清水理史の「イニシャルB」

カンタン&セキュアなクラウド監視カメラ「Safie」 監視までに費やす時間と労力をその先のソリューションに

ネットワークカメラとクラウドサービスを組み合わせた監視カメラソリューション「Safie」

 「Safie」は、設置や運用管理に手間が掛からないクラウド録画型の監視カメラソリューションだ。設置や管理がカンタンなだけでなく、セキュリティにも十分な配慮がなされており、店舗などのスモールビジネスでも導入しやすいシステムとなっている。防犯はもちろんのこと、さらに映像をビジネスシーンで活用したい場合に便利な製品だ。

スモールビジネスにこそカメラを

 盗難防止や不正防止など、「監視カメラ」と言うと、真っ先に防犯目的での利用を思い浮かべる人が多いのではないだろうか?

 もちろん、人の目の届かない隅々まで、24時間365日監視の目を光らせることができる監視カメラは、防犯を効率的に実現するソリューションの1つであることは間違いない。

 しかし、最近では、店舗の効率的な運営を目指して普段の様子を「見える化」する目的で監視カメラを導入したり、調理や接客などのオペレーションの改善を目指して「行動分析」の目的で監視カメラを導入する企業が増えてきている。

 Safieは、そんなニーズを的確に捉えた監視カメラソリューションだ。

 従来の監視カメラソリューションでは、高価なカメラやレコーディングシステムが必要な上、配線工事などが必要な場合もあったが、クラウド録画型のソリューションとなる「Safie」なら、こうした導入の敷居が、ぐっと低くなっている。

 必要なのは、ネットワークカメラをWi-Fiに接続するための設定のみ。これだけで、カメラの映像がインターネット上のサーバーに転送され、PCやスマートフォンなどを使ってカンタンに映像を視聴することが可能になる。

 「監視カメラ」というデバイスをコアにしたソリューションには、さまざまな発展の可能性があるが、その入り口を、誰にでも広く提供しようとしているのがSafieだ。

Safieのウェブサイト。監視カメラのクラウド録画を提供するソリューション。防犯利用が多いが、業務改善などの利用も可能。企業での導入事例も豊富に掲載されている

カメラ本体の費用+クラウド録画料金

 Safieのサービスは、監視カメラ本体の費用とクラウドサービスの利用料という2本立てで構成されている。

 監視カメラ本体には、屋内用、屋外用などタイプによってさまざまなモデルがラインアップされており、まずは利用シーンに合ったモデルを購入する必要がある。

型番ネットワーク設置先視野角価格
QBiC CLOUD CC-2Wi-Fi屋内対角134度1万9800円
QBiC CLOUD CC-2LWi-Fi/有線(PoE)屋内対角134度2万4800円
QBiC CLOUD CP-1W有線(PoE)屋外対角99度6万5000円
QBiC CLOUD CP-1S有線(PoE)屋外対角155度6万円

※上記以外にも人感センサー搭載モデルなどもあり

Safieに対応したカメラ「QBiC CLOUD CC-2」。屋内向けのWi-Fiモデル。パンやチルトは手動だが撮影範囲は広く、夜間撮影も可能

 一方、クラウドサービスは、カメラの管理やライブ映像の視聴、録画映像の切り出しなどができるサービスとなっている。

 カメラ購入後に、2週間ほど7日間録画プランを無料で試用できるが、その後は有料プランへの契約が必要となっており、映像を保管しておくことができる期間によって料金が異なる。

プラン月額料金(税別)
7日間録画プラン1200円
14日間録画プラン1650円
30日間録画プラン2000円
60日間録画プラン2500円
90日間録画プラン3000円
180日間録画プラン4500円
360日間録画プラン7000円

 防犯目的で利用するにしろ、業務改善目的で利用するにしろ、なるべく過去へ遡れるに越したことはない。実際、時間が経過してから盗難や不正が発覚するようなケースも少なくない。また、業務改善などの目的であれば、曜日や日程などによる繁閑の差なども考慮して映像を分析する必要がある。

 こうしたことを考えると、月額2000円の30日録画プランあたりが妥当な選択となりそうだが、個人的には360日間録画プランがリーズナブルに思える。

 なぜなら、NASなどを利用した監視カメラソリューションで1年分の映像を保管しようとすれば、ベイ数の多い高性能なNASと容量の大きなHDDを数十万円前後で購入し、これを管理したり、一定年数でメンテナンス(HDD交換なども含む)していく必要があるからだ。

 用途にもよるが、30日プランで月額2000円支払うのであれば、思い切って360日間録画プランにしてしまうのも1つの選択だろう。内部犯行による不正など、表面化しにくい犯罪などの調査や証拠固めには、こうした長期の録画データがあるのは非常に頼もしい。

BluetoothまたはUSB直結で設定

 カメラの設定は、さすがに「手軽さ」が特徴となっているだけあって非常に簡単だ。

 設定方法は2通りあり、スマートフォンから設定する場合は、専用アプリをインストールしてBluetooth経由で設定する。

 アカウントを登録して設定を開始すると、自動的に近くにあるカメラが検出されるので、接続先となるWi-Fiの設定情報(SSIDとパスワード)を登録。カメラ名を設定すれば完了だ。

スマートフォンからの設定の場合は、Bluetooth経由でカメラを設定する
Wi-Fi接続は一覧からSSIDを選択してパスワードを入力する方式。セキュリティ面への配慮だろうか、WPSなどには対応しない

 一方、PCから設定する場合は、付属のUSBケーブルで本体をPCに接続する。そのまま数十秒待つと、ドライブとして認識されるので、エクスプローラーを使って設定用のプログラムを実行すればいい。

 スマートフォンのアプリと同様に、アカウントを設定し、Wi-Fiの接続設定を登録後、USBケーブルを外してカメラを起動し直せば設定は完了だ。

PCから設定する場合は、USBケーブルでカメラ本体を接続。しばらくするとドライブとして認識されるので、設定ツールを起動する
PCからの設定もカンタン。スマートフォンと同様に、クラウドサービスにログイン後、Wi-Fiの接続設定を登録するだけでいい

 複数台の設定をする場合は、若干、手間が掛かりそうだが、このように設定自体は非常にシンプルで分かりやすい。

 一般的なネットワークカメラの場合、専用ツールを使ってネットワーク内のカメラを検出し、ウェブブラウザーを使って設定画面にアクセスするという方法になるが、本製品ではネットワーク接続も、設定画面へのアクセスも必要ない(そもそも設定画面そのものも、本製品には用意されない)。

 従来のネットワークカメラの流儀に慣れた人には、少々、戸惑う仕様だが、この方が確かに設定の敷居は低い。「置くだけポン」というキャッチコピーはさすがに大げさだが、初めてでも設置に悩まずに済むのは事実だろう。

 クラウドサービスでは、カメラ映像の視聴だけでなく、録画映像の一部をムービークリップとして書き出すことなどもできる。

 クラウドサービスのページを開くと、管理下のカメラが一覧表示され、複数台のカメラがあれば、ここから監視センターのようにいろいろなカメラの映像を眺めることができる。

 詳細を表示したいカメラを選択すれば、カメラのライブ映像が表示され、その下にタイムラインで過去の録画映像のサムネイルが表示される。標準では動体検知や音声検知がオンになっており、異変のあるシーンをカンタンに探せるようになっている。

 録画映像の中から特定のシーンをムービーとして切り出したり、タイムラプス映像を作成することも可能で、範囲を指定するだけで、カンタンにクラウド上で映像を処理できる。犯罪などの証拠映像を切り出したり、店舗の1日の様子をタイムラプスで確認するといった使い方ができる。

 「タイムラプスを作る」というボタン表記が機能名すぎる印象はあるが、実際のソリューションに映像を活用しやすいのも、Safieの特徴と言えるだろう。

クラウドサービスの画面。カメラが複数台登録されている場合は、一覧からいろいろなシーンを見渡せる
ライブ映像の画面。動体検知が有効になっており、動きがあったシーンはサムネイルが表示される。音声を出力したり、範囲を指定してムービークリップを出力することも可能
スマートフォン版のアプリでの映像

カメラを紐付け&ポートも全閉じ

 「便利そうだが、セキュリティが不安……」と導入に躊躇する人も少なくないことだろう。昨今、低価格な監視カメラが勝手に動いたという事例なども話題になっており、防犯目的で設定したカメラが、逆に悪用されてしまうのではないか? という不安は常につきまとう。

 もちろん、そうしたリスクを完全に防ぐことは不可能だが、Safieには数々のセキュリティ対策が施されており、監視カメラでありがちな不安を軽減する工夫がなされている。

 同社は「オンラインバンクと同等」のセキュリティレベルとしているが、録画データ、通信経路は暗号化されており、カメラの不正利用や録画映像の不正視聴、改ざんなどを防止できるとしている。

 現状、監視カメラの不正利用の多くは、内部プログラムの脆弱性を悪用するものが多いが、その対策も施されている。

 試しに、ネットワークに接続されたPCからポートスキャンを実行してみたが、1~65535の範囲で公開されているポートはないという結果になった。おそらく映像の送信などは、カメラ起点の通信でクラウドと接続する仕様となっているのだろう。こうした仕様であれば、カメラに直接アクセスされる心配は低いと言える。

ポートスキャンの様子。アクセス可能なポートは開けられていない

 また、前述したように初期設定をBluetoothやUSBで接続して行う仕組みとなっているが、この接続に関しても保護されている。

 カメラはシリアルごとにアカウントに紐付けされているため、例えば、店舗に設置後のカメラに対して、設定アプリを使ってBluetoothで設定変更(接続先のWi-Fiを変更してパケットをキャプチャしようとするなど)を試みたとしても、紐付けされたアカウント以外では設定変更ができないようになっている。

カメラとアカウントは紐付けされており、第三者が所有するカメラを勝手に登録することはできない

 ファームウェアの脆弱性などが攻撃に悪用される場合も考えられるが、ファームウェアのアップデートも自動的に実行されるようになっており、ユーザーがファームウェアのアップデートを忘れるなどのリスクも避けられるようになっている。

 唯一の懸念は、アカウント情報の漏えいだろうか。クラウドサービスである以上、アカウントとパスワードが漏えいすれば、カメラの映像は丸見えになる。

 利便性が犠牲になるが、法人で利用することを考えると、2段階認証の導入やログイン履歴の管理などができると望ましいところだ。

ファームウェアのアップデートを自動的に実行。カメラの脆弱性が問題になりつつある中、こうした取り組みは高く評価できる

5GHz帯に対応した「QBiC CLOUD CC-2」

 提供されるカメラは、前述したようにいくつかのモデルがあるが、今回使ってみたのは今年の7月末に発売されたばかりの新モデル「QBiC CLOUD CC-2」だ。

 映像ソリューションを手掛けるELMO(株式会社エルモ)製のカメラで、2.4GHz帯に加え、5GHz帯でのWi-Fi接続にも対応している。

 監視カメラのように、長時間、連続的に通信する可能性があるデバイスは、PCなど速度が必要な機器用の帯域から切り離して運用するのが望ましく、できれば監視カメラ専用に帯域を設けた方がいい。

 5GHz帯を使えることは、混雑した2.4GHzを避け、安定した映像を届けられるというメリットがあるが、こうした面からは、単純に2.4GHzと5GHzを使い分けられる(PCなどメインの帯域から切り離せる)のがメリットだろう。

正面
側面
背面

 カメラは、720p(1280×720ドット)、30fps対応で、0.1ルクスの明るさならカラーで映像を記録することが可能。それ以下の暗いシーンは、赤外線LEDを使って撮影できる。このため、照明の消えた夜間などでも、クリアな映像を撮影できる。

 残念ながらパン・チルトは手動となっているが、対角134度の広角レンズを搭載しており、定点でもかなり広い範囲を撮影することが可能だ。マイク、スピーカーも内蔵しており、音声を記録したり、スマートフォンなどから音声を出力することもできる。

 電源はmicroUSBによるDC 5V給電となっており、電源を確保しにくい場所に設置する場合はモバイルバッテリーでの動作も可能となっている。

 本体もコンパクトな上、付属のUSBケーブルも2mほどと長いため、設置場所にも困らない印象だ。ケーブルが抜けないようにタイラップで固定できるような工夫もされており、非常に実践的な製品になっている。

 見た目は、海外製の低価格な監視カメラと大差ないように思えるが、前述したソフトウェア部分も含め、作り込みがかなりしっかりとしている印象だ。

地味だが、USBケーブルが抜けにくくなるような工夫もなされている。店舗などの現場でに設置する際にはとても重要

具体的なソリューションを売る時代に

 以上、ネットワークカメラを利用した監視映像ソリューションサービス「Safie」を実際に試してみたが、設定の手軽さやセキュリティ面の充実、ソリューションとしての活用のしやすさなど、完成度の高いサービスと言えそうだ。

 監視カメラを導入するという直接的なニーズもありそうだが、「店舗運営を効率化したい」など、漠然とした企業のニーズを映像を使って解決する手掛かりとしても使えそうだ。もはや製品だけを売る時代ではなく、そうした具体的なソリューションとして販売することが、監視カメラには必要なのだろう。

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清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。