先週は話題豊富な週でした、国内では「mixi年賀状」のように早くも年末年始に向けての話題が登場。携帯電話ではauとソフトバンクモバイルの新機種発表があり、iPhone用ワンセグチューナー&バッテリなど、多数の新製品・新サービスが発表になりました。また11月1日にはニンテンドーDSiが発売されました。
米国では、Microsoftの開発者向けイベント「PDC 2008」が開催され、同社の重要なプロダクトが多数発表になっています(後半にてまとめて紹介します)。グーグルも「Google トレンド」日本語版や、ドライブルート案内、IE用「Googleツールバー 5」正式版など、多数の新サービスを発表しています。
◆「日本版フェアユース規定」の導入を提言、知財戦略本部の専門調査会
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/29/21355.html
10月29日、政府の知的財産戦略本部の「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」は、今後の知財制度のあり方に関する報告書案を提示した。「日本版フェアユース」の導入を提言しており、これを受け翌30日からパブコメの募集が始まっている。報告書案ではそのほか、コンテンツの流通促進方策、ネット上の違法コンテンツへの対策強化についての検討結果もまとめられている。30日には、フェアユースと著作権保護期間延長をテーマにしたthink Cシンポジウムが開催された。
◆Microsoft、ブラウザ版の軽量Office計画を発表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/29/21348.html
10月28日、米Microsoftは、PDC 2008にてWebアプリケーション版Microsoft Officeの計画を発表した。同社が推進する「ソフトウェア+サービス」戦略の一環として、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteの軽量版が計画されており、Internet ExplorerだけでなくFirefoxなどにも対応。2008年末までにテクノロジープレビュー版を公開予定としている。
◆特定キーワードの検索動向がわかる「Google トレンド」日本語版
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/28/21342.html
10月28日、グーグルは、特定キーワードの検索数の推移がわかる「Google トレンド」日本語版を公開した。英語版は2006年5月から提供が開始されていたもの。「Google Labs」から利用できる。
◆日本の「OpenID」普及団体が本格活動、企業に参加呼びかけ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/30/21373.html
10月30日、OpenIDの普及を推進する「OpenIDファウンデーション・ジャパン(OIDF-J)」が本格的な活動を開始。IDに関する事業を展開する国内企業に、広く参加を呼びかけるとした。先週はMicrosoftやGoogleが相次いでOpenID対応を発表していた。
◆mixiマイミクに個人情報を明かさず年賀状を送るサービス
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/10/28/21335.html
10月28日、ミクシィは住所を知らないマイミクや同じコミュニティのメンバーに年賀状を送れる「mixi年賀状」を発表。11月下旬から提供を開始する。100種以上のテンプレートを用意し、価格は1通98円または広告付き48円で、はがき代、印刷・郵便代が含まれる。送信側が送りたいユーザーを選択し、相手は受信の意志があればmixiのシステムに住所・氏名を入力して承認する。この住所・氏名が送信側に知られることはない。
● Microsoft、PDC 2008で重要プロダクトを多数発表
米国時間の10月27~30日、ロサンゼルスにて米Microsoftの開発者向けイベント「Microsoft Professional Developers Conference 2008(PDC 2008)」が開催されました。この場で同社は、クラウドコンピューティング向けプラットフォーム、次期Windows、Webアプリケーション版Officeなど、重要なプロダクトを多数発表しています。
背景の動きとして、Googleが先導する「クラウドコンピューティング」の潮流があり、Web 2.0ブーム以来のパッケージソフトからオンラインサービスへの転換という課題があります。またWindows Vistaの不振と、流行のネットブックには軽いWindows XPの供給を継続しているというOS戦略の狂いも、早期の修正が必要な問題となっています。
PDC 2008で、同社はこれらの問題にまとめて答えを出してきました。まずクラウドコンピューティングに関しては「Azure Services Platform」と「Windows Azure」を発表。「.NET」や「Visual Studio」でアプリケーションの開発を行える点が特徴です。
また、次期OS「Windows 7」の発表も行いました。Windows Vistaをベースに軽量・省電力化、オンラインサービスと連携しての「ソフトウェア+サービス」の推進などが施されており、ネットブックのような端末でも快適に使えるコンパクトかつシンプルなOSとなります。
オンラインサービスになったWeb版Officeも非常に大きなインパクトです。そのほか、Windows Live IDのOpenID対応が発表され、春から一部に向けてテクノロジープレビューが公開されていた「Live Mesh」が日本でも利用可能になりました。「Live Mesh」はオンラインサービスとローカルマシン(PC、Mac、スマートフォン)を結ぶプラットフォームとして提供されており、ファイルのシームレスな同期・共有とリモートアクセスを実現します。
コンパクトなOS、Web版Officeに、これまでの同社プラットフォーム向けのノウハウを活かせるクラウドコンピューティング用プラットフォームと、MicrosoftはGoogleを追撃する万全の布陣を整えたように見えます。ただ、これらはまだすべて正式版ではなく、今後どれだけのスピードで、どれだけのクオリティの正式版を出してくるのかが重要になります。
私たち一般ユーザーが現時点で触れられるのは、とりあえず「Live Mesh」のプレビューだけです。ただし英語で、そして、サービスの性質上、複数台のPCを持っていないとあまり利便性を実感することはできませんが。メインマシンとモバイルPCとでのファイル同期など、試してみるのも良いでしょう。
2008/11/04 11:50
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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