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「DLsite.com」が20周年、コミュニティサイト「DLチャンネル」新設、2017年春にはPCゲームレンタル事業も

記念イベントに岸田メル氏、民安ともえさん、榊原ゆいさん、大島はるなさんらが登場

 株式会社エイシスは、同人誌や同人ゲーム、PCゲーム、商業コミックを取り扱うウェブサイト「DLsite.com」の20周年を記念したイベント「DLsite.next」を9月30日にイオンシネマみなとみらい(神奈川県横浜市)で開催した。新たに展開する2次元コンテンツ向けのコミュニティサイト「DLチャンネル」のほか、株式会社ゲオとのPCゲームレンタル事業について発表した。

3つのチャンネルでコンテンツの楽しさを共有、コミュニティサイト「DLチャンネル」始動

 DLsite.comは20万点以上の作品、3万サークルが登録されており、月間ページビューは1億、月間転送量は800TBに上る国内最大級の“2次元総合ダウンロードショップ”。スマートフォンからの利用も2015~2016年には26.4%伸びており、前年比は年々大きくなる傾向にあるという。エイシス事業統括本部ディレクターの南将貴氏は「まだまだ伸びしろがある状況」と分析する。

 DLsite.comの“買う”サービスに加え、ウェブアプリ「DLsite play」では13万作品以上の音声・画像・動画作品をスマートフォンとPCのブラウザーから閲覧可能な“見る”サービスを展開。月間200万回以上視聴されているという。同サービスは、ゲームプレー非対応のため、今後、Windows/Mac向けの「DLsite Playnest」で美少女ゲームをはじめとするコンテンツを提供する予定。購入した作品は1クリックで自動的にダウンロード、インストールすることができる。

株式会社エイシス事業統括本部ディレクターの南将貴氏

 これまでの“買う”“見る”サービスに加え、新たにユーザーが“楽しむ”ためのコミュニティサイト「DLチャンネル」を展開する。

 DLチャンネルでは、DLsite.comのコンテンツと「アンテナチャンネル」「トークチャンネル」「まとめチャンネル」の3つのチャンネルを展開。スマートフォンからの閲覧にも対応しており、同日より利用開始となっている。

 アンテナチャンネルは、DLsite.comで取り扱われている作品が網羅されたデータベースになっており、作品のクリエイターや作家を「ウォッチ」することで好みの作品を探すことができる。また、PVや体験版をダウンロードすることも可能で、将来的にはサークルやメーカーが情報を発信するための機能の実装も予定している。

 トークチャンネルは、好きな作品に関して語り合える掲示板。スレッド作成にはテーマとなる作品を指定することが可能で、コメントにはテキストのほか、画像を貼り付けることができる。

 まとめチャンネルでは、インターネット上にある情報を記事にまとめることができる。Twitterやウェブサイトのほか、トークチャンネル、アンテナチャンネルに登録された情報も引用可能。まとめチャンネルを通じたDLsite.comでの商品購入や、PV数に応じてインセンティブが入るアフィリエイトシステムも導入する予定だそうだ。

 なお、各チャンネルの閲覧は自由だが、情報の編集にはアカウント登録が必要になる。また、投稿者とDLsite.comの購買情報は連動しないため、別々のハンドルネームを使用して書き込むことも可能だという。

 DLチャンネルのプロモーションビデオにはイラストレーターの岸田メル氏が登場。動画では“オタク風”“サブカル風”など個性的なキャラクターに扮しており、その演じ分けにも注目してもらいたい。撮影には丸1日を費やしたそうだが、採用されなかった映像が多くあるという。同氏の個性的な演技により、「動画の内容が頭に入りづらい」と会場でも指摘されるほどインパクトの強い動画に仕上がっている。ぜひ一度ご覧いただきたい。

エイシスとゲオがPCゲームのレンタル事業を開始、全国展開へ

 エイシスはこのほか、1600万人以上の会員数を擁し、全国で1200店舗を展開する株式会社ゲオとタッグを組み、PCゲームのレンタル事業を2017年春より開始すると発表した。

 PCゲームのレンタルは、作品タイトルごとにラインアップされた「レンタルカード」をゲオ店舗で購入し、DLsite.comからソフトウェアをダウンロード、インストールする形となる。レンタル販売のため、低価格かつ手軽にPCゲームをプレーできるのを特徴としており、ワンコインでの販売価格を目指しているという。また、レンタルで気になった作品は差額を支払うことで買い切り版にアップグレードすることも可能。

 実物のパッケージ貸し出しではなく、カード販売によるレンタルのため、返品手続きの必要がなく、在庫を抱えるリスクを解決することができる。ゲオ店舗では全年齢・成人向けを問わず、最低でも100タイトル程度を用意し、今後も追加する予定。売り場では、主にアニメの原作となるゲームを隣に置くことで、マニアショップに訪れる客層とは異なる新規開拓を狙う。

 株式会社ゲオメディア運営部マネージャーの松岡達哉氏によると、インターネットサービスが普及していても、棚に並んだ商品を手にとって選びたいというニーズは依然として多いという。都市部ショップでのPCゲーム販売が中心になりがちな中、「郊外に強いゲオの店舗網を活用することで、これまでPCゲームを遊んでこなかったユーザー層に対してもアプローチが可能になるのではないか」と述べた。

(左から)株式会社ゲオメディア運営部マネージャーの松岡達哉氏、株式会社エイシス企画営業部マネージャーの山口修氏

 PCゲームレンタル事業を可能にしたのは、6月に提供を開始したWindowsゲーム向けDRMシステム「playDRM」だ。playDRMは著作権管理システムで、プレー可能期間を設定することでレンタル販売ができるようになった。専門知識は不要で、プロテクト処理は全自動で数分で完了。シナリオや画像ファイルなども暗号化することができる。ユーザー認証は初回起動時の16文字英数字の入力のみ。現在は商業ゲーム向けの提供に限られるが、今後は同人ゲームへの展開も予定している。

 エイシス企画営業部マネージャーの山口修氏は「これまでダウンロード販売は購入したものを無期限でプレーできる買い切り版の提供方法しかなかった。今後はゲームをレンタルしてプレーできる新しい選択肢が増えることになる」とplayDRMによるPCゲームレンタル事業に期待を寄せる。

レンタル販売に参画するパートナーブランドは約50。今後もラインアップを強化する予定

「DLsite.com」過去20年の振り返りや、ゲストアーティストのミニライブなど

 今回のサービス発表に併せ、エイシス取締役の藤井純氏が「DLsite.com」のこれまでの20年間を振り返った。

株式会社エイシス取締役の藤井純氏

 ことの始まりは、エイシスの創業者が全国の猫好きとパソコン通信でコミュニケーションを図るために開設した「キャットネット」にある。しかし、同サイトに集まったのは「猫好き」ではなく、「猫耳好きのオタク達」だったそうだ。そこから方向転回し、現在のサービス展開に至ったという。

 コミックマーケット準備会共同代表の市川孝一氏も登壇。「DLsite.comの今後20年を楽しみにしている。その広がりの中には、同人誌に携わる者のみんなの未来がかかっていると思う。リアルの場である同人誌即売会としても、相互に手を取り合いながら、同人文化、マンガ、アニメを世界に広げたい」と語った。

コミックマーケット準備会共同代表の市川孝一氏
ゲストアーティストとして、大島はるなさん、民安ともえさん、榊原ゆいさんがミニライブを実施。会場を盛り上げてくれた
会場のロビーには「DLsite.com」思い出の品として、過去にキャンペーンや企業ブース用に制作したグッズなどを展示していた
2004年夏~2016年夏に展開された雑誌広告も展示