趣味のインターネット地図ウォッチ
木製の3D地図「はだちず」、レーザーカッターによる“焦げ”が等高線のよう
2017年9月28日 06:00
DMM.comが運営するハードウェア・スタートアップ向け総合開発支援施設「DMM.make AKIBA」。同施設において26日、IoTプロダクトの開発支援プログラム「DMM.make AKIBA Open Challenge 2」の採択チームによる発表展示会「DMM.make AKIBA Open Challenge 2 Demo Day」が開催された。今回はその展示作品の中から、木製の3D地図生成サービス「はだちず」を紹介する。
はだちずは、国土地理院やOpenStreetMapなどの地図データを利用して、オリジナルの木製3D地図を生成するサービス。指定したエリアを、等高線を強調した高低差が分かりやすい立体地図にして出力することができる。ただ3D地図として提供するだけでなく、切り離してパズルとして提供することも可能だ。
地形データは国土地理院の基盤地図情報を使用しており、このデータをもとにフリーのGISソフト「QGIS」で等高線データを作成し、QGISの印刷・出力機能「プリントコンポーザー」でSVG形式にエクスポートする。その後、Illustratorで標高ごとにカット用データを作成したあと、レーザーカッターで木版をカットし、組立・接着すれば完成となる。
「はだちず」を提供するLoscaracolesの代表・黒川正章氏によると、素材として木を選んだのは、触ったときの質感を大切にしたかったのと、3Dプリンターに比べてレーザーカッターで木を切るほうが完成が早いからだという。「レーザーカッターで板を切るときにできる“焦げ”が等高線のように見えるため、高低差が強調されて、地図を読めない人でも地形が分かるのが特徴です」と説明している。
はだちずはまだ市販されていないが、価格としては市区町村単位で作る場合、5000円くらいを想定している。提供形態としては、等高線ごとにカットされた木版を接着しない状態で提供し、購入者に自ら組み立ててもらうようにしたいと黒川氏は考えている。また、地図で切り出す範囲をウェブ上から指定して申し込めるシステムの構築も検討している。
最近は木製の3D地図の上にコルクを貼った新たな製品も作成した。コルクならば木と違ってピンを刺せるし、その上に道路や建物の形などを記載することもできる。今回展示していたのは東京都稲城市の3D地図で、コルクの上にはOpenStreetMapをもとにした市街地図が描かれていた。
はだちずはすでに科学イベントなどで、小学生向けに提供した実績があり、今後も教材や町おこしイベントでの展示物としてアピールすることも考えている。もちろん一般向けにも提供できるよう取り組む方針で、今後の市販化が期待される。