週刊Slack情報局

近畿大、対話型AIとSlackを連携、授業に関する学生の質問にDMで自動回答

「バーチャルTA for Slack」導入、AIが対話データを自動学習するシステムも

 学校法人近畿大学は、Slackと連携した自動会話プログラム「バーチャル・ティーチングアシスタント for Slack(バーチャルTA for Slack)」の導入を発表した。授業に関する質問を学生がSlack上で投稿すると、対話型AIが自動的に回答してくれるもので、オンライン授業を受ける学生の学習サポートと、教員やTA(ティーチングアシスタント:授業や実験で教員のサポートや受講生の補助をする大学院生)の負担軽減を図る。9月16日より理工学部情報学科の専門授業「情報メディアプロジェクトII」で導入する。

 同大学は、学生の質問に答える対話AI型の「バーチャルTA」を2018年から導入していたが、今回、新たにSlackと連携した。2020年7月には全学生・教職員3万6801人を対象にSlackを導入しており、質問数の増加とそれに伴う回答業務の増加が背景にあるという。

 バーチャルTA for Slackでは、Slack上にバーチャルTAのチャットボットアカウントが作成されており、学生はダイレクトメッセージを通じて24時間、自由に質問が可能。簡単な質問についてはバーチャルTAがSlack上で直接回答を行う。

 回答困難な質問や「問題は解決しなかった」と学生が判断した質問については、バーチャルTAが教員とTAに通知し、後日、教員やTAが学生に正しい回答を送信する。Slackを経由・連携させることで、教員やTAの回答履歴が残るため、口頭対応では困難だった回答例の集約が容易になるとしている。

「バーチャルTA for Slack」イメージ画面

 また、学生からの質問内容、バーチャルTAの回答内容およびその回答に対する学生による評価、教員とTAの回答などのデータは、バーチャルTAのシステム本体が自動で収集・蓄積し、対話モデルの改善に利用する。Slackとの連携と同時に、対話データをAIが自動的に収集するエコシステムを備えることにより、「将来的には理工学部だけでなくSlackを利用する全ての実習での活用が期待できる」(同大学)としている。

 バーチャルTAは、IBM Watsonの自然言語処理技術を用いてSCSK株式会社(旧・株式会社JIEC)が構築した質問応答システム「manaBrain」を、さらに近畿大学理工学部の講義データを用いてカスタマイズした対話型AI活用システム。

一般企業でも利用が広がっているビジネスコミュニケーションツール「Slack」。Slack Technologiesの日本法人であるSlack Japanはこのツールのことを“ビジネスコラボレーションハブ”と表現しており、あらゆるコミュニケーションやツールを一元化するものと位置付けている。本連載「週刊Slack情報局」では、その新機能やアップデート内容、企業における導入事例、イベントレポートなど、Slackに関する情報をお届けする。