スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)

第9回

外出先からスマホで自宅データにアクセス、友達に共有もできる「AiCloud」

 本連載では、ASUSのWi-Fiルーター「RT-AC67U」を使って、Wi-Fiルーターの活用方法を解説している。前回までで、セキュリティ機能「AiProtection」やペアレンタルコントロール機能について実践してみた。

 今回は、ネットワークディスク機能の「AiCloud」を活用してみたい。スマホなどで写真や動画、音楽などのファイルをたくさん扱いたい時に便利な機能だ。

今回はRT-AC67Uを使って、自分専用のクラウドを作って活用してみよう

自分で用意してスマホの容量を足せるクラウドストレージをルーターに

 スマホで写真や動画、音楽などを扱うのに、GoogleドライブやDropbox、iCloudといったクラウドのオンラインストレージサービスを活用している人は多いだろう。しかし、いずれのサービスでも無料で使える容量には限りがある。

 そこで便利なのが、自分で作る簡易クラウドだ。自分で用意した分だけ自由にアップロードできて、容量を増やしていけば自由な容量で使えるので、スマホの外部ドライブのような使い勝手と言える。これを、RT-AC67Uを使って実現してみよう。

ルーターに装着したUSBメモリをAiCloudで使えるように設定する

 まずは、USBメモリーを用意しよう。速度はあまり気にしなくて大丈夫なので、安価になUSB 2.0対応のもので、なるべく大きな容量のにしておこう。これを、RT-AC67Uの背面ポートに接続すると、自動的に「Cloud Disk」機能がオンになる。

RT-AC67Uの背面ポートにUSBメモリーを接続する

 もし設定がうまく行かないことがあれば、ウェブブラウザーの管理画面で、左側にある[AiCloud 2.0]を選び、[AiCloud 2.0]タブを表示して、「Cloud Disk」機能が有効になっているかを確認する。

USBポートにストレージを接続すると利用可能になるが、もし使えない時は、ウェブブラウザーで「Cloud Disk」機能がオンになっているか確認

 このAiCloudはいわゆる“二重ルーター”の状態になっていると動作しないので、そちらもチェックしておこう。チェックの方法は、こちらの連載で触れているので、必要なら参照して欲しい。簡単に言えば、インターネットのグローバルアドレスに直結している必要がある。

 続けてスマホ用の「ASUS Router」アプリで操作する。[各種機能]から、さらに上部の[ASUSプラグイン]タブを選ぶ。ここにある[AiCloud]をタップする。

 AiCloudアプリのダウンロード画面が表示されるので、[入手]をタップしてインストールしておく。以降はこの[AiCloud]をタップすると、AiCloudアプリが起動するようになる。もちろんAiCloudアプリを直接起動してもよい。

スマホの「ASUS Router」アプリで、[各種機能]タブから、さらに上部の[ASUSプラグイン]タブを選ぶと、[AiCloud]がある
Google PlayストアやApple AppStoreなどで「AiCloud」アプリが表示されるので、インストール。次回からは「AiCloud」アプリが起動するようになる
メッシュネットワークを構成している場合には、ルーターの選択画面が表示されるので、USBメモリーを装着した機器を選択
ルーターの管理画面にログインできるユーザー名とパスワードを入力して[追加]をタップ
[はい]をタップしてリモート接続を有効にする。これで、インターネット越しに自宅Wi-Fiルーターへアクセスできるようになる。
[使用開始]をタップすると、AiCloudの設定が完了する

スマホからUSBメモリーをAiCloudとして使う

接続しているUSBメモリーが表示されるのでタップする

 AiCloudの設定が完了すると、自宅内のWi-Fiはもとより、自宅外からでもインターネットに接続していれば自宅のWi-FiルーターのUSBメモリー内のファイルにアクセスできるようになる[*1]。アクセスするには、「AiCloud」アプリを使う。主に音楽や写真、動画を扱うのに便利なアプリで、アプリからファイルのダウンロードやアップロードが行える。

[*1]……細かい話をすると、インターネット越しに自宅ルーターへアクセスするために使うDDNSを、設定時にASUSのDDNSサービスにて自動で登録している。登録されたDDNSのURLなどの細かな設定は、AiCloudアプリの[ルーター]タブから確認できる。

USBメモリー内のフォルダーが見える
左上の「…」をタップすると、ファイルのアップロード、フォルダ作成などの操作ができる

 アップロードしたファイルは、リンクを用いた共有も可能。指定した期限のみ有効の共有リンクを通知して、相手にダウンロードしてもらうことができる。

個別ファイルの「i」をタップすると、個別のファイルダウンロードや削除も可能。共有のためのリンク作成もできる
共有リンクは有効な期限を設定できる
共有リンクを送信するアプリを選ぶ、コピーしたURLを貼り付けて、ファイルの共有リンクを送る
セキュアではないhttps接続[*2]なので、共有リンクをウェブブラウザーで表示すると警告が表示される。[詳細設定]を選ぶと表示されるリンクから表示やダウンロードができる

[*2]……ウェブブラウザーの設定を変更すれば、AiCloudのサービスが用いている「Let's Encrypt」を使ったhttps証明書を読み込んで自動で接続することも可能だ。ここでは触れないが、本格的に使うならチャレンジしてみて欲しい

 容量を気にせずファイルのやり取りができるのは、なかなか便利なもの。ファイルをメールに添付するのではなく、この共有リンクをメールやメッセンジャーで通知すれば、複数の人にもスムーズに共有したいファイルを送ることができる。

 ただ、AiCloudを利用できるように設定すると、Wi-Fiルーターが外部から攻撃を受けやすくなる。可能であれば、ウェブブラウザーでルーターの管理画面にアクセスして、パスワード保護機能を有効にしておきたい。設定した一定時間に連続してパスワードを間違えた場合に、アカウントをロックするものだ。これでパスワードへのアタックを回避できる。

安全のため、連続してログインに失敗した場合にアカウントをロックする機能をオンにしておこう

 AiCloud以外にも、USBメモリー内のファイルをASUSのクラウドサービスである「ASUS WebStrage」と同期させたり、「Sync Server」という機能を使って複数のWi-FiルーターのUSBメモリーと同期させることもできる。いずれもウェブブラウザーでの設定が必要だが、利用したい場合には活用してみて欲しい。

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(協力:ASUS JAPAN株式会社)

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。