スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)
第2回
Wi-Fiルーター選びで気を付けることは?
2019年4月11日 06:00
「スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)」記事一覧
本連載ではASUSのWi-Fiルーター「RT-AC67U」を使って、Wi-Fiルーターの活用方法を解説している。前回は、自宅の固定ネット回線にWi-Fiがあると、スマホがかなり便利になることを説明した。
Wi-Fiルーターは近年、スマホやPCだけではなく、スマートスピーカーやオーディオ、ビデオといったさまざまなIoT機器を、まとめてインターネットに接続する役割を担うようになっている。家庭内のネット接続を考えたときに重視すべき機器と言える。
Wi-Fiルーターで、ネット接続とLAN内の相互通信ができるようになる
Wi-Fiルーターの構造を見ると、無線でLAN接続するハブのような役割を果たす「Wi-Fiアクセスポイント」と、1つのインターネット回線を複数の接続機器で同時に使用できるようにしてくれる「ルーター」という機器が合体した製品だ。
ルーターがなければ1つのネット回線に1台しか繋げられないし、Wi-Fiアクセスポイントがなければ有線LANケーブルで接続できる機器しか繋げられず、スマホをWi-Fiで接続できない。この2つの機能は、その昔は別々の機器として売られていたりもしたのだが、法人向けを除き、現在では、この機能が合体した製品であるWi-Fiルーターしか見かけることがなくなった。
片方の機能が不要なら、どちらかをオフにするという使い方をする。スマホで使いたければWi-Fiをオフにすることはないが、ルーター機能の方は、回線接続業者からレンタルされたルーターが動作しているときにオフにすることもある。例えば、こうした場合に自前で用意した「RT-AC67U」のルーターをオフにしてしまうと、連載で紹介していく便利な機能の多くが使えなくなる。なるべくレンタルルーター側のルーター機能をオフにして使うようにしたい。
さて、Wi-Fiルーターの背面を見ると、どの製品にも共通して、有線LANを接続するポートがあるはずだ。以下の写真のように、RT-AC67Uには5つある。うち1つはインターネット回線への接続用で「WAN」と呼ばれることもある。ほかの4つは“有線で”同時に使える「LAN」とも呼ばれるポートだ。
有線に加えて“無線で”使えるWi-Fi経由で接続する機器も、特別な設定をしなければ、すべて同じLANの中にいることになり、有線/無線の接続形態を問わず同列に利用できるようになる。インターネットへの接続だけでなく、相互の通信も可能だ。
この相互通信機能では、互いの機器に保存されたビデオや音楽データの再生をはじめ、さまざまに活用できる。インターネットへの複数機器の同時接続と、LAN内の機器間の相互通信、この2つがWi-Fiルーターの主要な機能になる。
スペック的に尖り過ぎないASUSのWi-Fiルーター「RT-AC67U」、特にスマホでの利用にオススメ
ASUS RT-AC67Uは、3本のアンテナが立っていることからもわかるように、3×3 MIMOに対応し、IEEE 802.11nでは最大450Mbpsまたは256QAM[*1]の対応子機であれば最大600Mbps、IEEE 802.11acでは最大1300Mbpsの通信が可能で、スペック的に尖り過ぎないちょうどいい塩梅の製品と言える。
[*1]……2.4GHz帯のみで通信できるスマホに、256QAMのサブキャリア変調方式に対応するものはほぼ見かけないので、主にルーター同士の中継やメッシュWi-Fiの構築時などで有効な速度と考えておこう
このほか、ASUSの製品では「AiRadar」と呼ばれるビームフォーミング機能にも対応しているほか、管理用のスマホアプリ「ASUS Router」も用意されていて、スペック面を見ても特にスマホでの利用にはオススメできる製品だ。
なお、インターネット接続のWANも含め、有線ポートはすべてギガビットに対応していて、高速な固定ネット回線に接続しても、足を引っ張ることはない。
セキュリティやペアレンタルコントロール、AiMesh……、豊富な機能にも注目
今後の連載でも紹介していくが、セキュリティをルーターで確保できることや、子どもたちのネット接続を管理するペアレンタルコントロールは、家庭内では意外と重要になる機能だ。
RT-AC67Uでは、トレンドマイクロのセキュリティー機能「Trend Micro Smart Home Network」や、ペアレンタルコントロール、メディアサーバー、VPNサーバーなど、豊富な機能も活用できる。
回線接続業者からレンタルされるルーターでは、こういった多彩な付加機能を利用できないことが多いので、これだけでも導入する価値がある。
さらに、複数の機器をつないでWi-Fiのエリアを広げられる独自のメッシュWi-Fi機能「AiMesh」にも対応している。後から「AiMesh」対応ルーターを増設し、広いエリアをカバーさせることができる点も大きな特徴だ。
一般的にメッシュWi-Fiは、同一の複数機器を設置するのが前提で、既存のWi-Fiルーターを総入れ替えする必要があるのだが、「AiMesh」では先に購入した既存のルーターが無駄にならないのがポイントだ。後から電波エリアの不満が出たときにも対処しやすい。
今後、新しいWi-Fi規格の製品も出揃ってくるので、買い替えではなく、買い増しでエリアを広げられるのは、。ASUS製の対応ルーターで揃えなくてはならない条件はあるが、お財布に優しいシステムと言える。
<コラム>ASUSというメーカー
PCやスマホに詳しい人なら「ASUS(正式にはエイスースと読む。ASUSTeK Computer Inc.が社名でASUSはブランド名)」という台湾ブランドは、とってもお世話になっているお馴染みブランドなのだが、新しいスマホユーザーの中には、知らない人もいるかも知れない。少し解説しておこう。
ASUSは、PC主要パーツのマザーボード製造の歴史が長い。品質は一級品。PC組み立てユーザーにとっては、動作が安定している鉄板ブランドとして人気が高い。また、ノートPCも手掛けていて、最近ではスマホの「ZenFone」シリーズやタブレットでも人気がある。かつて一世を風靡したGoogleのタブレット「Nexus 7」は、実はASUSが製造していた。
こういったITに強い製造メーカーが作るWi-Fiルーターがショボいワケがない。性能的にも尖ったモデルをどんどん投入している。港区赤坂に販売とサポートを行っている直営店「ASUS Store Akasaka」もあり、日本国内での体制も抜かりないので安心して欲しい。
この連載で実践しているWi-Fiルーター「RT-AC67U」はAmazon.co.jpなどで販売されている。似た型番の「RT-AC68U」は、少しだけ古いが、人気の高い現役モデルなので、間違えないようにしよう。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)