イベントレポート

CEATEC 2019 Co-Creation PARKレポート

透過率97.7%、見えないグラフェンアンテナは“炭素原子1層”

Co-Creation PARKレポート #2

千葉・幕張メッセで10月15日から開催された「CEATEC 2019」。イベントの華である大規模ブースのレポートは既に多数掲載しているが、CEATECには海外出展者やスタートアップ、大学・研究機関を中心とした小規模ブースの出展エリア「Co-Creation PARK」もあり、これらの中にも注目できる展示が多い。本レポートでは、これらのブースから、筆者が注目したブースを紹介する。

 10月15日から18日まで幕張メッセで行われていた「CEATEC 2019」において、青山学院大学理工学部電気電子工学科黄研究室が展示していたものを紹介する。展示していたのは研究・開発中の透明な、厳密には肉眼での視認が極めて困難であり、実質透明なグラフェンアンテナである。ちなみに可視光での透過率97.7%。グラフェンアンテナによる電波送受信に成功した段階にある。

展示されていたパネル。実機もあったのだが、写真でも存在を判別するのが難しかった

 アンテナの電極材料にグラフェンを使用することで、メタルフリー、電気特性の変調、フレキシブルといったメリットがある。金属アンテナに比べると性能は低くなってしまうが、上記したメリットからヘルスケアや金属アンテナの実装が難しいモノへの採用が想定されている。

 また表面積を増やすことで性能を確保でき、いまのところ6cm四方のグラフェンアンテナの試作はできているとのこと。

林 佑樹

1978年岐阜県生まれ。東京在住。ITサービスやPC、スマートフォンといったコンシューマから組み込み、CPS/IoT、製造、材料、先端科学のほか、ゲームやゲーム周辺機器のライティングも行なう。それらジャンルすべてが何かしらの技術でリンクしているのが最近のお気に入り。技術などを見る基準は「効率のいいサボりにつながるか」。フォトグラファーとしては、ドラマスチルや展示会、ポートレートをこなしつつ、先端科学研究所の撮影が多い。