明日からテレワーク! 最低限チェックしたいNAS&ルーター安心・便利設定
ルーター編 第8回
VPNサーバー機能は慎重に運用しよう2
2020年6月2日 11:02
小規模なオフィスや個人事務所などでは、家庭用として販売されているWi-Fiルーターを使っているケースも珍しくありません。
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こうした環境で注意したいのが「VPNサーバー」機能の利用です。前回に続き、家庭用のVPNサーバーをテレワーク用に使う場合の注意点を見ていきましょう。
4.事前共有キーとユーザーの管理
さて、ここまでにWi-FiルーターのVPNサーバー機能の使い方を紹介しましたが、肝心なのはここからです。
VPNで外部からWi-Fiルーターへと接続すると、そのクライアントはオフィスのLANに接続されているときと同等の状態となります。
名前解決の問題があるためIPアドレスで接続先を指定する必要はありますが、オフィスのLANに接続されているファイルサーバーへアクセスしたり、オフィスのサーバーで動作している業務アプリケーションに接続することなどができます。
このため、便利な一方で、第三者に接続されてしまうと、情報漏えいなどの被害につながる危険性もあります。
法人向けのWi-Fiルーターであれば、認証に証明書を利用したり、発信元のIPアドレスを固定することなどで、接続できるWi-Fi子機を制限することができますが、家庭用のWi-Fiルーターには、こうした機能がない製品が多いため、事前共有キーとユーザーとをしっかり管理することが重要です。
VPN接続に接続するための事前共有キー、ユーザーのIDとパスワードは、できるだけ長く、複雑なものにしておきましょう。
また、本当に必要なユーザーのみに接続を許可し、使わないユーザーが登録されている場合は、設定画面から削除しておくことも大切です。
5.フィルターの活用
一部のインターネット接続環境(例えば「auひかり」など)は、ユーザーに割り当てられるWAN側のグローバルIPアドレスが固定されており、変更されることはほとんどありません。
接続するWi-Fi子機(つまり在宅勤務の環境)側がWANに固定的なIPアドレスを利用できる場合は、オフィス側のWi-Fiルーターのフィルター機能を使って、VPN接続するユーザーを限定できます。
具体的には、L2TP/IPsecで利用するポートのいずれか(例では「1701」を利用)を遮断するフィルターと、特定の送信元アドレスからの「1701」を通過させるフィルターを併用します(上に許可するフィルターを配置)。
ただし、家庭向けのインターネット接続環境は、いつグローバルIPアドレスが変更されるか分かりません。変更されるたびにフィルターを更新する必要があり、さらに変更されたことを知らずに放置しておくと、許可したIPアドレスが割り当てられた別のユーザーに対して接続を許可してしまうことになります。
無差別な接続試行を排除することはできますが、弊害があることも理解して設定するといいでしょう。
6.そのほかの注意点
Windows 10からVPNサーバーに接続する場合は、VPN接続のプロパティの設定が必要です。
標準では証明書を使った認証が選択されていますので、プロパティの[セキュリティ]タブにある[VPNの種類]の[詳細設定]ボタンから[認証に事前共有キーを使う]を選択し、設定した事前共有キーをWi-Fiルーターに登録しましょう。
機種によっては、同時に[次のプロトコルを許可する]で[MS-CHAP v2]を有効にしないと接続できない場合もあります。
7.事前共有キーの方式を変更
また、VPNサーバーに接続する際、環境によってはWindows 10のレジストリの追加が必要になる場合があります。
ルーターをVPNサーバーに設定する場合は該当しませんが、オフィス側のネットワーク構成によっては必要になる場合もあります(別のルーターが存在しNATがかかっている場合)。もし、接続できないときは、Microsoftサポートにある以下のウェブページを参考に、レジストリの項目を追加しましょう。