イベントレポート
Data Center Japan 2026
データセンターの巨大化と爆縮、「光は遅い」ゆえに地理的分散が必要…江崎浩教授が語る、AI時代のキーワード
2026年4月2日 09:04
東京都内で開催されたイベント「Data Center Japan 2026」(主催:特定非営利活動法人日本データセンター協会、共催:株式会社ナノオプト・メディア)で3月25日、基調講演に日本データセンター協会副理事長兼運営委員長/東京大学大学院情報理工学系研究科教授の江崎浩氏が登壇。「AI時代のデータセンター最新トピックス2026」と題して、データセンター業界に起きている変化について語った。
「Data Center Japan 2026」講演・展示会場レポート[目次]
- データセンターの巨大化と爆縮、「光は遅い」ゆえに地理的分散が必要…江崎浩教授がAI時代のキーワードを語る(この記事)
- 冷蔵庫大の「マイクロデータセンター」も登場。AI需要を反映し、小型データセンターが各社から(別記事)
- 水冷(液冷)設備が目白押し。重いAIサーバーを高く持ち上げるための電動リフト実機デモも(別記事)
- 噴火してもデータセンターを止めない、空調・発電機の火山灰対策
架上配線のための「システム天井」、抜け防止の「ロック電源ケーブル」の展示も(別記事)
「まだ10%のデータしかAIは食べていない」という事実
江崎氏はまず、「3つの事実」を取り上げた。
1つめは「まだ10%のデータしかAIは食べていない」。つまり、約90%のデータが企業の中や個人のPC・スマホの中に活用されずに残っていて、これらが新しい市場になる可能性があるという指摘だ。
2つめは「集中と分散の振り子」。これまでインフラやサービスでは、集中型と分散型の流れが行き来してきた。現在のAIサービスはメガスケーラーへの集中型となっているが、「2025~2026年は、分散へ振り子が振れた年になると思う」と江崎氏は言う。そして「データセンターの巨大化・爆縮は継続するか」という問題については、汎用のパブリックAIは引き続き巨大化する一方で、プライベートAIやエッジAIなどデータセンターサービスが多様化するだろうと語った。
3つめは「APN(All-Photonics Network)では遅延は小さくならない」。つまり、「光は遅い」という指摘だ。世界規模に通信路が広がるとき、光による通信でも速度の限界がある一方で、応答速度に対するユーザーの要求がどんどん厳しくなり、ロボットなど応答速度が重要な用途もある。「必然的に、集中だけでは対応できないことになる」として、地理的な分散が求められると江崎氏は述べた。
データセンター設備の「ホワイトボックス化」「モジュール化」の可能性
続いて、ワット・ビット連携構想に関連して、国際紛争による原油危機などを背景に、エネルギー安全保障のための脱炭素の必要性を江崎氏は説明し、「卒業したい6つ」として「サイロ化」「過保護」「集中」「独裁(ウォーターフォール)」「総括原価」「シリコン」を挙げた。
では、データセンターで何が起きているか? さまざまな論点の中から、いくつかを江崎氏は紹介した。
まず、データセンターの巨大化・爆縮においては、水冷(液冷)や、DC電源化を取り上げた。
続いてホワイトボックス化とセキュリティ。江崎氏は「『これで安全です』という嘘(過保護)がばれた」として、ファイアウォールやVPN、専用OSなどの製品が攻撃に遭ったことを指摘。「製品・サービス」「システム」「会社・組織」「サプライチェーン」の4レベルのセキュリティをしっかりする必要があると述べた。
さらにCSA(Connectivity Standards Alliance)によるスマートホーム規格のMatterに触れ、家電だけでなくデータセンター関連の企業が参加していることを指摘し、ファシリティをTCP/IPで管理し、制御しようとしていると語った。かつてクラウド事業者などがホワイトボックスのサーバーを大量に採用したように、サーバー以外の設備系なども同じモデルに向かうかもしれないという。
次に、データセンターへの接続だ。通信回線と同様に、電力についても非常に太い接続が必要とされている。ただし、特別高圧電力をデータセンターに引き込むには時間とコストがかかる。
そこで前述した分散化のとおり、ユーザーに近いモジュール型でデータセンターを設け、増加や縮退、再構成などもしやすいことにするメリットを江崎氏は説明した。
次に、データ主権などのソブリンの問題。冒頭の話のように企業の外に出せない約90%のデータも、ムーアの法則により、オンプレミスのAIサーバーで低遅延で処理できるようになると江崎氏は言う。さらに、物理的な地政学からデジタル地政学への拡張についても語った。
また、データセンター投資の高騰により「海底ケーブルなどの通信ケーブルはもはや相対的に安い物となった」と江崎氏は指摘。電力を整備するより通信をつないでしまえばいいという話が、もしかしてできるかもしれないと語った。
「Data Center Japan 2026」講演・展示会場レポート[目次]
- データセンターの巨大化と爆縮、「光は遅い」ゆえに地理的分散が必要…江崎浩教授が語る、AI時代のキーワード(この記事)
- 冷蔵庫大の「マイクロデータセンター」も登場。AI需要を反映し、小型データセンターが各社から(別記事)
- 水冷(液冷)設備が目白押し。重いAIサーバーを高く持ち上げるための電動リフト実機デモも(別記事)
- 噴火してもデータセンターを止めない、空調・発電機の火山灰対策
架上配線のための「システム天井」、抜け防止の「ロック電源ケーブル」の展示も(別記事)


















