急遽テレワーク導入!の顛末記
「無料AIを活用して仕事の効率をアップしたい! PDF資料の要約や翻訳をAIに頼んでみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(179)
資料を全ページ読み込まなくても、必要な情報が解る!
2024年3月18日 07:00
ここ最近、生成AIを仕事にいろいろと使っているが、日々の業務をこなすうちに、AIにもう一つ頼みたいことが出てきた。それが、PDFファイルの閲覧におけるサポートだ。
……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて312日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はPDFファイルの読み込みに対応した生成AIに、資料の要約などをアシストしてもらった。
3月11日(月):「Microsoft Copilot」でPDFを要約できるか?
英語版の「Adobe Acrobat Reader」に、新機能「AI Assistant」が搭載された。この機能では対話型のAIを使って、文章の要約などができるらしい。ただ、リリースを見る限り、現時点では「Acrobat」、もしくは無料体験版の「Acrobat Pro」の利用者しか使えないようだ。
そこで、先日に写真をもとにした似顔絵の作成を頼んだ「Microsoft Copilot」なら、同じようにPDFファイルをアップすることで、要約作業などを任せられると思ったのだが……、どうやら無料版ではアップできるファイル容量に1MBまでの制限があるらしい。
ただ、「Microsoft Edge」でPDFの資料が公開されているページを開いたところ、「Microsoft Copilot」を使って、文章を要約させることができた。
「●●ページの内容を要約して」
「●●について、どんなことが書かれている?」
「そのページを教えて」
といったリクエストにも対応してくれたので、資料の読み込みに苦労しているときなどには、必要な情報を手早く入手できるだろう。ただ、要約については“資料全体の内容を分かりやすくまとめる”というより、“資料内からいくつかの情報をピックアップして羅列”した内容になっているのが気になる。まぁ、それも要約と言えなくもないのだが、情報の取りこぼしが多くて、「結局PDFを読まないと分からない」というケースが結構あったので、このあたりはもう少しAIのチューニングに期待したいところだ。
ちなみに、手持ちのPDFファイルをOneDriveにアップロードして、それを「Microsoft Edge」で開いてみたのだが、「Microsoft Copilot」に認識させることはできなかった。ネットで公開されていないPDFファイルを認識させるには、ほかの生成AIサービスを利用する必要があるだろう。
3月12日(火):PDFの読み込みに対応した生成AIに、要約や翻訳を頼んでみた
あれから、PDFファイルをアップロードしたうえで、その要約などが無料でできるサービスを探していたところ、いくつか使えそうなものが見つかった。
▼AI PDF要約
https://smallpdf.com/jp/ai-pdf
▼ChatPDF
https://www.chatpdf.com/
▼Perplexity
https://www.perplexity.ai/
▼Claude
https://claude.ai/chats
このうち、最も使い勝手が良かったのが「AI PDF要約」だ。「Microsoft Copilot」とは違い、きちんとファイルの内容を読み込んだうえで、それをコンパクトにまとめた要約をしてくれる。「●●について教えて」などと、資料の内容について質問した際の回答も分かりやすく、“要約”を専門にしたサービスにふさわしい性能だった。
さらに、容量は50MBまで、文字数は5万文字までのPDFファイルがアップロードできるのもうれしいところ。今回、ほかにもいろいろとサービスを試してみたところ、この制限に引っかかってファイルをアップできないものも多かったので、無料版でここまで大容量なファイルを扱えるのはうれしいポイントだ。
一方、「ChatPDF」と「Claude」は「Microsoft Copilot」と同じような使用感で、ページを指定して要約させるというよりも、「●●について教えて」などと具体的な質問をした方が、“資料の読み込みの効率化”に役立ちそうだ。また、今回用意したPDFファイルの1つ(容量20MB弱)が容量制限に引っかかったため、大容量なファイルは分割してアップロードする必要もあるだろう。
その点、「Perplexity」は大容量なPDFもアップロードできるのだが(1日にアップロードできるファイル数の制限はあり)、ページの認識力が曖昧で、指示とは別のページを要約することも多かった。
なお、これら4つの生成AIサービスで、英語で書かれたPDFファイルをアップロードしてみたところ、その内容の要約などを日本語で行わせることができた。いちいち翻訳ツールを挟まなくても、資料の内容を確認できるのは、この手の生成AIサービスの魅力といえるだろう。
ただ、今回のテストではときどき、“アップロードしたファイル内には存在しない情報”が回答に含まれることがあった。というのも、容量制限に引っかかったことから、AIには途中から“冒頭の20ページだけを抽出したファイル”を読み込ませていたのだが、そのファイルについて「●●について教えて」などと質問したところ、ファイルの20ページ目以降に掲載されている情報をもとにAIが回答してきたのだ。
今回のテストでは、ネット上から入手したPDFを使用したため、元ファイルの情報をネット上から収集しているか、あるいは過去に同じファイルがアップロードされたことで、その内容を学習したのかもしれない。いずれにしても、アップロードしたPDFにはない情報が回答に含まれる可能性がある……ということは、理解したうえでサービスを使った方が良さそうだ。
3月13日(水):専用サービスでPDFの中身を丸ごと日本語に差し替え!
昨日は生成AIに“英語で書かれたPDFのページ単位での翻訳”を依頼してみたのだが、全文を翻訳してくれなかったり、翻訳されたページが違っていたりと、なかなかうまくいかないことがあった。こういう翻訳作業については、専用のサービスを使った方がスムーズかもしれない。
この手のサービスでは「Google翻訳」や「DeepL翻訳」が定番で、どちらもファイルの全文翻訳に対応している。アップロードしたPDFファイルの中身をすべて日本語に書き換えてくれるので、英語の資料はまず翻訳してしまった方が、後の作業がスムーズかもしれない。
AIのサポートを受けることで、PDFの資料から必要な内容を手早く拾えるようになった。英語で書かれた資料についても、これからは苦手にせずに読むことができそうだ。
とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。