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TeamViewerが日本でのフォーカスや計画を語る、テレワークの問い合わせも急増中
東京オリンピックや働き方改革
2020年3月4日 07:11
独TeamViewer社の日本法人であるチームビューワージャパン株式会社は2月26日、TeamViewerと日本法人について報道陣向けに説明するプレスラウンドテーブルを開催した。
TeamViewer社は、リモートデスクトップ機能を中心にビデオ会議などの機能を持つソフトウェアTeamViewerを開発し販売する、2005年に設立された企業だ。
TeamViewerの大きな特徴は、接続するデバイスどうしをピアツーピアで接続しデバイス間で暗号化するため、プライベートネットワーク内のデバイスにもVPN接続不要で接続でき、導入が簡単な点である。
プレスラウンドテーブルでは、TeamViewer社とその製品について紹介されたほか、日本法人のフォーカスするテーマおよび分野が語られた。
日本では人手不足が問題の業界にまずフォーカス直近での需要増も
チームビューワージャパン株式会社のカントリー・マネージャーである西尾則子氏は、日本ではダウンロード販売により1万6000以上の有料ユーザーがいると説明。その中で2018年に日本支社を設立したのは、エンタープライズの領域に踏み込むためだと語った。
また、日本法人ではグローバルの成長目標である30%を超えた成長を目指すという。
日本法人のフォーカスについては、チームビューワージャパン株式会社ビジネス開発部部長の小宮崇博氏が説明した。
小宮氏はまずテレワークの背景として、東京オリンピックにともなう交通の問題や、大都市圏以外の職場や特定の技能を持った人などの人手不足、働き方改革、感染症の問題を挙げ、「これらに対してTeamViewerが役に立つ」と語った。また、感染症の問題に関連して、問い合わせが急増していることも明かされた。
小宮氏はTeamViewerの機能として、リモートワーク、コラボレーション(共同作業、ビデオ会議)、コントロール(機器の異常時などの操作)、モニタリング(機器の監視)、サポート(エキスパートからの遠隔サポート)を紹介する。
そしてそれを、オフィスワーカー(ホワイトカラー)向けのシーンや、現場で働く人(ブルーカラー)向けのシーンに分け、「さまざまな領域でビジネスを支援するのが特徴」と述べた。
そのうえで日本法人のフォーカスするテーマとして、利用企業の採用増加や、生産性の維持または向上、コスト削減、自動化などを小宮氏は挙げた。
また、そのフォーカスする先の分野については、人手不足が問題になっている業種として、地方やヘルスケア、教育、建築、土木、製造業などを挙げ、「まずはこうした業界にTeamViewerのソリューションを提供していくというのが、ここ1~2年の我々のフォーカス」と説明した。
インストール数は世界で20億以上
TeamViewer社については、CFO(最高財務責任者)のステファン・ガイザー氏が説明した。
ガイザー氏はまずTeamViewer製品について、「どこからでもどんなデバイスにもつなげる」ことを特徴として挙げた。たとえば農業や医療などの機器の管理やモニター、制御などにも使われているという。
数字としては、インストール数が20億以上、年間で動いているデバイスが3億2千万、登録者数が46万以上、2019年の売上高が3億2500万ユーロ、グローバルでの従業員は1000人以上で半数がドイツ勤務だという。
ガイザー氏はTeamViewerの成長戦略として、サービス拡大、顧客拡大、M&Aの3つの柱を挙げた。利用分野をIoT機器へ広げるほか、顧客規模として大企業向けにも製品を拡大。さらに地理的にも日本や中国などで広げていくという。
TeamViewerは2019年に新規株式公開をした。
「急成長をとげるテクノロジー企業はヨーロッパではなかなか出てこなかったが、ヨーロッパ企業でもグローバルで活躍できるということを示した」とガイザー氏は語った。
様々な製品を支える拡張性の高いプラットフォーム
TeamViewerのCTO(最高技術責任者)のマイク・アイゼレ氏は、TeamViewerの製品について紹介した。
中核となるのが「TeamViewer」だ。そのほか、大企業向けに追加のセキュリティ機能や監査機能などを加えた「TeamViewer Tensor」、画面のないデバイスを操作する「TeamViewer Internet of Things」、現場のスマートフォンのカメラによるARでリモートサポートに対応する「TeamViewer Pilot」、テレワーク向けの「TeamViewer Remote Access」、IT資産管理の「TeamViewer Remote Management」、オンライン会議の「Blizz」がある。
IoT分野でのTeamViewer Internet of Thingsの事例として、アイゼレ氏はソーラーパネルのプラントの例を紹介した。
リモートで状態を監視し、異常があった場合に修理や交換などに入れるようにしたことで、稼働時間が向上し、サポートコストも抑えることができたという。
TeamViewer製品群の特徴としては、共通のプラットフォームの上でアプリケーションが動いている点だとアイゼレ氏は説明した。これによって拡張性を高め、可用性やセキュリティを同じレベルにできるという。
また、デバイス間の通信は世界80か国以上に設置されたルーターを通り、最適化されたルーティングアルゴリズムで接続されるという。そのほか、エコシステムやプライバシーについてもアイゼレ氏は紹介した。
これからの計画としては、まず2020年にはモバイル機器での確認をサポートする予定。
中期的にはIoTの可視化プラグインのカスタマイズや、ブラウザベースのリモートコントロールなどを、長期的にはサードパーティ製品の拡張機能の対応などを予定しているとアイゼレ氏は語った。