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バッファロー、小規模オフィス・SOHO向けNAS「TeraStation TS3030シリーズ」を発表、無料のリモート設定機能にも対応

 バッファローは8月29日、「法人向け事業戦略及び新商品発表会」を開催、法人向けNAS「TeraStation」の新製品「TS3030シリーズ」とリモート管理サービス「キキNavi」におけるNASのリモート設定機能の追加などを発表した。

左から、株式会社バッファロー 事業本部 法人マーケティング部 次長 山田磨氏、専務取締役 和田学氏、事業本部 法人マーケティング部長 富山強氏

CPUとRAMが強化された新製品TeraStation TS3030シリーズ

 今回発表されたTeraStationの新製品は小規模オフィス・SOHO向けのTS3030シリーズ。本体の形状は2ドライブ デスクトップモデル「TS3230DNシリーズ」、4ドライブ デスクトップモデル「TS3430DNシリーズ」、4ドライブ ラックマウントモデル「TS3430RNシリーズ」の3タイプが用意され、発売は10月下旬で、価格は12万8700円から。

 従来品となる「TS3020シリーズ」との違いは、主に内蔵しているCPUやメモリーを強化したこと。新たに64ビットCPUで2GHz駆動のAnnapruna AL524を搭載し、従来の1.4GHz駆動のAL214に比べてパフォーマンスアップし、将来の機能追加に対応しやすくなる。またRAM容量も従来の1GBから2GBへと倍増させた。

 ネットワークの対応は従来どおり2.5GbEポートを搭載。CAT5eやCAT6のケーブルの環境のまま2.5GbEの通信速度でファイル操作などが可能。CPUやメモリーの強化を行ったことによるパフォーマンスへの効果として、同時に45台のPCから書き込み、比較、削除を一斉にくり返すテストを行い、24時間エラーなくテストを完了させたという。

 また、同時発表のキキNaviのNASのリモート設定機能には当初から対応する。

 TS3020シリーズから、製品の外観も新しくなっている。具体的にはカラーリングが変更され、2ドライブと4ドライブシリーズの正面はこれまで黒とシルバーの塗り分けだったが、新型では黒1色になった。

新製品TeraStation TS3030シリーズ
TS3030シリーズのラインアップ
2ドライブ デスクトップモデル「TS3230DNシリーズ」
4ドライブ デスクトップモデル「TS3430DNシリーズ」
4ドライブ ラックマウントモデル「TS3430RNシリーズ」
TeraStationのなかでの新製品の位置づけ
歴代のTeraStationが展示された
同時に45台のPCからのアクセスでも安定動作
TS3030シリーズの特徴

キキNaviではNASのリモート機能を追加

 キキNaviはバッファローの法人向けNASをはじめ、Wi-Fiアクセスポイント、ルーター、スマートスイッチなどを一括で管理するためのツール。これまでキキNaviから可能なNASの管理は、簡易リモート機能として本体のシャットダウンや再起動、ファームウェアアップデートなどに限られていたが、今回発表された新機能の追加により、遠隔地からでもNASの設定画面にアクセスできるようになり、ほぼすべての設定がリモートで可能になる。

 ただし、一部の項目は、リモートからアクセスした場合の設定方法に違いを設けている。例えば設定変更をしてしまうとその後のアクセスができなくなってしまう本体IPアドレスの変更では、誤って変更してしまうことがないよう、設定変更の意思確認を厳重に行うなどしている。

 また、リモート設定機能を提供するにあたってはセキュリティの確保が重要となるが、リモート設定をする際には、PC側に専用のアクセスソフトのインストールが必要となり、そこを経由してNASの設定画面にアクセスする。

 リモート設定をする際には、NASがキキNaviからリモートアクセスを許可するよう指示を受けた上で、リモートアクセスの利用を開始する。そのため、キキNaviから指示を受けない限りリモートの待機状態にならないため、より安全にアクセスができるとしている。

 この新機能は、次に挙げるTerraStationの従来モデルにも対応し、9月下旬より順次対応ファームウェアを公開する。TS5020シリーズ、TS5010シリーズ、TS3020シリーズは9月下旬、TS7010シリーズとTS6000シリーズは後日対応、そして、新製品のTS3030シリーズは発売時より対応する。

 なお、キキNaviはユーザー企業自身が利用するだけでなく、販売店等がキキNaviを使って顧客のNASなどを管理することも多く、NASのユーザー追加や設定変更の依頼を受けることもある。これまでは販売店のスタッフが客先に出向いて設定していたが、遠隔からでも対応できるようにNASのリモート設定機能を追加したという。

 一方、保守管理会社がネットワーク機器の保守にリモート管理を導入しない理由として49%が利用料金が高いと答えた調査結果もあり、その課題を解決すべく、キキNaviのNASのリモート設定機能は無料で提供する。

新製品やキキNaviの新機能については、株式会社バッファロー 事業本部 法人マーケティング部 次長 山田 磨氏が説明した
これまでのキキNaviでは、本体のシャットダウンや再起動、ファームウェアアップデートといった操作しかできなかった
NASのリモート機能の効果。販売店が客先に出向く必要性が減る
「リモート設定の開始」というボタンが追加され、ここからNASのリモート接続が開始できる
NASの設定画面のログイン画面が表示された。ブラウザから自身の127.0.0.1へアクセスしている
IPアドレスの設定変更をしようとすると、アラートが出て、表示された番号を入力しないと先に進めず、誤って変更しないようにしている
NASのリモート機能の対応時期など
リモート管理を導入しない理由は「利用料金が高い」が49%で最多

3つの軸で、ネットワークで企業DXを支援

 法人向け事業戦略では、専務取締役の和田 学氏が「顔の見える営業対応」を強調、全国13の営業拠点があり、主要営業拠点にはフィールドエンジニアを配置していること、販売パートナーに対する支援制度「VARパートナープログラム」を設けていることなどが語られた。

 売上も、現在では法人向け商品カテゴリーは成長傾向を持続、2018年3月期を100とすると2024年3月期は133まで伸びているという。

 キキNaviについては開始から5年が過ぎ、国内累計登録法人数1万社、管理台数が9万2000台となること、ここ2~3年で急激に伸びていることなどが発表された。

 法人向けNASであるTeraStationについては20周年を迎え、累計出荷台数125万台を突破。発売当時はNASは一般的でなくTeraStationは10万円以下というコンセプトを掲げて登場、大きな反響があったことを振り返った。

株式会社バッファロー 専務取締役 和田 学氏
全国13の営業拠点があり主要営業拠点にはフィールドエンジニアを配置
販売パートナーに対する支援制度「VARパートナープログラム」
法人向け商品カテゴリーは成長傾向を持続している
キキNaviの利用は増えている
TeraStationは20周年、累計出荷台数は125万台を突破

 一方、事業本部法人マーケティング部長の富山 強氏は、「ハイブリッドネットワーク・業務デジタル化のインフラ構築」「BCP対策」「人手・IT人材不足」の3つの軸を中心に企業DXを支援するとし、それぞれの提供機能や活用事例を紹介した。

 ハイブリッドネットワーク・業務デジタル化のインフラ構築では、VPNルーター「VR-Uシリーズ」用UTM(統合脅威管理)機能拡張ライセンスパックを提供し、対応ハードウェアがあれば、機器を取り替えることなくUTM機能が利用できるとし、さらに他社よりも低価格で、速度低下が少なくUTM機能が利用できるとしている。

 BCP対策ではNAS専用の「キキ Navi クラウドバックアップ ライセンスパック」を提供。クラウドにバックアップできるほか、最近多くなっているランサムウェア対策として、スナップショットバックアップなどを提供。さらに法人向けNASに異常ファイル操作検知機能を搭載し異常があればすぐメール等で通知する。これは100%防ぐことは無理としても、なるべく早く異常を知りたいという要望に応えた機能となる。

 また、キキNaviは人手・IT人材不足においても効果を発揮するという。機器の稼働状況の把握や遠隔簡易操作を現場へ出向くことなく遠隔で対応できるため、機器管理者の負荷を大きく軽減できる。また、キキNavi自体にも不正ログインを防止する「2要素認証機能」に対応させた。

株式会社バッファロー 事業本部 法人マーケティング部長 富山 強氏
「ハイブリッドネットワーク・業務デジタル化のインフラ構築」「BCP対策」「人手・IT人材不足」の3つの軸で支援する
UTM機能拡張ライセンスは他社よりも低価格
キキ Navi クラウドバックアップ ライセンスパック
ランサムウェア対策としてTeraStationに搭載する機能
異常ファイル操作検知機能
キキNaviの6つの特徴
キキNaviで管理できるネットワーク機器