清水理史の「イニシャルB」

NASでもSSDを選ぶべき理由。速さだけじゃない!! 信頼性も向上するオールフラッシュ10Gbps NAS「AXELBOX」

 社内で運用しているサーバーやNASの突発的な障害に悩まされた経験はないだろうか? 社内のデータを保管、共有するストレージの重要度は高まるにつれ、故障などのトラブルが与える影響は、より大きく、より深刻になる傾向がある。

 そうした中で注目を集めつつあるのが、ストレージにSSDを採用したオールフラッシュNASだ。中でも、高性能なNAS本体と信頼性の高いSSDをパッケージ化したテックウィンドの「AXELBOX」は、企業からの引き合いも多い注目製品だ。そのメリットを探ってみよう。

物理的な故障に強いストレージにSSDを利用したNASへの注目が高まっている

高まる安全なNASへのニーズ

 NASは、社内に留めておきたい重要なデータの保管やローカルで高速にアクセスしたいデータの保管に適したストレージ環境だ。

 クラウドストレージの利用シーンが増えてきた今でも、否、今だからこそ、NASの重要性は高まりつつある。

 昨今では、電子帳簿保存法対策に向けた重要な書類の保管用として注目されていたり、製品プロモーション用動画など大容量ファイルの保管先として現場で重宝されていたりと、企業活動になくてはならない存在となっている。

 しかし、その一方で、課題になるのが障害への対策だ。ある日、突然、フロントベイのランプが異常を示し、どうしようかと悩んでいるうちに、HDDが異音を上げながら亡くなってしまうというのは、IT管理を担当している人なら、一度は経験があるに違いない。

 オンプレミスのシステムである以上、監視や定期的なメンテナンスが必要なのは当然だが、HDDの故障は予想がしにくく、突発的に発生するケースが多い。もちろん、HDDに障害が発生してもRAIDでデータは保護されるが、繁忙期などでシステムの停止が許されない時期だと、その交換も慎重にならざるを得ないのが悩みどころだ。

稼働部品が少ないSSDのメリット

 そこで注目が高まりつつあるのが、HDDではなくSSDをストレージに採用したオールフラッシュNASだ。

 かつては、大規模なデータ処理など、高いアクセス速度を活かした用途向けだったオールフラッシュNASだが、最近では、速度だけでなく、その「信頼性」の高さに注目が集まりつつある。

 「SSDは寿命が……」と思う読者もいるかもしれないが、NASの場合に問題になるのは、前述したように「突発的」な障害だ。回転する複数の円盤や頻繁に稼働するヘッドで構成されるHDDは、NASのような常時稼働で稼働部品が消耗するケースが多く、それが障害に発展しやすい。

 一方、SSDは、フラッシュメモリに電気的にデータを記録する方式のため、内部に稼働部品は存在しない。もちろん、いわゆる「SSDの寿命」は考慮する必要があるが、かつてほど深刻に考える必要はない。そもそも、書き込み可能なデータの総容量は明示されているので、それを目安に「計画的」に交換すればいい。

 このため、SSDであれば、利用状況や繁閑のタイミングを考慮して計画的にメンテナンスすることで、HDDのように予測不可能な障害を避けられることになる。

オールフラッシュNASを手軽に導入できるテックウィンドの「AXELBOX」

 このような特徴を持つオールフラッシュNASを中小規模の環境から手軽に導入できるようにしたのが、テックウィンドのオールフラッシュNAS「AXELBOX」だ。

テックウィンドのオールフラッシュNAS「AXELBOX」
正面

 オールフラッシュNASというと高価なラックマウントタイプをイメージするかもしれないが、本製品はデスクトップタイプのNASにSATA接続のSSDを装着したタイプで、限られたスペースにも設置可能なだけでなく、比較的リーズナブルな価格設定となっており、中小規模の企業でも導入しやすいのが特徴となる。

 高性能なNASとして人気の高いQNAPの「TS-x73」シリーズをベースに、Western DigitalのNAS向けSSD「WD Red SA500」を搭載した製品で、テックウィンドの国内自社工場でキッティングし、RAID構成のセッティングまでを済ませた状態で出荷される。

側面
背面
SSDの組み込み、QTS(OS)のインストール、RAIDの構成までを済ませた状態で出荷される

 WD Redと言えば、今やNAS向けドライブの定番とも言える製品だが、コンシューマー向けのデスクトップPC用SSDと比べて、高い信頼性が確保されている。例えば、故障率を示すMTTF(故障するまでの平均時間)は、コンシューマー向けである「WD Blue」の175万時間に対し、AXELBOXに採用されているWD Red SA500は200万時間となっており、より故障率が低くなっている。

 耐久性を示すTBW(Total Bytes Written:最大総書き込みバイト数)についても、同じ2モデルでの比較ではWD Blueの500TBに対し、WD Red SA500は1300TBと、容量の書き込み寿命は2.6倍も多い。なお、TBWは単純にSSDの要領が大きくなるほど値も高くなるので、購入時はなるべく大容量のSSDを選ぶのがお勧めだ。

 要するに、AXELBOXは、NASとして長時間稼働させたり、大量のアクセスが発生したりすることを見越して、信頼性の高いSSDを標準で搭載していることになる。

NAS向けのSSDであるWD Redは、コンシューマー向けSSDに比べてMTTFやTBWなどの信頼性が高くなっている

「検証済み」「サポート込み」のテックウィンドブランドとしての安心感

 このように、信頼性が重視されているAXELBOXだが、SSDだけでなく製品全体として見たときの信頼性も高い。

 通常、海外製のNASは本体のみを購入し、別途購入したHDDやSSDを自分で組み込んで利用するため、ドライブの選び方に悩んだり、サポートは大丈夫なのかと心配になったりする。しかし、前述したようにAXELBOXではテックウィンドによって検証済みのWD Red SA500が組み込まれた状態で出荷される上、同社のサポートを利用することもできる。

テックウィンドの保証サービスを活用することで、より安心して利用できる

 そもそものサポート期間は、QNAPのNAS本体が2年間、SSDのWD Red SA500が5年間となっているが、延長保証でNAS本体を5年間に延ばすことができる上、テックウィンドの保証サービスを活用することで、オンサイト保守などの充実した保証を利用することもできる。

 同じQNAPのNASでも、テックウィンドの安心感がプラスされているのがAXELBOXというわけだ。

 ちなみに、QNAPのNASの国内代理店を長く続けてきたテックウィンドならではのノウハウも投入されている。

 例えば、QNAPのNAS用OSのSSD保護機能として「SSDエキストラオーバープロビジョニング」という機能がある。これは、NAS側の設定でSSDの使用可能な容量に一定の余裕を持たせることで、SSDの寿命を延ばすものだ。

 テックウィンドでは、前述したようにSSDを組み込むだけでなく、SSDの構成を設定済みで出荷するが、この際にSSDオーバープロビジョニングも予備領域10%とし、設定済みの状態で出荷している。

 オールフラッシュNASの導入が初めての場合でも、同社のノウハウによって最適化されたSSD設定でNASを利用できることになる。

オーバープロビジョニングが設定済みとなり、SSDの寿命をより伸ばすことができる

もちろんパフォーマンスも一級品

 ここまでは、主に信頼性の面からAXELBOXの特徴を見てきたが、もちろんパフォーマンスも優秀だ。

 今回、使用したAXELBOXのベースになっているQNAPの4ベイNAS「TS-473」は、AMD RX-421ND(クアッドコア、2.1GHz)のCPUと、4GBのメモリを搭載した高性能なモデル。拡張用のPCIeスロットを搭載していて、オプションの拡張カードも取り付け可能だ。

 AXELBOXでは、この拡張スロットに2ポート対応の10GbEイーサネットカードを標準で装着しており、社内ネットワークに10Gbpsで接続可能となっている。

10Gbpsのネットワークアダプタを装着済み
CrystalDiskMark 8.0.1の結果

 これにより、以下のようにシーケンシャルリードで1200MB/sオーバーを実現するなど、高い転送能力を発揮することができる。

 冒頭でも触れたように、動画ファイルなど大容量のファイル転送で高い速度を実現できるだけでなく、社内の複数のユーザーが同時にアクセスした場合でも、各ユーザーに高い帯域を割り当てることができるため、ストレスのない高速なアクセス環境を実現できるわけだ。

テックウィンドだから提供できる高信頼・高速NAS

 このように、AXELBOXは、現代のNASに求められる高い信頼性と性能を満たしたNASと言える。

 社内でのNASの導入を検討しているものの、「どの製品を選べばいいのか分からない」「組み合わせるHDD/SSDをどうすればいいのか決められない」と悩んでいる人は少なくないかもしれないが、AXELBOXなら、テックウィンドの技術とサポートによって構成済みの安心して使えるNASを導入することができる。

 冒頭でも触れた通り、今後は、電子帳簿保存法などで社内のデータ保存環境でより高い信頼性が求められるようになる。この機会に、AXELBOXの導入を検討してみてはいかがだろうか。

(協力:テックウインド株式会社)

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。