テレワークグッズ・ミニレビュー

第104回

Ankerの睡眠時用イヤホン「Soundcore Sleep A20」が期待以上の効果! “寝落ち”の必需品かもしれない

 睡眠時に特化したワイヤレスイヤホン「Anker Soundcore Sleep A20」が7月上旬に発売になり、睡眠時に「音」が欠かせない私は、早速試してみた。まだ使い始めて1週間少々だが、明らかに「よく眠れている」感覚がある。よい睡眠は、仕事にも好影響をもたらす。

「眠れないときは、小さな話し声を流すことが有効」説

 「夜、静かすぎると眠れない」という人は、どれくらいいるものだろうか? どうも目を閉じて寝ようとしても「脳が止まらない」というか、布団の中で変な思考が拡散していき、落ち着いて眠りに入れないことがある。

 こうした悩みには「小さな音量でラジオを再生しておくといい」という話を、雑誌か何かで読んだことがあった。聞こえるか聞こえないかぐらいの音量でラジオ番組などの話し声を流していると、自然とそれを聴き取ることに意識が集中され、雑多な思考などが消える。そのうえで、じきに眠れる(言ってみれば「寝落ち」状態になる)という。

 万人に効果のある方法なのかは分からないが、私の場合は、これが確かに効果的で、今でも家族の中で最後に眠るときは、この方法を使っている。家族もいる寝室でスピーカーから音を流すわけにもいかないので、小さな、安いイヤホンを耳に当て、スリープタイマーを設定し、ラジオやPodcastの番組を流して眠る。

眠りのため欠かせないイヤホンの、わりと繊細な選択基準

 寝るときに使うイヤホンは、安さはともかく、耳に当たる部分ができるだけ小さいことが重要だ。かさばるのは不快だし、ワイヤレスの製品は、バッテリーも内蔵するため総じて大きいので、使い心地がよくない。

 私はだいたい横向きに寝るので、上になる側の片耳だけに付けて寝るが、寝返りを打ったときにイヤホンを当てた側が下になると、枕とイヤホンにより耳孔周辺が圧迫されて痛くなってしまう。

 耳の中で圧迫感が強いカナル型は、長時間付けるとなると気持ちがよくない。とはいえインナーイヤー型はゆるすぎて、軽く動いただけで外れてしまうこともある。いくつか試した末、これまでは、若干小さめのイヤーピースを付けたカナル型の有線イヤホンを使っていた。「睡眠時用イヤホン」とうたう製品をいくつか目にしたこともあったが、画期的に使用感が変わるとは思えず、これまで試したことはなかった。

 このように、寝るときのイヤホンには細かな“こわだりポイント”があるのだが、Anker Soundcore Sleep A20は、見るからに耳に当たる部分が「薄い」のに惹かれる。イヤーピースの根本というか、装着時に耳の穴周辺に位置する部分の厚みが抑えられているので、横向きに寝たとき、下にあっても痛くならなそうだ。大きさの問題が解決されるなら、ワイヤレスの方が、ケーブルが邪魔にならなくて使いやすいだろう。

イヤホン本体。耳孔から露出する部分は極めて薄い

 また、ノイズ軽減機能(一般的なノイズキャンセルではなく、特定の音を重ねることでノイズが気にならないようにする「ノイズマスキング」機能)があることや、寝ている間に外れてどこかに行ってしまっても見つけやすい「イヤホンを探す」機能を持つのも、ポイントが高い。ワイヤレスの場合、睡眠中に外れてしまうと見つからなくなることもありそうで心配だったが、この機能があれば安心できる。

期待どおりの装着感で、早く寝たくなる!

 さて、Soundcore Sleep A20が届いた。サンドベージュという色はガジェットらしくないというか、何となくメイク用品のような印象を受ける。丸いデザインが、そういう印象を強めるのかもしれない。ケースにきれいに並んだイヤーピースやイヤーウイングもオシャレ、というか、繊細さを感じさせる。

 ケースのフタを軽くスライドさせると、加速が付いてスッと開き、イヤホン本体を取り出せる。閉めるときも軽くスライドさせるだけでパタンと閉まる。このあたりの細かな機構の気持ちよさで満足度が上がる。

ケースのフタを閉じた状態(の、USBポート側)。丸いので、充電時にどこに置こうかちょっと悩ましくもあるが、オシャレでよい

 本体を装着してみる。最初に付いているMサイズのイヤーピースとイヤーウイングで、ちょうどいい感じだ。イヤーウイングというのは超小型のイヤホンで使われる固定用パーツで、耳孔の下にある軟骨に乗せるようにして固定する。

 イヤーピースの圧迫感は強くなく、しかし、簡単に外れてしまうことはなさそうだ。さっそく枕を出して、横向きに寝てみる。耳の下にSoundcore Sleep A20があっても圧迫感はほとんどなく、痛くはならなさそうだ。目論み通り。早く寝たい!

付属している交換用のイヤーピースとウイング
付属品のパッケージに装着方法の説明がある

 これでスマートフォンなどとペアリングすれば、Bluetoothイヤホンとしてすぐに使える。しかし、「Soundcore」アプリをインストールすると、さらにいろいろな機能が使えるようになる。睡眠に入ったことを検知してBuletoothのペアリングを切って後述する「睡眠サウンド」を再生する「睡眠モード」に切り替えたり、一定時間で再生を停止したりする「スマートスイッチ」もそのひとつ。就寝予定時刻などを通知するアラーム機能もある。

 「イヤホンを探す」機能もアプリから利用する。また、アプリには睡眠モニタリング機能もある。睡眠モニタリングアプリはほかにもあるが、Soundcore Sleep A20ではイヤホン本体にジャイロセンサーを内蔵しており、そこからユーザーの動きを検知しているという。

Soundcoreアプリで、ペアリング中のSoundcore Sleep A20を操作する画面
「イヤホンを探す」機能では、左右それぞれから音を鳴らせる

好みの環境音を流して眠れる「睡眠サウンド」

 Soundcore Sleep A20とSoundcoreアプリの組み合わせで利用できるユニークな機能に、「睡眠モード」の「睡眠サウンド」機能がある。これはBluetoothイヤホンとして動作するのでなく、本体に保存された「睡眠サウンド」と呼ばれる音声データを再生するモードとなる。

 「睡眠モード」時はBluetoothによる通信をしないため、動作時間(連続再生時間)が伸びることも特徴だ。とはいえ、Bluetoothモードで最大10時間、睡眠モードでは最大14時間再生可能となっており、普通に使う分にはどちらでも動作時間をシビアに考える必要はないと思う。

 この「睡眠サウンド」は、自由に好きな音声ファイルを保存できるわけではないが、アプリで用意されている各種サウンドを最大3種類組み合わせ、「オリジナルブレンドの入眠サウンド」的なものを作れる。「ホワイトノイズ」のほか「雨」「風」といったオーソドックスな環境音、「焚火」「雪」のような渋いサウンド、「宇宙船」「ドライヤー」のような、それで眠れるのかよく分からない音もある。

 ちょっと気になったのが「セミ」だ。よく「田舎に行ったら夜中セミが鳴いていて眠れなかった」のような話を聞くし、不人気なのではという気もするが、私は特に気にならず、田舎の夜にセミが鳴いていても眠れる。とはいえ、都市部の自宅で寝るときに積極的に聴きたいほど好きなわけでもないが……。

 セミの種類は、ミンミンゼミなどの昼間に鳴き声をよく聞くタイプと思われる。夜中に鳴いていることもあるが、お昼寝用に使うと夏休み気分が出ていい、という想定かもしれない。個人的には、ヒグラシならよりムーディだったと思う。なお、3種類のサウンドをミックスできるので、「宇宙船+吹雪+セミ」のような奇想天外な組み合わせも可能だ。気になる人は試してみるといいかもしれない。

 私もサウンドをいくつか試してみたが、全体的に音の密度が高すぎるというか、もうちょっと散発的で発せられるようにできれば、と思った。自分にはラジオなどの音声の方がよさそうだ。

「睡眠サウンド」のカスタマイズ画面、用意されているさまざまなサウンドからを選べる
3種類までのサウンドを、音量のバランスを調した上で、Soundcore Sleep A20に転送しておくことで、「睡眠モード」時に再生できる

途中で目を覚ますことが減り、睡眠時間が明らかに伸びた

 実際にSoundcore Sleep A20を使い始めて、睡眠時間が1、2時間程度伸び、夜中に目を覚ますことが少なくなった。

 最近は5~6時間で目が覚めてしまい、これはもしかすると歳のせいということか……と思っていたのだが、Soundcore Sleep A20を付けて眠ると6~7時間、うっかりしていると8時間程度寝ている(おかげで、朝の予定があるときは目覚ましを設定するようになった)。特にノイズマスキングが効果的なのだと思われ、ちょっとした音に反応して目を覚ますことが少なくなったのだと思う。また、単純に両耳にイヤホンを当てている遮音効果もあるのだろう。

 目が覚めたときに外れていることはほとんどなく(たまにあるが)、横向きに寝ていても耳孔の周囲が痛くなることはないし、イヤーピースを一晩付けていたことによる違和感も少ない(全くないわけではない)。遮音だけなら耳栓でもいいかもしれないが、耳栓では入眠時に音を流せないし、これまで使ったことがあるどの耳栓よりも、Soundcore Sleep A20は違和感が小さい。ちなみに、まだ試していないが、交換用のイヤーピースには遮音性を高めたタイプも用意されている。

睡眠モニタリングの画面。この日は8時間近く寝ていた。イヤホン本体のジャイロセンサーからデータを取得しているということで、睡眠中にイヤホンが外れてしまうと、よく分からないデータになってしまうこともあるようだ

 当然ながら、こうした効果には個人差があると思われる。横向きに寝ていたときの感じなどは、頭や耳の形、枕の硬さなどにより変わりそうだ。気になった方は、まずは過大な期待は持たずに試してみていただければ、と思う。

 なお、Ankerでは2022年10月に「Soundcore Sleep A10」を発売しており、私はこれを知らなかった。旧モデルにあたるA10と、今回紹介したA20との主な違いは、「睡眠サウンド」のカスタマイズ機能と、「イヤホンを探す」機能の搭載、ウイングのバリエーションが増えたこと、そして、連続再生時間の長時間化となる。A10はBluetoothモードで最大6時間、睡眠モードで10時間とされている。

 A10の方が安く買えるし、「睡眠サウンド」のカスタマイズはなくてもいいという人も多いだろうが、「イヤホンを探す」機能はほしいし、つけ心地は新モデルであるA20の方が改善されていそうだ。後は、A10はホワイト、A20はサンドベージュと1色ずつの展開なので、色の好みも選択のポイントとなりうるだろう。

「普段使いのイヤホン」としてはどうか?

 本製品はそれほど安いわけではないので、睡眠時以外にも使えないか? これ一台で普段使いのイヤホンも兼ねられないか? と考える人もいるかもしれない。私は出先から帰ってきたままの服装で寝具に触れたくないと考える人間なので、そもそも気分の問題として、おすすめしない。

 とはいえ、ちょっと試してはみた。装着して歩き回っても簡単に外れることはないし、普段使いにも特に問題はないだろう。IPX4と、一般的なイヤホン並みの防水性能があり、外出先でなくしても「イヤホンを探す」機能で見つけやすい。

 ただし、どうも再生される音量が普通のイヤホンと比べて小さく感じられる。これは、ヘッドホン本体が小さいため、音の迫力が出にくいということのようだ。音量を上げればよくはあるが、無理をさせているようで気が引ける。

 また、個人的かつ感覚的なものだが、夜寝ている間にカナル型のイヤホンを付けるなら、起きているときには耳の同じ場所を刺激しないよう、別のタイプのヘッドホンを使うようにした方がいい気がした。

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