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IoT規格標準化団体のCSA、ウォレットアプリでスマートキーを解錠できる「Aliro 1.0」や、Matterの最新動向を紹介
「Matter in Motion」メディアデー
2026年3月23日 07:00
Connectivity Standards Alliance(CSA)は、スマートキーのグローバル共通規格「Aliro(アリロ) 1.0」に関する情報や、スマートホームの標準規格「Matter」の最新動向を紹介する「Matter in Motion」を開催した。
CSAは、IoTにおける共通規格の維持・公開を行う無線通信規格の標準化団体。2002年に「Zigbee Alliance」として設立され、2021年に現在の名称に改称するとともに、スマートホームの標準規格「Matter」を発表した。現在、Apple、Google、Amazon、Samsung、IKEAをはじめ、世界54カ国から約900社の企業が会員になっている。
OS標準のウォレットアプリで認証するスマートキーの共通規格「Aliro 1.0」
Aliro 1.0は、CSAが新たに発表したスマートキーのグローバル共通規格。同規格では、メーカーごとに専用の認証アプリをインストールする必要がなくなり、OS標準のウォレットアプリ(AppleウォレットやGoogleウォレットなど)で認証ができる。
端末をタッチして認証する近距離無線通信(NFC)、近づくだけで認証できるBluetooth Low Energyと超広帯域無線(UWB)などの認証方法に対応し、多様な設置要件に対応することも特徴としている。
会場では、Aliroに対応したスマートキーの展示と、スマートフォンやスマートウォッチで解錠するデモンストレーションが実施された。
「Matter」で簡単にスマートホームを実現
Matterは、さまざまなメーカーのスマートホームデバイスとプラットフォームの相互接続性を実現することを目的とした規格。現在、カメラの操作などに対応する機能を追加したMatter 1.5が公開されている。
会場では、こうした相互接続性を実現し、簡単にスマートホームを構築するための機能や技術として、次の3種類のデモンストレーションが実施された。
QRコードで簡単にセットアップ
従来のIoT機器は、メーカーごとに専用のアプリをインストールする必要があったり、アカウントを登録する必要があったりと、初期設定の手順が多く、機器の設定に慣れていない人が挫折してしまう原因になっていたという。
Matterに対応した製品では、本体や説明書などに記載されたQRコードや番号を入力することで、簡単に初期設定が完了する。
さまざまなプラットフォームから操作できる「マルチアドミン機能」
iOSのHomeKitやAndroidのGoogle Home、AmazonのAlexaなど、異なるプラットフォームから同じデバイスを操作できる。その際、照明の点灯状況やスマートキーの施錠状況など、接続しているデバイスの状態が自動的に同期される。
家族で異なるOSのプラットフォームを使っている場合でも連携でき、それぞれが使い慣れたアプリで操作できることが利点だとしている。
NECプラットフォームズからMatterコントローラー対応のWi-Fiルーターが登場
NECプラットフォームズは、Matterコントローラー機能を内蔵したWi-Fiルーターの参考展示と、顔認証でMatter対応製品を操作するデモンストレーションを行った。
同社は、このWi-Fiルーターについて、2026年度中のMatter認証の取得を目指しているという。
CSAの標準規格でスマートホーム市場の成長を支える
基調講演には、CSAのプレジデント兼CEOのトービン・リチャードソン氏と日本支部代表の新貝文将氏が登壇し、CSAの概要や、Matter・Aliro規格の概要とスマートホームのグローバルトレンドについて講演を行った。
リチャードソン氏は、IoTの分野における日本企業について、スマートリビング、エネルギー管理、エイジングテック(高齢者向け技術)、集合住宅向けソリューション、そしてセキュリティを含む複数の分野において、重要な役割を果たしていると評価した。そして、こうした専門性が、さらなる市場の拡大や、さまざまな機器の相互接続性を高めていく上で、より大きな役割を果たすと期待感を示した。
2024年に設立したCSAの日本支部は、発足当初は20社ほどだった会員企業が、およそ4倍に増加しているという。日本支部では、日本の市場におけるさまざまなニーズをCSAの本部に伝えるとともに、IoT関連の団体のほか、経済産業省や電子情報技術産業協会(JEITA)との連携も深めている。
日本におけるスマートホーム市場については、まだ初期段階にあるものの、今後爆発的に成長していく可能性を秘めている市場だとの見方を示した。この成長を支えていくためには、オープンで相互接続性の高い標準規格が基盤になる必要があるとし、CSAが提供する規格は、日本におけるスマートホーム市場の成長において極めて重要な役割を果たすとした。
スマートホームは「AIホーム」に変わっていく
新貝氏は、アメリカのスマートホーム普及率が約半数に達しているのに対し、日本はまだ10〜15%程度にとどまっていると説明した。その一方で、今後日本においても製品ラインアップの拡充などにより、普及が進んでいくと予測した。
海外では、スマートスピーカーに対してコマンドを呪文のように唱える必要があったスマートホームから発展した形として、スマートスピーカーに生成AIを組み込んだ「AIホーム」という構想が生まれている。「なんか寒いね」と言ったときにエアコンの温度設定が自動で変更されたり、「この場所の電気を点けて」と言ったときに自動で場所を判断したりするなど、自然言語で応答できるように開発が進められているという。
これまでメーカーや消費者は、スマートホームのプラットフォームにさまざまな規格が存在することで、機器を接続するところで多大な労力がかかっていたという。こうした機器を接続するための苦労をなくし、AIホームを実現させるための開発に注力するためには、Matterのような共通規格が重要になるとした。
新貝氏は、Matterと新たに発表したAliroの関係性について、競合するものではなく互いに補完しあうものだと説明した。こうしたオープンな標準規格をベースにすることが、スマートホームの市場拡大につながるとした。










