よくわかる音楽著作権ビジネス
実践編 第29話
サンプリングと著作権―裁判例1―
アメリカにおけるミュージック・サンプリング事件とは?
2018年4月20日 18:05
当連載「よくわかる音楽著作権ビジネス」では、書籍「よくわかる音楽著作権ビジネス基礎編 5th Edition」およびその続編「よくわかる音楽著作権ビジネス実践編 5th Edition」(安藤和宏著/リットーミュージック刊)の中から、注目のトピック(章)をピックアップして転載しています。
いよいよ移籍第4弾シングルのレコーディングが始まった著作ケンゾウ君。タイトルはずばり「ホレたぜ! 盆栽」と、まさに盆栽好きのケンゾウ君の生き方を象徴したような名曲である。初期の近藤真彦の曲調を彷彿させる曲の作りだが、スタッフ全員に大ヒット間違いなしの太鼓判を押されて大喜びの彼は、新妻の瞳嬢にラフ・ミックスを聴かせるのだった。しかし、そこには彼女のキッツ~イお叱りが待っていたのだ。
日本では無断サンプリングが問題となった著作権侵害訴訟はまだ起きていないが、実務上では多くの紛争が発生しており、海外の権利者から多額の使用料を請求されるケースも少なくない。また、レコード会社の法務部も紛争処理や権利処理に慣れているとはいえない状況にある。
一方、アメリカでは1991年のBiz Markie事件以来、多くのサンプリング訴訟が起きているため、訴訟リスクを抱える音楽業界は権利処理の方法をすでに確立している。そこで今回は、アメリカにおけるサンプリングの重要裁判例を紹介し、アメリカの裁判所がこの問題にどのように対応しているのかについて解説してみよう。
- ミュージック・サンプリングとは
- サンプリングに関するアメリカの裁判例
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