■Google Desktop 2をネットの世界はどう見たか
多くの企業は、どうやって自分の会社に人々の目を向けさせるかということに日々苦労している。でもGoogleという非凡な企業、メディアのスーパースターにとっては、そんな苦労は必要ない。プレスリリースを流したとたん、何千人もの熱狂的なファンたちがその内容をWebを通じてどんどん流通させてくれるからだ。
Googleが新しい製品やサービスを発表すると、大量のコメント(寸評)やレビュー(論評)がWebに現われる。そうしたコメントを読めば、最新情報にいつでも追いつくことができるし、例えばGoogleのプレスリリースのどこがポイントなのかを簡単に知ることができて便利だ。
一方、レビューはもっと批評的だ。調査報道的といってもいい。コメントと違って、レビューに書かれていることは、Googleの広報部をちょっぴり落胆させてしまうような内容を含んでいることも多い。まあ、真実を書かれて、手痛い結果になることもあるというわけ。とはいえ、逆にそうしたレビューがGoogleの開発者やプロダクトマネジャーたちへの格好のフィードバックとなることも頻繁に起きている。
じゃあ最近の例を見てみようか。Googleがリリースした新しいGoogle Desktop 2に対するコメントとレビューだ。
検索エンジンに関するコメントでもっとも信用できるのは、日本国内ではもちろんSEMリサーチというサイトだ。念のために言っておくと、このWebを書いている渡辺隆広と僕は仲間であり友人であり、だから僕はいつも彼の書くものに影響を受けている。このエントリーで、彼はGoogle Desktop 2についての必要なポイントを短い文章の中で的確に記述している。ものすごく忙しいけれど、最新情報と最新用語をすぐに覚えたいと思っている人にとっては、SEMリサーチはぴったりだ。
ほかには、ITmediaやこのINTERNET Watchもコメントを読むのには非常に重要なサイトといえる。英語圏に目を転じてみると、最も信頼できるソースとしては、SearchEngineWatch.comがある。記事を書いているGary Priceのスタイルは、まず最初に必要な情報を全部並べておいて、そして記事の最後にオピニオンや観測を書くというものだ。例えば彼がGoogle Desktop 2のWebクリップというwidgetについて言及したエントリーは、こんなふうになっている。
「Webクリップというのは、GoogleがRSSフィードに付けた新しい名前だ。別の言い方をすれば、要するにGoogle Desktop 2のサイドバーはRSSやATOMを収集する機能を持っている。WebクリップはRSSを自動収集できるから、例えばRSSを配信しているのにもかかわらず、どこにRSSがあるのかわからないようなサイトでも、サイドバーをクリックしてRSSフィードのリストに加えるだけでいい。Googleへの注文――RSSフィードのフルテキストをサイドバーからすぐに表示できるオプションを加えるともっといいと思うよ」
MSNは、RSSフィードをもっとわかりやすいものに、技術用語ではなくユーザーフレンドリーな言葉に変えようと試みていて、Googleもこの考え方に沿っているのだろう。MSNは最近、RSSフィードを「Webフィード」と言い換えはじめている。例えばこんなエントリーやこんなレビュー、こんなレビューがある。
Jon BattlleのSearchBlogも、検索エンジンのオピニオンをリードする存在として有名だ。彼はこんなふうに書いている。「Googleはさまざまなデータにアクセスする際の標準的なインターフェイスを目指した製品を開発し、まるでソフトウェア開発企業になろうとしているかのようだ」。Googleはプラットフォームへと向かっているのかもしれないね。
こうしたコメントを読めばわかるとおり、Google Desktopは次のようなwidgetを提供しようとしている。――電子メール、ニュース、Webクリップ、メモ帳、写真、ビューアー、最新情報、天気、検索、そしてユーザー自身が新しいwidgetを作る能力。
でもWebProNewsのNathan Weinbergは、widget的な手法について、こんな意見を書いている。
「あなたのパソコンでiTunesがフルスピードで動いていたら、わざわざiTunes widgetを走らせる必要があるだろうか? Gmailを気持ちよく開くことができるときに、わざわざGmailのインデックスだけを見る必要は? Google Newsの方が見やすいのに、なんでわざわざGoogle News Headlinesだけを見る必要がある? Bloglinesを愛用している人が、わざわざWebクリップを使わなければならないわけは? Outlookのノートが一番なのに、それでもメモ帳を開きたいわけ?」
なかなか興味深い意見だね。こうした意見が読めるから、ニュースやブログをたくさん読むのはやっぱり大事なことだってこと。政治についてのコメントやレビューも同じ。ホワイトハウスのプレスリリースを忠実になぞっただけのニュースもあれば、さまざまな観点からそうしたリリースをレビューした記事もある。不幸なことに、アメリカではメジャーなテレビ局の報道は単なるコメントに終わってしまっていて、レビューになっていない。だからインターネットというメディアの重要性はますます高まっているんだけどね。
ちなみに日本では、僕は自宅でテレビを見ないので、どうなっているのかはよくわからない。
僕が個人的に楽しんでいる検索エンジン関連のレビューサイトとしては、検索エンジン三国志がある。このサイトがGoogle Desktop 2をどう書くのか、楽しみだ。
■URL
SEMリサーチの記事
http://www.sem-r.com/17/20050823002258.html
SearchEngineWatch.comの記事
http://blog.searchenginewatch.com/blog/050822-070418
Webフィード」に関する記事(IGALOGる)
http://datapot.com/~laboratory/weblog/archives/2005/08/rssweb_feed.html
「Webフィード」に関する記事(Speed Feed)
http://blogs.itmedia.co.jp/speedfeed/2005/08/webrss_e0b3.html
「Webフィード」に関する記事(MarketingVOX)
http://www.marketingvox.com/archives/2005/08/22/microsoft_web_feeds_friendlier_than_rss/index.php
SearchBlogの記事
http://battellemedia.com/archives/001811.php
WebProNewsの記事
http://www.webpronews.com/insiderreports/searchinsider/wpn-49-20050822GoogleReleasesDesktop2.html
検索エンジン三国志
http://www.hyperposition.com/se3blog/
(2005/08/31)
【著者プロフィール】 |
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・文=ジェフ・ルート(Jeff Root)
ECジャパン株式会社のSEOチーフスペシャリスト。日本には出たり入ったりで早や10年。メールアドレスは「jeff@ecjapan.jp」。日本語もOKなので、気軽にメールをくれると嬉しい。 |
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・翻訳=佐々木俊尚
元全国紙社会部記者。その後コンピュータ雑誌に移籍し、現在は独立してフリージャーナリスト。築42年の古い家で、犬と彼女と暮らす。ホームページはこちら。 |
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