スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)

第5回

Wi-Fiルーターの初期設定は変えるべき?

 本連載では、ASUSのWi-Fiルーター「RT-AC67U」を使って、Wi-Fiルーターの活用方法を解説している。前回は、インターネットへの接続設定を完了したRT-AC67Uに、スマホを使ってWi-Fiで接続するところまで実践した。

 これで、とりあえずはスマホで自宅Wi-Fiのネットを使えるようになったワケなのだが、初期設定をもう少し見直した方がいいポイントがあるので、順番に見てみよう。

ASUSのWi-Fiルーター「RT-AC67U」を使い、もう少し追加の設定を見ていこう

「ASUS Router」アプリで設定状況をチェック

 RT-AC67UのWi-Fiにスマホを接続した状態で、設定用の「ASUS Router」アプリを起動しておき、この画面下部にある「システム」タブを表示させてみよう。そこに、要チェックの項目が、状況に応じて表示される仕組みだ。ただ、すべての項目を設定しなくてはならないワケではない。

 ここで注目したいのは、Wi-Fiのパスワード(暗号化キー)と管理者パスワードだ。それぞれに「非常に弱いです」など、再設定を促すメッセージが表示されていたら、[変更]をタップし、より複雑なパスワードに設定し直そう。

 Wi-Fiの暗号化キー変更は[各種設定]タブの[Wi-Fiの設定]から、管理者パスワードは、左上の「≡」から[My RT-AC67U]の「i」をタップしても設定できる。「システム」タブに表示されていない場合にこれらを変更したいなら、上記からアクセスしよう。

設定用アプリの「ASUS Router」。起動時の「ホーム」に、設定時に使うWi-FiルーターのIPアドレスが表示されているので、確認しておこう
「システム」タブを表示。Wi-Fiのパスワード(暗号化キー)と管理者パスワードの注意が表示されていたら、変更しておくことを推奨する

 もう1点、「リモート接続」のメッセージが表示されている場合は、一度チェックしておこう。これは、外出先など自宅以外からアプリでWi-Fiの設定をできるようにするかを決める項目だ。リモート接続を可能しておくことは、穴を1つ開けておくようなものなので、セキュリティリスクを考えるなら、機能を利用しない場合は無効にしておくことをオススメする。

 このリモート接続は、「AiCloud」や「AiDisk」というネットワークディスク機能でも使われる。改めてこれらを含め活用したくなった時にオンにするといいだろう。これらの機能に関しては、第9回で詳しく触れるつもりだ。

 リモート接続のメッセージをタップすると、「リモート接続の有効化」というメッセージが表示されるので、無効にするには[キャンセル]をタップする。また、先に表示させた[My RT-AC67U]の「i」をタップして表示される画面からでも、状態の切り替えができる。

「システム」タブで「リモート接続」のメッセージが出ている
「リモート接続の有効化」というメッセージにて、無効にしておくには[キャンセル]をタップ
左上の「≡」から[My RT-AC67U]の「i」をタップ
[リモート接続]は利用しない場合にはオフにしておく

ウェブブラウザーの管理画面だけで設定できる項目も

 ASUS Routerアプリでは、ほとんどの設定が行えるので、基本的にこのアプリを使っていればまず問題になることはない。

 ただし、PCなどのウェブブラウザー経由で管理画面にログインすると、より細かな設定ができる。例えば、時刻(NTP)サーバーの設定変更、各種エラーログのチェックなど、ASUS Routerアプリで設定できない項目もあるので、自宅にPCがあるなら、こちらを用いてもいい。

ウェブブラウザーのアドレス欄に「router.asus.com」と入力し、設定画面にログインする

 Wi-Fiルーターにおける時刻は、ログや自動実行する機能のためにも使われるので、時刻をインターネット経由で正確に合わせるよう設定しておくことは、ワリと重要だ。

 PCをWi-FiやLANケーブル経由でRT-AC67Uに接続し、ウェブブラウザーのアドレス欄に「router.asus.com」と入力すると、ログイン画面が表示される。もしくは、ASUS Routerのホーム画面に表示されているIPアドレスを入力しても同じだ。

[管理]を選び、[システム]タブの[NTPサーバー]欄に利用したいNTPサーバーを記入する

 RT-AC67Uには、世界レベルのNTP[*1]仮想クラスタシステム「pool.ntp.org」が初期状態で登録されている。このままでも全く問題はないが、日本国内の日本標準時に直結しているNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)の公開NTPサーバー「ntp.nict.jp」か、自分が接続しているプロバイダーが提供するNTPサーバーを登録すると、誤差が少なくすることができる。できれば設定変更するといいだろう。

[*1]……NTP(Network Time Protocol)という仕組みを使って、定期的にサーバーに問い合わせ時刻を自動的に補正してくれる。スマホやPCでも使われている

[管理]の[動作モード]タブにてルーターとアクセスポイントのモード切替をする

 Wi-Fiルーターの動作モードも、ウェブブラウザーからでないと変更ができない[*2]。自動でセットアップした結果が二重ルーターの状態になることも、よくありがちだ。こうした状態を解消したいなら、まず[管理]を選び、[動作モード]タブから設定を行おう。

 ルーターを1台だけで使っているなら、「無線ルーターモード」もしくは「アクセスポイント(AP)モード」のどちらかを、適切に選択する。二重ルーターについての詳細や、状態を確認する方法は、別の連載で解説しているので、参考にして欲しい。二重ルーターの状態になっていても、スマホはネットには繋がるので、不自由に感じていなければ、あまり気にしなくてもかまわない。

[*1]……アプリではモードの設定は、クイックセットアップでの設定となり、最初から設定することになる

 最後に、設定がひと通り済んだら、現時点での設定を、忘れないウチにファイルとして保存しておこう。これをやっておけば、万一機器のトラブルなどで設定が初期化されてしまった場合でも、アプリから設定ファイルをWi-Fiルーターに書き戻すだけで、設定内容を今と同じ状態にすることができる。不意の故障で修理した場合などにも便利な機能なので、忘れずに保存しておこう。

 設定ファイルの保存は、ASUS Routerアプリの[システム]もしくは[各種設定]タブから[バックアップ]を選び、[設定の保存]をタップするだけだ。最大で10件保存できる。保存した設定は、[設定をリセット]をタップすると、これまでに保存した設定を選択できる。

ASUS Routerアプリの[各種設定]タブから[バックアップ]を選び、[設定の保存]をタップする
保存した設定は、[設定をリセット]をタップすることで選択できる

<コラム>定期的に最新ファームウェアに更新しよう

 設定を済ませて設定ファイルを保存した後でいいので、最新のファームウェアが提供されていないかをチェックしてみて欲しい。ファームウェアのアップデートは、機能の向上や不具合修正、セキュリティ関連のアップデートなどが含まれている。導入直後だけでなく定期的にチェックして、随時最新版に更新しておこう。特にセキュリティ関連が含まれるバージョンは、急いで更新するようにしたい。

 最新ファームウェアがある場合、ASUS Routerアプリの[システム]や[各種設定]タブから[ファームウェアのアップデート]を選ぶと、その旨が表示される。[ファームウェアバージョンを確認]をタップし、画面の指示に従うと更新される。アップデート中はWi-Fi接続が切れ、再起動される。

[各種設定]タブから[ファームウェアのアップデート]を選ぶと、最新ファームウェアがある場合には表示される。[ファームウェアバージョンを確認]をタップ
最新ファームウェアがある場合[システム]タブにも表示される。ここで時々チェックするといい
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(協力:ASUS JAPAN株式会社)

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。