交流掲示板などで構成していた。“「日韓の国民間の交流を深め、友情を育もう」という開設当時の使命を終えた”として、今年1月に終了。提供は日本サムスン。
■Genuine http://www.miserv.net/
MIS提供していた無線LANサービス。総務省の認可の問題などから基地局設置計画に変更が生じ、2002年12月でサービスを停止した。
・MIS、無線LANサービス「Genuine」を休止
■Car@Now http://carnow.com/
香港の通信キャリア、PCCWの日本本格展開としても話題になったブロードバンド自動車サイト。開始から1年後の2002年9月に終了した。
・PCCWJ、自動車サイト「Car@now」を開始~FOMAや110度CSも視野に
■CESA.game.com http://www.cesa.or.jp/press/other/gamecom010626_main.html
コンピュータエンターテインメント協会がネットワークゲームへの認知向上のために運営していたが、当初の目的を達成したとして2002年6月に終了。
・CESA、ネットワークゲームの普及を促進させる活動を開始
■Cyber Auction http://www.cyberauction.ne.jp/
オークションサイト向けに、クレジットカードを利用したエスクローサービスを提供していたが、今年2月で終了。
・デジタルガレージ、カード会社の個人認証・決済機能を利用したエスクロー開始
■Free FTP Service
http://ftp.sk-kaken.co.jp/
エスケー化研が行なっていた無料ファイル転送サービスで、ユーザー登録などを必要とせず、手軽に20MBまでのファイル受け渡しができる機能を提供していた。2003年1月にサービスを停止。
・使えるサービスが続々登場!「オンラインストレージ」活用術
■Homestead Powered by Dream net
http://www.dream.com/information/other/20030115.html
米Homestead社のJavaによるオンラインHTMLエディタを使ったホームページ作成サービス。今年2月に終了している。
・ドリームネット、会員向けに専用ホームページ作成ソフトを提供
■IIJ Backup4U http://backup4u.iij.ad.jp/
https://help.iij4u.or.jp/Info/20020918-1.html
IIJが提供していたバックアップを主体としたオンラインストレージサービス。2002年12月にサービスを停止した。
・IIJ、100MB対応のオンラインバックアップサービスを試験提供
■InfoNavigator
http://infonavi.infoweb.ne.jp/
富士通提供の検索サイトで、1996年からロボット型・ディレクトリ型のサービスを提供していたが、2002年6月で終了した。
・検索エンジンInfoNavigatorに新機能~キーワード探しを手助け
■Jmusicサーチ
http://www.jmusic.ne.jp/
日本レコード協会とレコード会社が共同で行なっていた音楽情報ポータルサイトで、国内外の音楽ニュースやCDカタログ検索機能を提供。2002年5月で終了している。
・日本レコード協会、音楽情報ポータルサイト「Jmusicサーチ」開設
■Libra
http://www.libra.ne.jp/announcement.asp
家電やパソコンなどの商品スペック・価格を比較できるサービスを1999年から提供。楽天の子会社化の後、一部を「楽天スペック比較」に継続しての終了となった。
・商品比較サイトの「Libra」がサービス終了へ
■Lycos マネーモーション http://money.lycos.co.jp/motionnews/
ポータルサイトLycosによる有料金融情報サービスで、月額900円でリアルタイム株価などの配信を提供。4月末でのサービス終了を表明している。
・ライコス、有料課金サービスを開始~まず漫画と株価情報から
■Money Park
http://www.money-pk.com/
野村證券、三井住友銀行、日本生命など6社が共同で、2000年から展開していた個人向け金融情報サイト。この3月末で終了となる。
・三井物産系のキュリオシティが増資~楽天などと真っ向勝負(Finance Watch)
■Net-U インターネット決済サービス http://www.u-card.co.jp/index1.html
ユーカードが運営していたプリペイド型の小額決済サービスだが、3月末での終了を表明している。
・使ってみました!インターネットショッピング決済技術 第13回「NET-U」
■OCNボイスプロンプト http://www.ocn.ne.jp/personal/v-prompt/
専用ソフトをインストールすることで、音声でWebページ閲覧が可能になるサービスを提供。この3月25日での終了が決定している。
・NTTコム、音声でWeb操作ができる「OCNボイスプロンプト」を開始
■ODNエキサイト
http://odn.excite.co.jp/
エキサイトがISPのODNにOEMとして提供していたサイトで、3月3日に終了。
・ポータルから“トレンドセッター”向けサイトへ~エキサイトが事業計画を発表
■OnSale http://www.onsale.co.jp/
ソフトバンクと米OnSaleの合弁会社によるオンラインオークションサイト。BtoCのオークションを主体としていたが、2002年7月にサービスを終了した。
・オンセール、「安心取引機能」を導入した消費者間オークションを開始
■PAXNet http://www.paxnet.co.jp/
インプレスと韓国PAXNet社による合弁企業で行なってた金融情報サイト。専用ツールや動画配信のASP提供も行なっていたが、2002年8月で終了した。
・パックスネットインプレス、個人投資家向け金融情報サ-ビス 「PAXNet」を開始
■PercasTV http://www.percastv.net/contents/WhatsNew/WhatNew_31.html
Vaioユーザー向けの動画配信サービスを提供、後に一般ユーザーにも対応した。3月末でのサービス終了を発表し、最終日には特別番組を配信する予定だ。
・ソニースタイル、動画配信サービス「PercasTV」を3月31日で終了
■SEBank
http://www.sebank.co.jp/
システム技術者向けに技術情報や金融情報を配信するサービスを提供。2001年暮れから実質的なサービスを停止した様子で、すでにWebサイトは閉鎖されている。なお同サイトと連動していたスルガ銀行のSEBank支店は現在もサービスを続けている。
・CSKとスルガ銀行、システム技術者向けサービスの「エスイーバンク」設立
■Visual Town http://www.visualtown.com/
オリンパスが提供していたオンラインアルバムサービスで、デジカメ画像に加えサウンドファイルの保存にも対応していた。2002年6月で終了。
・夏の想い出を回覧&プリント~オンラインアルバム使いこなしガイド
■World Nature Network http://www.wnn.or.jp/
NTTが運営していた自然・環境関連の総合サイトで、子供の学習をテーマとした「こねっとワールド」や地域情報の「ハローねっとジャパン」など、多数のコンテンツを提供していた。2002年6月に終了、一部コンテンツは「環境goo」に引き継がれている。
・米Oracle社がNTTの「こねっと・プラン推進協議会」参加を発表
■WorldsChat/J 3(1996/5~2003/1) http://www.globewarp.or.jp/halt.html
1996年から提供していた古株のアバターチャット。今年1月にサービス終了となった。 ・お気に入りのインターネットチャットソフトを見つけよう
■あしたのキャリア相談室
http://career-soudan.com/
リクルートが運営する就転職関連のQ&Aサイトで、質問者と回答者のどちらにもなれる点が特徴。3月20日での終了を発表している。
・リクルート、キャリア関連コンテンツを“相談”と“測定”で拡充
■インクトゥミ・ジャパン
http://www.inktomi.jp/
サーチエンジン技術で知られる会社の日本法人で、1999年設立。2002年12月で営業活動を停止していたことが明らかになったが、Yahoo!による米社買収との関連性は不明。
・米Inktomiの日本法人「インクトゥミ・ジャパン」が営業活動を終了
■インターネットキーワード(RealNames) http://japan.realnames.com/
IEのアドレスバーに会社名や商品名を入力すると、関連したWebページが表示されるサービスを提供。Microsoftが米社との契約更新を拒否したことから2002年6月にサービス停止となり、米社CEOの内部資料暴露が話題になった。またこれに伴ない、日本レジストリサービス(JPRS)が同サービスを用いて行なっていた日本語汎用JPドメイン名によるWebアクセスサービスも終了している。
・“インターネットキーワード”の米RealNamesが営業を停止
・日本語汎用JPドメイン名によるIE向けウェブアクセスサービスが終了
■エムタウン http://www.em-town.com/closing4.html
みずほファイナンシャルグループを中心に共同設立した企業で運営していた金融・ECサイト。有料会員制で会員数が伸び悩み、2002年10月で終了。なおインターネットバンクの「みずほ銀行エムタウン支店」は引き続き営業中だ。
・みずほ銀グループの「エムタウン」が終了~ネット専業支店は継続へ
■エコシティ21 http://www.ecocity21.com/
エコロジー的な観点に合った商品を扱う店舗のみのECサイト。2002年11月に終了し、現在は参加店舗・団体へのリンクが掲載されている。
・エコロジーに特化したライフスタイル提案型サイト「Ecocity21.com」
■エクスペリエンス http://www.workprice.net/
オンライン年収診断サービスや、求人情報などのコンテンツを提供。インテリジェンスとの合併に伴ない、今年2月でサービスを停止した。
・こんなご時世ですから…備えておきましょう~転職サイト特集
■こみゅー3D http://www.commue.com/
専用ソフトを利用するアバターチャットで、ソニーが運営していた。2002年10月で終了。
・3Dチャットソフト「こみゅー3D」のDirectXベータテスト版がリリース(窓の杜)
■三健人 http://www2.health.ne.jp/sankenjin/index.html
生活習慣診断やメールによる健康アドバイス配信といったサービスを提供していたが、3月末で終了の予定。サイトのトップページでは“いよいよはじまる!インターネット新健康サービス”とある隣に「サービス終了のご案内」へのリンクが……。
・NTTデータ、健康サイトで“節酒プログラム”提供
■セブンナビ http://main.sej.co.jp/06/0601/0601link/148.html
セブン・イレブン店頭のキオスク端末を用いたECサービス。マルチコピー機を利用したサービスへの転換に伴ない、2002年10月にサービスを終了した。
・セブン-イレブン、ネット対応コピー機による新サービスを開始 マルチメディア端末「セブンナビ」のサービスは終了へ
■トロのつぶやきメール http://www.toromail.com/
http://www.scej.jp/toromail.html
「どこでもいっしょ」のキャラクター「トロ」から毎日メールが届くサービス。ソニー・コンピュータエンタテインメントが運営していたが、2002年8月に終了。
・SCEI、「トロのつぶやきメールサービス」が8月31日で終了 (Game Watch)
■バーゲントラベル
http://www.bargain-travel.co.jp/
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/bargain1.html
オンラインで格安航空券などを販売するサイトとして知られていたが、今年1月末に業務停止を発表。業務停止以前から客にキャンセルした旅行代金を返金しないといったトラブルが多発し、現在も解決していない。
■ファイルローグ http://www.filerogue.com/
日本MMOが運営していたP2P型ファイル交換サービス。音楽業界団体からの仮処分申請や訴訟を経て、東京地裁によるサービス停止命令後、2002年5月に終了した。なお東京地裁は、今年1月に日本MMOに対する著作権侵害の中間判決を下している。
・ファイル交換サービス「File Rogue」終了へ~新サービスを予定
・「ファイルローグ」裁判、日本MMOが著作権侵害の主体と認定
■フレッシュアイ 無料レンタル掲示板 http://bbs.fresheye.com/
不正投稿防止やメール通知、他の掲示板からの移行支援など、多彩な機能を持つ掲示板サービスを提供。保守費用がかさんで無料での運営が難しくなったことから、2002年11月に終了した。
・フレッシュアイ、多機能な無料掲示板サービスを開始
■まんがの国 http://manga.accessticket.com/
講談社や小学館、白泉社などの参加で運営していたマンガのオンライン配信サイト。連載中作品の配信などユニークなサービスを行なっていたが、2002年11月で終了。
・まんがの国、定期刊行コミック雑誌を一冊丸ごと無料配信
■モバイルオンラインストレージ http://mobile.photohighway.co.jp/mos2/
専用ソフトで利用する多機能なオンラインストレージサービスを提供していた。2002年8月で終了。
・使えるサービスが続々登場!「オンラインストレージ」活用術
■ゆびとま はっぴぃカード http://yubitoma.jp/card/
http://www.yubitoma.or.jp/tomare/to_nl/nl021115_0.html
知人・友人のアドレス管理をオンラインで行なえるサービスを提供。パートナー企業の事情などから、2002年11月で終了している。
・ゆびとま、5周年を記念しネット名刺サービス「はっぴぃカード」を開始
●移管・変更・復活したサービス
サービス自体は続いているものの、運営企業が変わったり、無料サービスから有料に変更したという事例も、毎年いくつか登場している。また今年は、一度は終了、もしくは終了を宣言したサービスが、ユーザーからの継続を望む声や他企業からの支援を受けて復活するケースも出始めてきた。こうした流れは歓迎したいところだ。
■246-net http://home.246.ne.jp/news/2002030601.html
東京急行電鉄の運営するISPで、東急関連企業のイッツコミュニケーションズのISP「iTSCOM.net」と2002年4月に統合した。メールアドレスなどは引き続き246-netのものを利用できる。
・東急電鉄、246-netをiTSCOMに営業譲渡、グループのネットワーク事業を統合(Broadband Watch)
■CNET Japan http://www.cnetnetworks.jp/
1997年から運営しているIT系ニュースサイト。運営元がNTTPCコミュニケーションズから、新たに設立されたシーネットネットワークスジャパンに移行して継続している。
・CNETの日本法人設立、1月1日より新生「CNET Japan」をスタート
■Club IBM http://www-6.ibm.com/jp/jpccinfo/clubibm/
IBMによる会員制の情報サービス。今年2月に一度終了を発表したが、ユーザーの反響が大きかったことから見直しを図って、新たな会員制度としてリニューアルする方向という。
■Infosphere http://www.sphere.ne.jp/
NTTPCコミュニケーションズが運営するISPから、個人向け接続サービスをOCNに統合した。Infosphereはビジネス用途に特化したサービスに転換。NTT関連では、2002年12月にNTTコムが、NTTドコモが所有するドリームネットの全株式取得を発表。OCNとの統合を検討しているという。
・OCNとInfoSphere、個人向けISP事業を統合
・NTTコム、ISP「ドリームネット」の全株式を取得~OCNとの統合も視野に
■iTools http://www.apple.co.jp/itools/
http://www.mac.com/
アップルによるオンラインサービスで、無料メールやオンラインスペースなどを提供。2002年9月、スケジュール機能などを持たせた有料サービス「.Mac」に移行した。 ・Appleが有料インターネットサービス「.Mac」を提供開始
■LogoVistaオンライン翻訳サービス http://www.logovista.co.jp/trans/
http://e-trans.logovista.co.jp/
無料のオンライン翻訳サービスを提供していたが、2002年7月よりサービスを有料化。月額500円となって対応言語も増やしている。
・ロゴヴィスタ、8ヶ国語対応の双方向オンライン翻訳サービスを開始
■mypop http://www.mypop.jp/
専用ソフトを用い、デスクトップに情報を配信するサービス。インターネット黎明期に無料ISPとして話題になった後倒産したハイパーネットが特許出願していた技術を利用し、すでにユーザーは10万人を超える。
・“ハイパーシステム”によるプッシュ配信サービス「mypop」がスタート
■PhotoHighway Japan http://www.photohighway.co.jp/
http://www.photohighway.co.jp/
無料のオンラインアルバムサービスを提供していたが、今年3月から6カ月1,800円~の有料サービスに変更。理由は機能強化のためとしている。
・パワーバンド、大容量対応のオンラインフォトサービスを開始
■Voizi http://www.voizi.net/
音声コンテンツ対応記述言語「VoiceXML」を使用した日本初の音声ポータル。1年間の試験運用ののち、法人向けASPサービスとして方向転換した。
・日本テレコム、音声ポータル「Voizi」の試験提供開始
・日本テレコム、音声ポータルの法人向けASPサービス
■シーズネット http://www.shes.net/
CSKネットワークシステムが運営していた女性向け無料ISPで、有線ブロードネットワークスの子会社・ユーズコミュニケーションズに事業移管を行なった。サービス内容の変更は特にないという。
・CSKネットワークシステム、「Shes.net」などのISP事業をUSEN関連会社に移管
■シリコンバレーエクスプレス http://www2.nihon.net/sve/
米シリコンバレーのITニュースを配信するメールマガジン。1997年より開始し、この3月での休止を発表していたが、継続要望が強いため、リニューアルして継続することを表明した。
■日経B2O http://b2o.nikkei.co.jp/
http://www.nikkei.co.jp/close/b2o/
20代のビジネスマンを対象に、最新ニュースやフリーメール、スケジューラーといった機能を提供。今年2月に「BIGLOBE BB-WAVE.com」と統合し、「BB-WAVE BIGLOBE/NIKKEI NET」となった。
・日経、20代ビジネスマン向けパーソナライズサイトを提供
■バーゲンアメリカ http://www.bamerica.com/
http://manekineko.us/
1995年から運営してきた老舗ECサイト。5月に突然の終了を発表、休止した後に、マネキネコという企業がスポンサーとなって復活した。
・オンラインショップの老舗「バーゲンアメリカ」がサービス終了
■ボトルメール http://www.bottlemail.jp/
リクルートが運営していたコミュニケーションメールサービスで、2002年1月に一度はサービス終了を発表したものの反響が思った以上に大きく、開発者が代表を務める新会社の情報建築によって運営が再開された。
・「ボトルメール」が復活!~開発者達がボランティアでサービス継続
■ライブドア http://www.livedoor.com/
無料ISPとして160万人のユーザーを抱えつつ、負債増加のため2002年10月に民事再生法を申請。オン・ザ・エッヂが事業譲渡を受けてサービスを継続する形となった。無料ISPを引き続き展開しながら、「livedoor ストア」や「livedoor ダイエット」など新サービスを追加している。
・ライブドアが民事再生法を申請
●過大な幻想と過小評価を超えた先に~これからのネットサービス
ネットサービスのその後を追うこの企画は、2001年から始めて今年で3回目。哀しいかな、終了するサービスは毎年増加するばかりだ。今回は弊誌でなんらかの形で取り上げたサービスを中心に構成したが、掲載しなかったものを加えるとさらに多くのサービスが終了している。
この3年間でインターネットを取り巻く環境は大きく変化した。利用者は2倍以上に増えて5,000万人を超え、2000年には64kbps以下がほとんどだった回線状況も、ブロードバンドユーザーが1,000万人突破間近といった状況になった。こうした大きな変化がある一方で、ネットサービスが大きく成長する機会は、まだ訪れていないのではないだろうか?
複数のネットベンチャーやサービスの立ち上げに携わったある業界関係者は、2000年前後の時期を振り返り、「ビジネスプランを見ただけで、まだ何も出来ていないのに億単位の出資が行なわれることが珍しくなかった」と言う。ちょうどヤフーの成功がクローズアップされていた時期で、ネットベンチャーの第一の目標は、ネットのジャンルでトッププレイヤーとして名前を挙げること。早く始めてブランド名を定着させることで、投資拡大を狙う戦略をとるところも少なくなかったという。この時期はポータルサイトなどがTVコマーシャルを積極的に行なっていた時期でもあり、まず名前を認知させようという雰囲気が、インターネット業界全体に強かったともいえる。
同氏はまた、「リアルの企業には、とにかくインターネットをやっておかなきゃ、という空気が強かった」ともいう。必要性や事業に合った内容かはさておき、“インターネットで何かしておかないと乗り遅れる”という危機感から、とりあえず手を出しておこうという姿勢だ。この時期は、いわばネットとリアルの双方で、それぞれインターネットに過大な幻想を抱いていたともいえるだろう。
その後ネットバブルがはじけ、多くのネットサービスや企業が淘汰され、現在はネットそのものが過小評価されているという。利用者が大幅に増加し、回線環境も格段に向上したにも関わらず。
「インターネットへの過大な期待から注目がぐっと集まって、それがなくなり、今はある意味停滞している時期。インターネット自体は人々の生活に浸透し続けているわけだし、上昇する時期はまたやって来るはず」と同氏。そのときの鍵になるのは、偏らないことだという。
「例えばサービスを立ち上げるときは、これがあれば便利、これでこのニーズを満たせるといった具合に考えるわけだが、提供する側がニーズと捉えているものが、利用する側にとってはニーズではない可能性がある。またネットを利用する人がこれだけ増えると、もはやネットユーザーと一般の人に違いはないのに、“ネットユーザーは××だから…”とカテゴライズして、見誤ってしまうことも多い。こうした偏りをなくしていくことが、いいサービスにつながっていくだろう」と指摘する。また日本はリアルの店舗でのサービスやクオリティが非常に高く、顧客要求も高いので、こうしたリアルの良さをネットに活かしていけば、また新しい可能性が生まれることが期待できるともいう。
ネットとリアルの間にある認識の垣根を取り払うことで、ネットサービスがこれまでより高いレベルに向かっていく。これが実現して、1つでも多くのサービスが長く続いていくことを願いたい。
◎関連記事
■「あのサービスは今?」2002年・春
(2003/3/17)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]
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