【連載】 【編集部から】 ●Webマーケティングの効果をどう計るか
Webサイトのそうした統計データをまとめることのできるパッケージソフトが、いくつか出回っている。その1つである「ClickTracks」は最近、新しいバージョンをリリースした。 このソフトの新機能はかなり注目だ。まず「What's Changedレポート」。文字通り、Webサイトでどんなことが新たに起きているのかを逐一報告してくれる機能だ。この機能を使うと、アクセスしてきたユーザー数や使われた検索キーワード、ユーザーがどこのWebサイトからやってきたのかというリファラー情報、Webサイトの中でもっとも人気のあるページなど、さまざまなデータを統計的に一覧することができる。 ほかに「Before and After」なんていう機能もある。企業の計画したイベントなどの前後で、何がどう変わったのかを報告書にまとめてくれる機能だ。例えば広告のキャンペーンなどを実施した場合、その日時を入力しておけば、Webサイトにアクセスしてきたユーザーの数やリファラーなどの変化をとらえることができるというわけ。マーケティングに投じた費用について、どのぐらいのROI(投資対効果)があったのかを目に見えるかたちで見せてくれる機能といえる。 ■URLClickTracks http://www.clicktracks.jp/ ●Googleの嫌うソフトを購入した企業とは 「WebTrends」というWebサイトの分析ツールがある。このソフトを開発・販売しているNetIQ社が最近、「WebPosition」というSEOツールのライセンスをFirstPlace Software社から取得した。WebPositionは昔からあるアプリケーションで知名度も高いが、しかしこの買収話は僕にはかなり不可解なものに映った。その理由は2つ。 1. Googleのサイトにある「Webマスターのためのガイドライン」を読むと、こんなことが書いてある。 「ページの登録やランクの確認などに、不正なコンピュータプログラムを使用しないようにします。このようなプログラムの使用はコンピュータのリソースを消費し、Googleの利用規約に違反します。Googleは、自動化またはプログラム化されたクエリをGoogleに送信するWebPosition Goldのような製品の使用は推奨していません。」 2. WebTrendsもWebPositionも、どちらもコンバージョンレートを分析する機能を搭載していない。 コンバージョンレートというのは、Webサイトを訪れたユーザーが実際に資料を請求したり、商品を購入してくれた率のこと。検索マーケティング業界では、このコンバージョンレートを顧客に提示するのが常識になりつつある。 ■URLWebTrends http://www.xlsoft.com/jp/products/webtrends/ NetIQ社 http://www.netiq.co.jp/ WebPosition http://www.webposition.com/ Google「Webマスターのためのガイドライン」 http://www.google.com/intl/ja/webmasters/guidelines.html ●ヤフーの中国戦略はどうなる?
台湾のニュースサイトであるタイペイタイムズのこの記事によると、Yahoo!のテリー・セメル(Terry Semel)会長兼CEOはキーワード広告とネットオークションが、中国大陸における戦略的商品になりうると見ているようだ。「Yahoo!が次に積極展開を行なうべき国のリストのトップは、中国だ」と、セメルCEOはタイペイタイムズの北京でのインタビューでコメントしている。 Yahoo!にとって、中国という市場の潜在的な“うまみ”は巨大なものがある。この国には7,000万人ものインターネットユーザーがいて、アメリカに次ぐ世界第2位の市場に育ってきている。 中国本格進出への足がかりとしてYahoo!は昨年、1億2,000万ドルを使って北京三七二一科技有限公司(3721 Network Software)という中国企業を買収した。三七二一は中国ではポピュラーな検索エンジンである3721.comに技術を提供している企業。Yahoo!はこの三七二一を使ってキーワード広告のモデルを中国向けに展開し、さらにYahoo!独自の検索エンジンである「Yahoo! search technology」をローカライズさせる目論見のようだ。 さらに今年1月には、Yahoo!は新浪との間でネットオークションの合弁事業を立ち上げることを発表している。中国のネットオークション市場は、実はe-Bayが80%以上を独占している。e-Bayは上海に本拠地のある地元のネットオークション企業、Eachnet社を昨年買収しているからだ。しかしZDnetなどの記事によれば、Yahoo!は今年後半にもネットオークションを中国でスタートさせる腹づもりらしい。そしてまた、僕の住んでいるニュージーランドのNew Zealand Heraldの記事によると、e-BayとYahoo!は今後数年、ネットオークションの市場をめぐって大戦争を繰り広げることになりそうだという。 中国での戦いは、その前哨戦とでもいうべきか。日本みたいにYahoo!が勝つことになるのだろうか、それとも――。 ■URL新浪 http://www.sina.com/ 捜狐 http://news.sohu.com/ 網易 http://netease.com/ タイペイタイムズの記事 http://www.taipeitimes.com/News/worldbiz/archives/2004/04/14/ 2003136649 New Zealand Heraldの記事 http://www.nzherald.co.nz/business/businessstorydisplay.cfm? storyID=3560477&thesection=business&thesubsection=technology& thesecondsubsection=information (2004/4/21) [Reported by ジェフ・ルート&佐々木俊尚]
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