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KDDIら、南極昭和基地から「Starlink」による8K映像リアルタイム伝送に成功

昭和基地周辺から8K映像を伝送する観測隊員

 KDDI株式会社と株式会社KDDI総合研究所、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所(極地研)は2月26日、南極昭和基地とKDDI総合研究所本社間で「Starlink」衛星通信回線を用いた8K映像のリアルタイム伝送の実証実験に成功したと発表した。

Starlinkアンテナ設置の様子

 KDDIは2022年12月から、スペースXの衛生インターネット「Starlink」をau通信網のバックロード回線とした4G基地局の整備を進め、Starlinkの5G基地局へ適用してきた。本実証は2019年から行われている「南極地域観測隊の記録と情報発信のための新しい映像伝送技術の開発研究と画期的な広報映像の社会発信のための実証実験」の一環として、南極昭和基地での観測隊員の作業向上と情報発信の強化を目指して行われた。

映像品質比較(左:8K映像、右:2K映像)

 南極には通年観測を行う越冬基地だけでも約40あり、観測データの伝送を行うが、従来の映像伝送技術では、映像品質はHDTVが上限だった。今回の実証実験は2月13日に、KDDI総合研究所が開発した8K映像のリアルタイム伝送が可能な遠隔作業支援システム「VistaFinder Mx」を使用し、映像送受信機器の検証や映像品質の検証、高精細映像をStarlink回線で効率よく伝送するための送信たい制御技術およびパケットロス補正技術の検証を行ったもので、隊員の健康状態や生活の様子、昭和基地の自然や環境を高い臨場感で伝える技術を実証するもの。

 「VistaFinder Mx」は、国際標準の映像符号化方式であるH.265/HEVCコーデックを搭載しており、画質を維持したままデータ量を削減し、衛星通信環境でも安定的な映像伝送を実現する。本実証の成功により、高精細な映像を受信して南極地域観測業務の安全とDX化に寄与するうえ、遠隔医療支援や遠隔教育においても活用できるようになるとしている。

8K映像伝送システムの構成概念図

 なお、この実証実験の様子は2月26日~2月29日(現地時間)にスペイン・バルセロナで開催中の、世界最大のモバイル関連展示会「MWC Barcelona 2024」(MWC)のKDDIブースで出展される。