【連載】 第41回 キーワード広告に定額制が導入される? ●Overtureのビジネスモデルに関するウワサ Overtureのテッド・マイゼル社長によると、同社は定額料金制を検討しているという。目的は、PPC(Pay Per Click)のキーワード広告を中小企業向けによりシンプルな形で展開することだ。 「われわれはキーワード広告をより簡略化することに取り組んでいる。マーケティング担当者がどの検索キーワードを選ぶのかに頭をひねったり、あと0.14ドルを上乗せして入札するかどうかに悩むのではなく、自分たちの目的にもっと注力できるようにしたい。それでわれわれとしては、定額モデルを検討している。もっと多くの人をキーワード広告の世界に招き入れるためには、シンプルなモデルも選べるようにしておかなければならないと思う」(ClickZ Networkの記事より) 米国ではすでに、Overtureの販売業者で定額制を取り入れるところが現われてきている。Bell Southなんかがそうだ。 米国のビジネスでよく行なわれるのは、ある製品を世に問う時に完璧に知的でプロフェッショナルなチームを雇い、その製品やサービスから複雑さをどうやって取り除けばいいのかを徹底的に検討させるというものだ。こんな風によく言う。「もっとシンプルに、もっとわかりやすく」。要するに製品やサービスを複雑にわかりにくくしてしまうというのはとても間抜けなやり方であり、発想はシンプルであればあるほど良い。特に数百万の人を相手にするマーケティングの業界では、これは100%完璧な真実だ。ClickZ Networkの記事で、マイゼル社長は2つのタイプの広告主がいるという話をしている。「テクノロジーが大好きでメディアにすっかりはまりこんでしまっている人たちがいる一方で、誰かがそうしたことを自分のためにやってくれればいいなと思っている人たちもいる」。 マイゼルが言おうとしているのは、自分で細かい作業をしないで出力されたレポートだけを見る後者のようなタイプの広告主を、これからの同社のターゲットにしていこうということなのだろう。Overtureがこれから提供しようと考えているのは、要するに現在のキーワード広告のやり方――つまりコンバージョンレートに毎日神経を使い、キーワードに入札し、トラフィックを監視し、売上をもとにROIを計算するといったたぐいの面倒な方法を行なわないでも済む新システムなのだろう。でも仮にOvertureがキーワードのROIを毎日計算しなくても済むようにしたとしても、クリック率と売上を比較して、キーワード広告のROIを計算する必要は残るような気がする。 ところで不思議なのは、「もっとシンプルに、もっとわかりやすく」というスローガン。これだけ米国の産業界では使われている言葉なのに、あの悪名高い大統領選の選挙システムに応用されないのはなぜだろう?
■URL Exaleadはフランスから現われた新しい検索エンジン企業だ。同社の検索エンジンは今のところAOLフランスで使われていて、ベータ版は10億ページ以上をインデックスしているというウワサがある。機能はかなりユニークだ。
その他、従来の検索エンジンにも実装されているような種類の機能もある。
ExaleadのWebのデザインは、GoogleやYST、MSNとはまったく異なっている。このデザインがどれだけ受け入れられるかが、興味のあるところ。日本の人たちが、このデザインにどんな感想を持っているのかを、ぜひ聞いてみたい。僕のメールアドレスまでフィードバックしてくれると嬉しい。 ただ残念なことに、Exaleadは今のところ日本語をサポートしていない。だからとりあえずは欧米の言葉で試してみていただければと思う。
■URL 米国マーケティング協会という団体があって、毎年イベントを開き、マーケティングや広告、PRなどの素晴らしい活動について表彰を行なっている。その恒例イベントが先日、ジョージア州アトランタで開かれたのだけれど、表彰のカテゴリーのひとつに、SEOやSEMを使ってWebサイトのトラフィックを増やす「検索エンジンマーケティング」が登場していた。 この表彰の模様はwebpronewsの記事に書かれている。僕はこの記事を読んでさっそく米国マーケティング協会のサイトを見に行ってみたのだけれど、残念ながら終わってしまったイベントのことは何も書いてなかった。書いてあったのは、これから行なわれるイベントの告知だけだ。せっかく素晴らしい表彰を行なったのだから掲載しておけばいいのに、どういうつもりでコンテンツを削除してしまったのだろう? SEOを表彰しているような団体がこういうことをするとは、何ともアイロニカルというか……アメリカ人の行動には不思議なことも多い。
■URL 以前にもお知らせしたことのある「サーチエンジンオーバードライブ」の第2回イベントを来週、原宿のギリシャ料理屋で開くことになった。Eコマースに関わる業界で働いている人たちで作った、非営利の団体だ。 グループを立ち上げたのは、渡辺隆広と僕。われわれの業界がもっともっと面白くなるようにと願って、このグループを作った。 イベントは次のような感じ。
パネリストには、大手検索エンジン各社から来ていただく予定。それにネットレイティングスのメンバーと、渡辺隆広も参加する。まだメンバーは確定じゃないけれど、今から面白くなりそうな気配だ。もし1回目のサーチエンジンオーバードライブの様子が知りたかったら、この連載の第36回を読んでみてほしい。 ちなみにSyproのあるじは、僕の個人的な友人だ。テレビのタモリ倶楽部にも最近出演していたから、観たことのある人もいるんじゃないかな? 彼は阪神タイガースの熱狂的なファンで、もちろんギリシャ料理にも熱狂的。来週は楽しい一夜になりそうだ。懐かしい人にたくさん会えるだろうし、そして新しい顔にもたくさん会えるだろうね。
■URL (2004/11/12) [Reported by ジェフ・ルート&佐々木俊尚]
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