イベントレポート

CEATEC 2019 Co-Creation PARKレポート

ペラペラの有機半導体、シリコンにはないやわらかさ

Co-Creation PARKレポート #5

千葉・幕張メッセで10月15日から開催された「CEATEC 2019」。イベントの華である大規模ブースのレポートは既に多数掲載しているが、CEATECには海外出展者やスタートアップ、大学・研究機関を中心とした小規模ブースの出展エリア「Co-Creation PARK」もあり、これらの中にも注目できる展示が多い。本レポートでは、これらのブースから、筆者が注目したブースを紹介する。

 10月15日から18日まで幕張メッセで行われていた「CEATEC 2019」において、有機半導体集積回路の商用化を目指すベンチャー企業、パイクリスタル株式会社が出展していた。

 シリコン半導体は幅広く活用されているが、製造設備投資が莫大、小品種大量生産が前提になる。また硬く曲げることができず、実装にも制限がある。これに対して、パイクリスタルの有機半導体技術は、やわらかく曲げることができ、塗布・印刷プロセスで作成するため、多品種少数生産に対応する。

有機半導体

 フィルム状であるため、複雑な曲面に貼り付けるような用途、たとえば人体のセンシング、プラスチック製品の曲面、カードのように薄いデバイスへの利用が可能だ。2019年現在の回路規模は1000-2000トランジスタで、将来的には20000-30000トランジスタを目指す。

写真のように極めて薄く、柔らかい

 有機半導体単結晶を利用したフレキシブルひずみセンサーも開発している。測定レンジ5%程度の歪みもOK、ゲージ係数20といった性能。金属やシリコン半導体よりも歪みに強い点が特徴になる。またセンサー付きRFIDタグも開発中とのことだ。

林 佑樹

1978年岐阜県生まれ。東京在住。ITサービスやPC、スマートフォンといったコンシューマから組み込み、CPS/IoT、製造、材料、先端科学のほか、ゲームやゲーム周辺機器のライティングも行なう。それらジャンルすべてが何かしらの技術でリンクしているのが最近のお気に入り。技術などを見る基準は「効率のいいサボりにつながるか」。フォトグラファーとしては、ドラマスチルや展示会、ポートレートをこなしつつ、先端科学研究所の撮影が多い。