テレワークグッズ・ミニレビュー
第89回
Jabraのスピーカーフォンが便利すぎ!! Web会議はもちろんオーディオスピーカーとして出張でも持ち歩き
2023年12月22日 12:12
Web会議向けのヘッドセットやスピーカーといった市場は、実は結構古くから存在する。たとえば2011年に品川に移転した当時の日本マイクロソフトを訪れた際には、オフィスにJabraやPoly(当時はPlantronics)の製品が並んでいた。
ただ、当時はそういった企業はごく一部で、一般的にはリモート会議や電話用ヘッドセットの利用機会も少なく、私もリモート会議用の価格と専用性が高い製品の必要性はほぼないと思っていた。
しかし、コロナ禍でその状況は一変した。会場を使わない説明会というと、昔は一部の海外企業でWebexを使用した説明会があった程度だったが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出たあたりから、国内企業でもZoomやTeamsを使ったオンライン説明会が一般化し、当初の私は音質の良いゲーミングヘッドセットを使って自宅から参加していた(ボイスチャットで仲間と連絡を取りながら戦うため良質のゲーミングヘッドセットは音声もよく聞き取れる)。
会社での貸し出しにも最適なスピーカーフォン
オンライン説明会で求められるのは、できの良いプレゼン資料と聞き取りやすい音だと思う。
コロナ禍の最中に一般向けのオンラインセミナーに参加したことがあるのだが、社内資料をそのまま放映したのか、ビデオ機材内蔵のマイクで録音した非常に聞き取りにくい内容で辟易したことがある。理解度を高めるためには資料と話者の音質の良さは欠かせない要素だろう。
あるオンライン発表会の際、極めて明瞭度の高い説明者がいたので、気になって「発表とは無関係だが、ヘッドセットに何を使っているのか?」と質問したところ「JabraのEvolveを使っている」と回答があった。これでJabra製品に興味がわいた。
今年に入りJabraとコンタクトが取れ、個人向け製品をひと通り試させていただいた。いろいろと試した中で感じたのは、企業が社員に一時的に貸与するデバイスとしてはスピーカーフォンがベストだということだ。
Evolveのようなヘッドセットや、Eliteのようなカナル型イヤホン製品は、よりパーソナルなものだ。在宅勤務前提で専有するならば構わないが、会社の貸出品として前に誰が使ったのかわからないようなデバイスを抵抗なく使えるか? というと若干疑問がある。スピーカーフォンならば触れるのは手だけなので、ほかの人との共有でも抵抗なく利用できるだろう。
会議のみならずBGM用スピーカーとしてもGood
冒頭、Jabra製品はテレコミュニケーション専用というイメージから手を出さなかったという話をしたが、あの頃とは製品も変化していた。
先に説明したように、Web会議用ならば人の声が明瞭に聞こえ、ノイズが少ないことが望まれる。オフィスでも空調ノイズが入ることもあるし、一方でいわゆる「Hi-Fi」である必要はない。むしろ一般の声の周波数が綺麗に聞こえる方が望ましいので、低周波をカットすれば、同時に空調ノイズも入りにくくなる。上もせいぜい8000Hzまであればよく、声を主体とした従来型のテレコミュニケーション用製品ならばそこだけで良かった。
ところが現在の製品は、Web会議以外の音楽リスニングでの使用も想定している。JabraのスピーカーフォンであるSpeak2 40/55は50mmのフルトーンスピーカーを搭載しており、通話モードでは150~7000Hzの帯域、音楽モードでは100~2万Hzと帯域が変化するようになっている。
Web会議の利用では、エコーキャンセラーが入っているので相手の声がマイクに拾われてハウリングする事もない。Speak2シリーズになって全製品がフルデュプレックスオーディオ対応になったので、相手とこちらが同時に話してもどちらかの音が途切れることがなく、Web会議ユースでの性能も上がった。音楽モードと書かれているようにWeb会議以外での音楽再生にも対応している。
これまでに数回国内出張で持ち出しているが、スピーカーフォンは本来のリモート会議だけでなく、ホテルで作業中のBGMスピーカーとしても活躍している。音量もビジネスホテルで使うならば十分だ。
現在筆者が使っているノートPCはあまりスピーカーの品質が良くないので、外部スピーカーを使う事でBGMとして音楽を聴くには非常に都合がよくなった。
持ち運びに関しても、標準でフェルト製のケースが付属している。個人的にはセミハードケースが欲しかったが、Jabraが北欧の会社で「SDGsを考えると再生繊維を使う必要があるのです」と回答されたので、これは変わらなさそうだ。
Jabraのスピーカーフォンは、現在Speak2 40/55/75の3製品がラインアップする。40と55の製品の違いはUSB接続専用かUSB/Bluetoothの両対応である事。75は音声品質の可視化、複数話者の音声レベル正規化とハウリング除去、音声のウルトラワイドバンド(通話モードで150~1万4000Hz)対応などの追加機能があるが、少々サイズが大きい。
PCとの接続ならばUSB接続がよいだろうが、スマートフォンの場合はBluetoothの方が良好だ。という事で出張でも持ち出すスピーカーフォンとして考えた場合はSpeak2 55が機能と価格を考えると最適だろう。ちなみに過渡期ということで、USB Type-A/Cに両対応しており、手持ちのAndroidスマートフォンにも有線接続できた。
スピーカーフォンは会議内容がダダ漏れになるので公共の場所では利用はおすすめできないが、オフィス内での複数人での参加の時はもちろん、最近多い個室型シェアオフィスやホテルの部屋等でもスピーカーフォンを使う効果は高いと思う。
5月で日本における新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行し、公共交通機関の乗車状況で判断する限り国内出張なども復活している様子(結果としてホテル代が高くなってしまって困っている)。一般の企業においては、完全リモートワークだった会社でも一部出社や完全出社に戻るのだろう。
しかし、そうなってもWeb会議がなくなることはないだろう。むしろ出社する機会が増えることで、同僚数人で会議室に集まって取引先とWeb会議するようなハイブリッド会議も増えていくはずだ。そのようなシチュエーションで使えるツールとして、Speak2のような高音質なスピーカーフォンを会社が用意すれば、より質の高いWeb会議ができるようになって、コミュニケーションがスムーズになるのはもちろん、取引先からの印象も良くなれば、実際の売り上げにも良い効果が期待できるはずだ。企業が従業員の生産性を上げる手段として検討してみてはどうだろうか?
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