■Yahoo!の新しいコンテキスト広告「YPN」が登場
Yahoo Publisher's Network(YPN)のことは、すでにお聞きになっただろうか。Google AdSenseに対抗し、Yahoo!が新たにスタートさせたコンテキスト広告である。
Yahoo!の子会社であるOvertureは以前から、大手サイト向けのコンテキスト広告であるContent Matchシステムを提供していた。Yahoo!の新しいYPNは、このContent Matchをベースにしたもののように見える。要するに大手サイトだけでなく、中小のWebサイトにもコンテキスト広告を提供していこうという考えなのだろう。
米国では、YPNはYahoo's Search Marketing Serviceの一環として位置づけられている。Yahoo's Search Marketing Serviceというのは要するに旧Overtureブランドのことで、グローバル市場ではYahoo!の検索エンジンマーケティング関連ビジネスは、このブランド名に統一されていこうとしているようだ。
もっとも日本では、Ovetureのブランド名はいまも維持されていて、Yahoo's Search Marketing Serviceへの統合は行なわれていない。だからYPNが日本国内ではどういうブランドを冠されるのかはちょっと気になるところだね。ひょっとしたら……Overture Publishing Networkだろうか?
それはともかく、YPNはGoogle AdSenseの強力なライバルとなりそうだ。もしサイトに支払われるクリックあたりの広告料金がAdSenseよりも低く抑えられることにでもなると、広告主もこぞってAdSenseから乗り換えることになるだろう。
あるいは、YPNがAdSenseよりも多数のサイトと提携することにでもなれば、やはりYPNのシェアはAdSenseの客を奪って拡大していくはずだ。AdSenseよりもずっと使いやすく、しかも評価レポートをきちんと見ることのできるシステムをYPNが作り上げれば、やはり同様の結果となる。
ひとつ課題があるとすれば、クリック詐欺の問題だ。AdSenseにしろYPNにしろ、このクリック詐欺の問題は避けては通れない。もしクリック詐欺によってコンバージョンレートが下がってしまうようなことになれば、クリック料金に対する引き下げ圧力はさらに高まっていくことになる。Googleはその売上の大半を検索エンジン広告から得ているのだから、同社にとってクリック詐欺はたいへんな脅威である。
ここのところGoogle Labsがさかんに新サービスをリリースし続けているのは、クリック詐欺の問題が背景にあるのかもしれない。GmailやGoogle Alert、デスクトップ検索などさまざまな新サービスを提供することによって、広告のチャネルを増やしていくことができるからだ。要するに新サービスがたくさんあれば、AdSenseやAdWordsを表示できるページも増やすことができるのである。そうすれば多少クリック詐欺が蔓延しているからといっても、売上をそんなに減らさないですむ。
ついでに言えば、同社が新たに打ち出しているGoogle SuggestやGoogle News、Google Videoはまだ広告を表示していないけれども、Googleブランドを固めていくことには大きく寄与しているとも言える。
話を戻そうか。
英語圏のSEOのネット掲示板をいくつかさまよってみると、YPNについてWeb管理者たちが言及したいくつかのコメントを見つけることができた。ちょっと紹介してみよう。
「YPN、どんどんやってほしいね。ぼくはAdSenseに多額の広告料を払っているけれど、これからは予算の30%をYPNに振り分け、リスク分散していくつもりだ」
「これまでも何度も言ってきたけれど、競争が生じるというのは広告主にもサイト側にも良いことだ」
■インバウンド・リンク戦略とは
多くの人が知っている常識ではあるけれど、サイトのトラフィックを増やすには他のサイトからリンクを張ってもらうという方法がきわめて有効だ。こちらからリンクを張るのではなく、向こうからリンクを張ってもらうことから、こうしたリンクをインバウンド・リンク(Inbound Link)と呼んでいる。
インバウンド・リンクが張ってあれば、先方のサイトを訪れたユーザーをこちらに誘導できるようになるし、同様に検索エンジンのロボットも自サイトにたどり着きやすくなる。このインバウンド・リンクがどうなっているのかによって、検索エンジンはサイトごとの優先順位を決め、インデックスを作成しているわけだ。
さてそこで、どうやったらインバウンド・リンクを得ることができるのかという5箇条を紹介しよう。この5箇条は、GoogleやYSTなど大手検索エンジンならどこにでも当てはまるルールである。
- 独創的な発想でインバウンド・リンクを求めよう――ディレクトリ検索や企業のサイト、プレスリリース、ブログなどさまざまな場所からリンクを張ってもらうことを検討してみよう。
- Googleのページランクが高いサイトからのインバウンド・リンクは非常に貴重である。
- インバウンド・リンクを張ってもらうURLをきちんと固定しておこう。たとえば「http://domain.com」というURLと、「http://www.domain.com/index.html」というURLは別物だということを忘れずに。
- インバウンド・リンクが張られているアンカーテキストのキーワードをサイト内でなるべく使うように心がけよう。
- トップページだけでなく、最奥部のページにインバウンド・リンクが張られるディープリンクになるように心がけよう。
■URL
米Overture(英文)
http://www.overture.com/
(2005/03/16)
【著者プロフィール】 |
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・文=ジェフ・ルート(Jeff Root)
ECジャパン株式会社のSEOチーフスペシャリスト。日本には出たり入ったりで早や10年。メールアドレスは「jeff@ecjapan.jp」。日本語もOKなので、気軽にメールをくれると嬉しい。 |
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・翻訳=佐々木俊尚
元全国紙社会部記者。その後コンピュータ雑誌に移籍し、現在は独立してフリージャーナリスト。築42年の古い家で、犬と彼女と暮らす。ホームページはこちら。 |
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